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:尹 雄大さん「心の傷を癒やすために“我に返る”ことが大切」/新著『「要するに」って言わないで──本当の自分の思いに気づくとラクになる』発売
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インタビュアーであり作家の尹 雄大さんによる新著
『「要するに」って言わないで──本当の自分の思いに気づくとラクになる』が発売されました。
自分の話を、正しい・間違っていると判断せずに、ただ聞くこと。
この本が教えてくれるのは、自分という他者との対話を通して、本来の自分へと立ち戻る大切さです。
あなたが抱えた傷をそっと癒やしてくれる。
そんなセルフケアのような一冊です。
自分が本当に感じていることを
見落とさず、
踏みとどまってよく観察すること
―政財界人、アスリート、アーティストなど約1000人への取材経験を持ち、インタビューセッションや講座も行うライターの尹雄大さん。最新の著書は、セルフケアがテーマ。
「前から気になっていたのが、自分に厳しい人があまりにも多い、ということ。それをなおざりにして、『こうやれば生きやすくなる』と、コミュニケーション術を展開するのではなく、自分に対して、まずはもっとやさしくすることが必要なんじゃないかと思ったんです」
―本書があまたのセルフケア本と異なるのは、決して医者やカウンセラーといった専門家が説いた本ではない、ということ。
「私たちは専門知識を通じて、自分のことを見たり考えたりすることに慣れすぎて、安心している。ただ、実はそれが不安のもとでもあり、誰かから名付けられていないと、自分のことを理解できなくなっている気もするんです。たとえば料理は、専門知識がなくてもなんとなく作れるように、好き嫌いや短所長所も含めどういう傾向があるのかを踏まえて、独自のケアのやり方を、自分で作り出せることができるんじゃないかと」
―本書に書かれているのは、何かのメソッドに基づいてではなく、自分自身との対話を通じて感情を整理し、心の重さを少しずつ取り除いていくこと。
「これは僕も経験したことなんですけど、人はどこか権威を持つ人の前にいると、患者らしく、社会人らしく振る舞おうとしてしまう。『専門家の方が自分について詳しい』という前提で見るので、根本的に自信が持てなくなってしまうんです。もちろん、専門的なことをないがしろにしたいわけではないんです。私はインタビューセッションという、『人の話をただ聞く』というセッションを行っていますが、そこでは多くの人がメソッドでは辿り着けない、その人ならではの感性に気づきます。そのためには自分が本当に感じていることを見落とさず、踏みとどまってよく観察することが大事でしょう」
―大切なのは、自分の「ダメな部分」を変えようとするのではなく、自分という他者の話を、肯定も否定もしないで「ただ聞く」こと。
「過去の記憶をほじくり返すのではなく、とにかくやさしくすること。できないのは、できないなりの理由があるはずで、じゃあできることを探して、社会とアクセスする方法を考えることが、大事なんだと思います」
新著『「要するに」って言わないで
本当の自分の思いに気づくとラクになる』

『「要するに」って言わないで
本当の自分の思いに気づくとラクになる』
尹 雄大/¥1,980(亜紀書房)
「セルフケア」をテーマに、専門的な症例やメソッドに頼ることなく、自分自身との対話を通じて「我に返る」ことの大切さを伝える本書。核となるメッセージはシンプルで、平易かつ開かれた文体でありながら、執筆スタイルは仔細かつ多角的。言語化を諦めず、さまざまな表現で重層的に掘り下げることで、ともに読み手も気づきが深まっていく感覚を味わえる。
尹 雄大さん
photograph: Shinnosuke Soma text: BOOKLUCK
リンネル2026年1月号より
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