CULTURE
:吉高由里子さん「舞台は怖い。でも立ちたい」/舞台『シャイニングな女たち』インタビュー
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この冬、舞台『シャイニングな女たち』に挑む吉高由里子さん。
3年ぶりの舞台作品となる本作で、どんな姿を見せてくれるのか、注目が集まります。
「一緒にやってみたい」と
思える人がいるのは、素敵なこと

——吉高さんがこの冬に挑むのは、3年ぶりとなる舞台『シャイニングな女たち』。稽古を前にした今、舞台について、「こんなに恐ろしい場所、で
きれば立ちたくない」と冗談交じりに語ります。
「もちろんドラマも映画も怖いけど、舞台も4回目になると『慣れていないので』という魔法の言葉も、そろそろ使えなくなってくるんですよね(笑)。でも、『一緒にやってみたい』と思える人がいるのは素敵なこと。そのチャンスが巡ってきたのは運命的だと思っています」
——作品は、ひとりの女性の死をきっかけに、かつての仲間たちとの美しい思い出がゆらいでいくさまを描いた群像劇。脚本と演出を手がける蓬莱竜太さんとのタッグを、吉高さんはかねてから熱望していたそう。
「蓬莱作品を観ると、自分でも忘れかけていた昔の感情を、また心の底から取り出されたような感覚になるんです。観た後は誰かと感想を共有するより、“自分にはどう響いたのか”を確かめる作業が多かった気がして。今、生きている自分と対峙させられるようなまっすぐさを感じます」

——演じるのは、かつて大学で女子フットサル部のキャプテンを務めていた、主人公の金田海。他人のお別れの会に紛れ込んで、食事をして帰る……という行為を繰り返していた彼女は、ある日入り込んだお別れの会で、かつてのフットサル部の仲間たちを目にします。
「彼女は、昔の方がキラキラしていて、感情の起伏も豊かだったんだろうなと思える子。でも今はどこかが欠落していて、自分がなぜ虚しいのかもわかっていないまま、味のしなくなったガムを噛んでいるような日々なのかな。知らない人のお別れの会に紛れ込むような行為をしているのも、他人の悲しみに寄り添うことで、自分も救われているのかな、と感じました」
——過去の回想では、実際にフットサルをするシーンもあるそう。
「フットサルの経験? もちろんないです(笑)。ポジションさえも分かってないくらい。でも、あまりにもボールを蹴る姿がさまになっていないと困るので、みんなでフットサルの稽古も受ける予定。静の舞台というよりも“動”の舞台になりそうです。これは舞台だけでなく、すべての作品に言えることですけど、自分のせいで現場を止めたくない。くじけそうな自分を立て直すための、精神力を鍛える期間にもなりそうです」
——今は怖さだけではなく、実際に舞台に立った瞬間に自分が何を感じるのか、楽しみな気持ちも。
「舞台は一度出たらもうスタッフさんはいなくて、自分たちで何とかしないといけない。映像だとそれはなくて、嘘みたいにすぐ目の前にカメラマンさんがいるし、常にスタッフさんが近くにいる。今回3年ぶりに舞台に立って、自分はどちらの方が浸れるんだろう……? って。終わる頃の自分が楽しみでもあります。異空間に自分も一緒に連れてこられるような感覚が、舞台の楽しさ。今回も過去と現在を行き来する物語の中に、観る人を連れて行きたいです」
吉高さんへのQ&A
——公演中のルーティンは?
前回の舞台は劇場が下北沢だったので、カレーを食べまくるというルーティンがありました(笑)。今回の渋谷もおいしいお店がいっぱいあるので、やっぱり食べる楽しみが大きいですね。「これをがんばったら、おいしいものが食べられる」と思うと、ふんばれるんです。
——フットサルのシーンもあって、体力も使いそうな作品ですが、毎日のリカバリー方法はありますか?」
たしかに、きちんと回復させないといけませんよね。夜はいかに快適に寝られるかも大切にしていて。毎晩ふとん乾燥機をかけて、ベッドに入る瞬間にベストなあたたかさになるようにしています。そのタイミングを計っているうちに、寝るのが遅くなっちゃうこともあるんですけどね(笑)。
——年末年始はちょうど東京公演と大阪公演のあいだですが、どのように過ごす予定ですか?
とくに決めていません。お正月に限らず、“予定を立てる”って喜びでもあるけど、その時間に合わせて動かなきゃ、とプレッシャーにもなるんですよね。今年はお正月明けにすぐ公演があるから、忘年会や新年会を楽しんでいるうちに台詞を忘れないように気をつけないと(笑)。

Profile
吉高由里子
1988年生まれ、東京都出身。2006年、映画『紀子の食卓』でスクリーンデビュー。2008年、主演映画『蛇にピアス』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2014年、連続テレビ小説『花子とアン』でヒロインを演じる。近作に大河ドラマ「光る君へ」、ドラマ「最愛」「星降る夜に」、映画『きみの瞳が問いかけている』など。
作品情報

パルコ・プロデュ│ス2025 シャイニングな女たち
金田海(吉高由里子)は働く傍ら、他人のお別れの会に紛れ込み、ビュッフェを食べて帰る行為を繰り返していた。ある日、入り込んだお別れの会で金田は見覚えのある顔に出会う。それはかつてキャプテンを務めていた女子フットサル部の仲間たち。一人の女性の死をきっかけに浮かび上がる記憶の齟齬が、美しかったはずの思い出を歪ませていく——。
作・演出:蓬莱竜太
出演:吉高由里子 さとうほなみ 桜井日奈子 小野寺ずる 羽瀬川なぎ 李そじん 名村辰 山口紗弥加
2025年12月7日(日)~28日(日) 東京・PARCO劇場
2026年1月9日(金)〜2026年1月13日(火)大阪・森ノ宮ピロティホール
2026年1月16日(金)~2026年1月18日(日)福岡・福岡市民ホール 中ホール
2026年1月24日(土)〜2026年1月25日(日)長野・サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター) 大ホール
2026年1月29日(木)~2026年1月30日(金)Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
※蓬莱竜太さんの「蓬」は「1点しんにょう」が正式表記です。
photograph:Chihaya Kaminokawa styling:Hiromi Shintani hair & make-up:Akemi Nakano text:Hanae Kudo
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