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【平和を考える絵本】 読んで、話して、考えたくなる。絵本作家・松本春野さんが選ぶ、今読みたい絵本 【平和を考える絵本】 読んで、話して、考えたくなる。絵本作家・松本春野さんが選ぶ、今読みたい絵本

戦後80年となる節目の年。この夏は、平和について改めて考えてみませんか?

「誰にでもわかりやすく、誰とでも楽しめる絵本は、本当に大切なことが伝わる平和的なメディア」という絵本作家の松本春野さん。松本さんがセレクトした、読んで、話して、考えたくなる、今こそ読みたい平和について考えるきっかけとなる絵本を幅広いジャンルでご紹介します。

8月20日発売の『リンネル』10月号では、春野さんの祖母・いわさきちひろさんからご自身の娘さんまで、4世代にわたって伝えていきたい平和についてのお話も伺いました。ぜひあわせてチェックしてくださいね。

目次
  1. 平和を願って作品を作り続けた、いわさきちひろさんの手がけた本
  2. 多様性のある社会への扉になる、松本春野さんの絵本
  3. 世界のこと、争うことを描いた絵本
  4. こうでなくちゃいけない、という固定観念を壊してくれる絵本
  5. 松本さんが考える、絵本の魅力とは?

平和を願って作品を作り続けた
いわさきちひろさんの手がけた本

右から、黒柳徹子 著・いわさきちひろ 絵『絵本 窓ぎわのトットちゃん1』(講談社)、岩崎ちひろ 作『戦火のなかの子どもたち』(岩崎書店)、浜田広介 文・いわさきちひろ 絵 『りゅうのめのなみだ』(偕成社)、アンデルセン 作・いわさきちひろ 絵・曽野綾子 文『にんぎょひめ』(偕成社)

松本さんの祖母である、絵本画家・いわさきちひろさん。手がけた数々の絵本では、ベトナム戦争のなかの子どもたちを描いた『戦火のなかの子どもたち』が平和の願いを込めた絵本として知られています。

そちらについて詳しくはリンネル10月号に掲載していますが、ここではもう一冊松本さんがすすめる、黒柳徹子さんの自伝的な物語『窓ぎわのトットちゃん』について聞きました。

「トットちゃんはルールを守れず、みんなと同じことができないけれど、誰とでも手を繋ぐことができる変わった子。通っているトモエ学園には、障がいを持つ子も含め、さまざまな個性の子がいます。校長の小林宗作先生は“みんないっしょだよ”と、どんな子も分け隔てなく一緒にいられる学校を作りました。

トットちゃんがトモエ学園で過ごす日々を描いたこの作品は、日本の戦後最大のベストセラーといわれていますが、海外でもとても人気があります。翻訳されている国々はそれぞれ違った背景を持ち、教育体制も価値観も日本とは違います。でも、この本を買い求めた大人たちの思いはきっと、“子どもが身を置く世界は分け隔てなくあってほしい。どんな子もつながり合いながら自由に育ってほしい”だったのではないかと思うんです。そう考えると全世界で売れているということに希望を感じるし、この本こそが、子どものための平和の本だという気がします」

『りゅうのめのなみだ』『にんぎょひめ』は、子どもが初めて触れる異文化として、おすすめしたいと言います。

「子どもが初めて触れる外国や異文化は美しいものであってほしいと思っています。私も子ども時代、ちひろの絵本を通して知らない国に憧れや親しみを覚えました。ちひろの描いた『にんぎょひめ』をはじめとするアンデルセンの物語や中国のお話『りゅうのめのなみだ』など、美しい色彩で描かれる絵本が大好きでした。今の子どもたちにもぜひ手に取ってほしいです。この絵を見ながら想像する世界はきっと美しいものになりますよね。いいイメージから始まるって大事だなと」

また、この記事の写真一枚目で松本さんが手にしている『ことりのくるひ』岩崎ちひろ・絵と文、武市八十雄・案(至光社)は、松本さんご自身も大好きだそう。

「余白があって、一緒に読む人とたくさん会話をしながら、考えを巡らせて読める本。絵本ならではの魅力が詰まっていて私も昔から大好きな一冊です」

次のページ多様性のある社会への扉になる 松本春野さんの絵本

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