CULTURE
:【乙女の東京案内:神田】 文筆家・甲斐みのりさんが好きな老舗洋菓子店
CULTURE
:いつもの街が違う輝きをもって見えるような、街歩きの楽しみ方を教えてくれる文筆家の甲斐みのりさん。甲斐さんの原点ともいえる、東京を案内した『乙女の東京』が15年のときを経て、『乙女の東京案内』(左右社)として復刊しました。そこには月日を経ても変わらない、乙女心をくすぐるような東京の姿があったのだとか。この本の中から、お店やバー、ホテルなどを3回にわたって紹介。1回目は知る人ぞ知る、老舗の洋菓子店を紹介します。
甲斐みのり
文筆家。静岡県生まれ。日本文藝家協会会員。大阪芸術大学文芸学科卒業。旅、散歩、お菓子、地元パン®️、手みやげ、クラシックホテルや建築、雑貨や暮らしなどを主な題材に、書籍、雑誌、webなどに執筆。主な著書に『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』『歩いて、食べる 京都のおいしい名建築さんぽ』(エクスナレッジ)、『たべるたのしみ』『くらすたのしみ』(ミルブックス)、『一泊二日 観光ホテル旅案内』(京阪神エルマガジン社)、『クラシックホテル案内』(KKベストセラーズ)、『アイスの旅』(グラフィック社)、『にっぽん全国おみやげおやつ』(白泉社)など。
Instagram:@minori_loule
価格以上の洋菓子やパン、アイスクリームがずらり
高く青い天井に、花の形の雲が浮かんでいるようなお店の中、フルーツをふんだんに使ったケーキや焼き菓子などの洋菓子や、アイスクリーム、焼きたてのパンがずらりと並ぶ〈近江屋洋菓子店〉。
100年以上続く老舗が立ち並ぶ下町・神田淡路町に、明治17年に創業しました。創業者・吉田平三郎氏の妻方が近江国(現在の滋賀県)にゆかりがあったことや、古くから商人の鑑とされる近江商人にあやかって屋号を近江屋に。
最初は炭屋を始めたものの夏場は厳しく、これからはパンの時代が到来するだろうとパンを販売。しばらくは仕入れたものを販売していたけれど、ほどなくして製造もおこなうようになり、当時はかりん糖やどら焼きなども扱っていたそうです。
季節の果物がたっぷり入った「フルーツポンチ」も、手土産の大定番。
その後、明治28年に2代目が渡米。シアトルのミルクホールで修業を積み、帰国後に洋菓子製造に力を注ぐようになりま した。そうして現在、「リーズナブルだけどチープでない、価格以上のお菓子を提供する」という信念を持つ、5代目の由史明さんが老舗の看板を受け継いでいます。
私の定番は、友人の結婚式のために50人分特注したこともある、まるくて大きな「苺サンドショートケーキ」。バニラアイスクリームをコーンに絞り入れて凍らせた「ソフトクリーム」や、こんがりした焼き色の「アップルパイ」も大好物。微笑ましい色とタッチでパリの風景が描かれた、包み紙やケーキ箱もお気に入りです。
店舗情報
近江屋洋菓子店
東京都千代田区神田淡路町 2-4
03-3251-1088
定休日なし
9:00~19:00(日曜日は10:00~17:30)
乙女の東京案内のその他のスポットはこちら!
photograph:Shinsaku Kato edit:Mayumi Akagi
※写真・文章の無断転載はご遠慮ください
※本記事は『乙女の東京案内』(左右社)からの抜粋です
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