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鼻とのどの粘膜力を高めて感染症に負けない体に! 鼻とのどの粘膜力を高めて感染症に負けない体に!

のどと鼻 粘膜力 感染症対策 ヘルスケア 浦長瀬昌宏

風邪から体を守る最前線が、鼻やのどにある粘膜。乾燥や寒さで衰える粘膜の力を高めて、病気を予防しましょう。

目次
鼻とのどの粘膜力を高めて感染症に負けない体に!
  1. 感染症を防ぐ! 鼻とのどの粘膜が果たす役割
  2. 鼻とのどの粘膜が衰えると感染から身を守る力もダウン
  3. 冬に粘膜力が低下する原因
  4. 鼻・のどの粘膜力を守る日々の習慣
  5. リンネルおすすめ粘膜ケアアイテム
  6. 教えていただいたのは……神鋼記念病院耳鼻咽喉科科長 浦長瀬昌宏先生

感染症を防ぐ!
鼻とのどの粘膜が果たす役割

鼻の役割

●吸った息の温度や湿度を調節する

鼻水が一日中たえず分泌しているのは、鼻から入った吸気をしっかり保湿するため。吸った吸気に湿り気をあたえて、温度をあげることで、肺への負担を少なくしています。

●花粉やごみなどの異物を取り除く

鼻の粘膜には線毛があって、吸気に含まれる花粉やごみを取り除く役割を果たしています。ウイルスなど異物を含んだ鼻汁をのどにむけて流し込むことで、異物を取り除いています。

●鼻汁の力で感染を防ぐ

鼻汁のなかには、さまざまな感染を防ぐ物質が存在しています。免疫物質のIgA、細菌の壁を分解するリゾチーム、鼻粘膜に異物がくっつくと排出するラクトフェリンなど。

 

 

のどの役割

●のどで食べ物の誤嚥や逆流を防ぐ

ものを飲み込むと、のどの奥にある喉頭が動いて、食べ物を食道に、空気を気管に送り分けます。気管や肺に食べ物や唾液が入る誤嚥や、胃からの食べ物の逆流は、のどで防いでいます。

●リンパ組織で抗体を作り感染を防ぐ

のどの奥には細菌やウイルスに対する抗体を作るリンパ組織があり、のどの粘膜の感染を防いでいます。さらに、抗体を作るリンパ球を鼻や耳の粘膜にも送って、感染から守っています。

●唾液腺から唾液を出して抗菌や消化を促す

鼻汁と同様に、IgA、ラクトフェリン、リゾチームなどの抗菌物質のほか、デンプンを分解するアミラーゼ、虫歯を防ぐハイドロキシ・アパタイトを含む唾液を口内の唾液腺から分泌します。

 

 


鼻とのどの粘膜が衰えると
感染から身を守る力もダウン

なぜ冬は風邪をひきやすいのでしょう。「実は、風邪のウイルスの多くは、突然どこかから入ってきたのではありません。症状が出る前から鼻やのどにいろんな病原体が付着しており、粘膜が、体内への侵入を防御しているのです」と語るのは、神鋼記念病院耳鼻咽喉科科長の浦長瀬昌宏先生。呼吸した空気はまず、鼻を通って肺に送り込まれます。鼻汁は1日に1・5ℓほど分泌され、異物が入ってきたときは鼻汁でつつみ、粘膜に生えている線毛によってのどの奥に送ります。また、のどの粘膜の奥には、感染から身を守るリンパ組織があり、感染を防いでいます。

「そんな防御システムでウイルス感染から身を守る粘膜ですが、乾燥して低温になる季節は、粘膜の働きが悪くなります。それで冬は、風邪やインフルエンザなど、呼吸器系の感染症が増えるのです」

粘膜は、年齢とともに衰えることもわかっています。病気でもないのに、鼻の奥に鼻汁がたまったり、朝だけ鼻汁が多く出るのは、粘膜の衰えのサイン。粘膜の衰えは、感染症だけではなく、嗅覚や味覚、聴覚などにも影響をあたえ、発声がしにくくなるなどの症状にもつながります。鼻、のどの粘膜力を守る習慣を始めましょう。


冬に粘膜力が低下する原因

乾いた空気を吸って
粘膜が乾燥しやすい
乾燥した空気を吸い込んでも、本来は、鼻の粘膜によって加湿されます。しかし、冬場は一日中乾燥した環境で過ごすことが多いので、鼻の粘膜にとっては大きなダメージに。また、夜、口を開けたまま寝てしまうのも、のど粘膜の乾燥の原因。適度な加湿が大切です。
粘膜が冷えたり
冷たい空気で刺激を受ける
冷えた状態が続くと、鼻やのどまわりの血流が悪くなり粘膜に悪影響。粘膜が弱って冷たい空気が直接肺に入ると、肺にダメージをあたえてしまいます。また、急に冷たい空気を吸うことで粘膜の刺激になり、くしゃみや鼻汁が出やすくなります。
鼻をかんだり、さわることで
粘膜が刺激を受ける
乾燥や寒さで鼻汁が出ると、自然と鼻をかむ回数が多くなりますが、それが粘膜へのダメージになります。粘膜が弱った状態で、さらに乾燥や冷たい空気などの刺激を受けると、くしゃみが出て悪循環に。年齢とともに粘膜も弱くなるので要注意。

鼻・のどの粘膜力を守る日々の習慣

お肌ケアするように、冬は粘膜のケアも心がけましょう。カギは、加湿することと、粘膜を自分で傷つけないことです。

【温タオルや入浴で加温・加湿】
蒸気で温かい、粘膜には最高の環境
湿度と温度の高いお風呂は鼻とのどの粘膜がよろこぶ環境。38~40℃の湯船に10分以上つかるのが◎。さらに、湯温より少し高い温度の蒸しタオルを鼻や首にあてるのも効果的。一時的に鼻水を止めたいときは、40℃以上の熱いお湯につかる方法もあります。

【これに注意!】ぬるめのお湯につかると副交感神経優位になり、一時的に鼻水が出ることがあります。
【正しくうがいをする】
大きな音をたてるうがいはNG!
うがいはのどの異物を洗い流し、加湿にも効果があります。ただし、うがいは、「ガラガラうがい」ではなく、「ブクブクうがい」で十分。ガラガラうがいをすると、弱っている粘膜を傷めてしまいます。静かにのどの奥に水を入れて吐き出すのが◎。

【これに注意!】
うがい薬は刺激が強いので、粘膜を傷める場合も。水か緑茶でのうがいがおすすめ。
【寝室の湿度を保つ】
スチーム式の加湿器で
快適な湿度に調整
部屋の中、特に寝室の湿度は50~60%に保ちましょう。加湿器はスチーム式がおすすめ。沸騰したお湯から出る蒸気で加湿するので、雑菌を含まないうえ、温かくて加湿効果も高くなります。

【これに注意!】
超音波式、気化式の場合は、こまめに清掃すること。
【鼻呼吸をする】
鼻呼吸のフィルターでウイルスの侵入を防ぐ
口呼吸を続けると、のどのリンパ組織が乾燥し、機能が弱まります。口の中も乾燥して雑菌が増える原因に。マスクをしていると、口が開いてしまいがちなので、鼻呼吸を意識して。鼻呼吸は副交感神経を優位にしてくれるので、気分も落ち着きます。
【睡眠時も鼻呼吸を!】
いびきには注意! 横向きで寝るだけで改善
朝起きると口の中がカラカラだったり、いびきをかく人は口呼吸になっています。あお向けで寝ると舌の根元がのどの奥に落ち込みやすくなるので、横向きかうつぶせで寝るのがおすすめです。肥満気味の人も寝ているときに気道が狭くなりやすいので、要注意。
鼻がつまったときは・・・
ペットボトルなど、かためのものを片方のわきの下から指3本下に押し付けます。挟んだのと反対側の鼻のとおりが一時的によくなるはず。
【姿勢よく過ごす】
のどを傷める逆流性食道炎は
前かがみの姿勢が原因
前かがみの姿勢になると、腹圧がかかり、胃液が食道に流れ込む逆流性食道炎になりがち。逆流性食道炎は、のどの粘膜を傷める原因。胸焼けがしたり、咳が続いている場合は、これが原因かも。座りっぱなしにならないように休みながら、姿勢よく座るよう心がけて。

【これに注意!】
食後や飲酒後すぐ寝ると、胃の内容物が戻りやすいので、2時間は空けて寝ましょう。

リンネルおすすめ
粘膜ケアアイテム

シルクフェイスマスク
乾いた空気から鼻、のどを守る
シルクマスク
頭を入れた状態で耳にかけ、スヌードのように首もとまでおおえるマスク。エアコンなどの乾いた風からのどを守り、そのまま楽に就寝できます。おやすみケア シルクフェイスマスク各¥2,640/絹屋(大醐)
スチーム吸入器 パナソニック
温かいスチームで
粘膜をケアする
43℃のたっぷりスチームが、のど、鼻の奥までうるおします。鼻腔と咽喉の加湿・洗浄により不快感の改善に。スチーム吸入器 EW‐ KA65 ¥14,000(編集部調べ)/パナソニック(パナソニック 理美容・健康商品 ご相談窓口)
ヴイックスヴェポラッブ
鼻づまりをやわらげる
塗る風邪薬
胸やのどにぬることで、有効成分が蒸気となって吸入されて、鼻づまりの症状を緩和。血行をよくして、体を温める効果も。ヴイックスヴェポラッブ[指定医薬部外品]50g ¥1,100/大正製薬(大正製薬 お客様119番室)

教えていただいたのは……神鋼記念病院耳鼻咽喉科科長 浦長瀬昌宏先生

粘膜力 感染症対策 ヘルスケア 浦長瀬昌宏
医学博士、神戸大学医学部卒業。鼻治療や嚥下障害の予防を中心に診療を行う。著書に『肺炎・ウイルス感染症にならない のど・鼻の粘膜の整え方』(主婦の友社)

Text:Ema Tanaka Illustration:Kayo Yamaguchi web edit:Masako Serizawa
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
リンネル2022 年2月号より

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