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【平和を考える絵本】 読んで、話して、考えたくなる。絵本作家・松本春野さんが選ぶ、今読みたい絵本 【平和を考える絵本】 読んで、話して、考えたくなる。絵本作家・松本春野さんが選ぶ、今読みたい絵本

多様性のある社会への扉になる
松本春野さんの絵本

右から黒柳徹子 原案・松本春野 絵・柏葉幸子 文『トットちゃんの 15つぶの だいず』(講談社)、金子みすゞ 詩・松本春野 絵・中村勘九郎 ナビゲーター・矢崎節夫 監修 『そらの のはらの まんなかで』(JULA出版局)、くすのきしげのり 作・松本春野 絵『Life ライフ』(瑞雲舎)、由美村嬉々 文・松本春野 絵『バスが来ましたよ』(アリス館)

絵本は、知らない世界を知っていくためのメディアでもあるという松本さん。黒柳徹子さんの戦争体験を描いた『トットちゃんの 15つぶの だいず』など平和を伝える絵本や、『バスが来ましたよ』などで多様な人への温かいまなざしを感じる絵本を描いています。

「『バスが来ましたよ』は、病気で全盲となった男性の通勤を10年以上、定年退職するまで支え続けた、小学生の子どもたちとの関係を描いた実話。ちょっとした親切の一歩が、社会を変えるということがよくわかるお話です。

また『Life ライフ』は、街の人々がいろいろなものを持ってきて、必要なものを持って帰るというリサイクルショップを舞台に、人の共生を描いています。

『そらの のはらの まんなかで』は、金子みすゞの詩を大人と子どもが一緒に楽しめる絵本です。“みんなちがって、みんないい“、まさにそうですよね」

右から塩野米松 文・松本春野 絵『いっぽんのき』(農山漁村文化協会)、ウー・ウェン 原案・石井睦美 文・松本春野 絵『きょうはぎょうざの日』(講談社)

松本さんの最新作『いっぽんのき』では、絵本の中のおばあさんの概念を変えたかったそう。

「日本の絵本でおばあさんというと、誰かの祖母という属性や、この世のものじゃない化け物として描かれることが多いように思います。読者の子どものためにも、女の子が歳を重ねた先のイメージ像を増やしたいと思いました。だから一人暮らしをしていて、自分の好きなものに囲まれ、自立して歳を重ねてきたと思える女性をこの作品では描きました。そんな多様化も平和な時代だからこそ生まれるのだと思います」

また、料理家のウー・ウェンさんの子ども時代を描いた『きょうはぎょうざの日』では、中国の子どもたちをとてもかわいく描くことがテーマだったのだとか。

「ウー先生の幸せな子ども時代の記憶に、色をつける作業でした。子どもの絵本は欧米の物語が多く、私たちもたくさん触れる機会があるので、欧米の生活には憧れや親しみを持っていると思うんです。子どもたちが親しみを持てる世界が増えたらいいなと思い、あまり描かれてこなかったアジア、中国の家族をかわいく描きたいと思いました」

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