冬の日照不足が原因で引き起こされる不調「ウィンターブルー」。気分が沈みがち、ベッドから出られないなど、ウィンターブルーによる症状の重さはさまざま。そこで、不調とうまくつき合うためのコツを整体師の松田俊輔先生に伺います。
1.日々のささやかな心がけが
冬の元気の源に
夏にピークを設定し、冬はのんびりと過ごす
整体師という職業柄、普段から“体がだるくて仕事や家事ができない”などのさまざまな不調を抱える患者さんと向き合っている松田俊輔先生。自身もウィンターブルーを患い、今は働くピークを夏に設定し、冬はできるだけのんびり過ごすという1年のサイクルを大事にしていると言います。
「僕自身が体や仕事の環境を変えてウィンターブルーの症状が軽くなった年がありましたが、次の夏に無気力になってしまった経験があり、治療して冬を元気に過ごせても夏バテがひどくなる可能性が高くなるのでは?と整体師としては葛藤の日々です。日本人は和歌で四季を詠んだり、雪の季節は囲炉裏の前で手を動かしてモノを作り、春先にそれを売りに出かけ、季節の移ろいに合わせた生活をしていました。だから、ウィンターブルーの症状を出さないようにするよりも、どこでバランスをとるか。劇的な改善ではなく、電車移動中にはスマホを見るのではなく外の景色を眺めるなど、気分を少し底上げすることに重点を置いてみては。そして、決して一人で抱えこまないことも大切。家族や同僚、上司にも甘えましょう。そのうえで、自身が取り入れやすい方法を試してみるといいと思います」
体を脳を休めて、エネルギー不足に備える
冬に意欲がわかないのは日本人に合わない食生活や、脳や体が緊張し、しっかり回復できていないことにも要因があるそう。
「セロトニンが注目されがちですが、人間はどの栄養やホルモンが不足しても気分の落ち込みが見られます。女性なら鉄分が足りないだけでも不調につながります。体内にはいろんな栄養素が行き来して、体を作り、エネルギーになります。ただ、必要な栄養素が足りなくても症状はすぐには出ないので、気がつくのに時間がかかってしまうのです。最近は糖質過多と、質的な栄養不足になっている人が多く、エネルギーの貯金がない印象です。植物と同じく、冬になると消化吸収の活動が低下するので、エネルギーが不足して症状が強くなる一面も。やる気はある、頭ではすごくがんばってる。けれど、体が動かないという人が多いです。そんなときは無理せず、できるだけ体と脳を休ませてください」
2.冬に心がけたい5つのTIPS
<IDEA 1>
栄養素をきちんととれる
食事を意識する
まずは体に合った食事でエネルギーを確保することが先決! 日本人の腸内細菌は小麦よりもお米と相性がよく、ウィンターブルーの症状が出ているならタンパク質との同時摂取は避けて腸内環境を整えましょう。
①お米を積極的に摂取する
②高タンパク質の食事を意識
偏食になりがちな現代人に多い新型の栄養失調を予防するためにもタンパク質は必要不可欠。一汁一菜の食事ではタンパク質が不足するため、炭水化物をとらないときはお肉やお魚で栄養バランスを整えましょう。
<IDEA 2>
エネルギー不足は休憩を大切に。
15分でいいので仮眠をとる
しっかり寝たのにまだ眠いというのは体が出しているSOSのサイン。特にデスクワークでパソコンの前にいる時間が長いなら、15分ほどの仮眠をとって体と脳を回復させてあげると新たにエネルギーを充電できます。
<IDEA 3>
暮らしに取り込める
リズム運動、上下運動を行う
1秒間に2拍くらいのリズム運動がセロトニン不足には効果的。ウォーキング以外にも足裏から脳へ刺激を送ることができる上下運動を取り入れて。視線はまっすぐ前。無理なく続けられるペースを保つことも忘れずに。
上下の振動を与える
<IDEA 4>
太陽光の強い土地へ
思い切って旅行に
まとまったお休みを取れるなら、思い切って今生活している地域よりも気温が高い地域へ旅行に! 松田先生のおすすめは沖縄。ローシーズンのため、リーズナブルでおいしい豚肉料理でタンパク質も摂取できます。宮崎や高知も◎。
<IDEA 5>
なるべく遠くを見る習慣で
リラックス効果アップ!
スマートフォンや手元を見ることが多い現代の人は、目が緊張してそれが体に伝わってしまうことが多いそう。歩くとき、ふとした休憩のとき、なるべく空や遠くを見ることで呼吸が深くなり、リラックス効果が生まれるので、眼球の動きを意識して。
教えてくれた
松田俊輔さん profile
text:Mai Takasaki illustration:Shinco Uematsu web edit:Riho Abe
リンネル2018年3月号より
※画像・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください
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