子育てを機に臨床心理学を学びはじめたというアートディレクター・デザイナー田中千絵さん。日々さまざまなことに興味を持ち、体験や学びの時間を大切にしています。そんな田中さんにお話を伺いました。
ハードルは低く、日々を楽しくする努力をする
もともと臨床心理学に興味があり、本を何冊も読んでいたという田中さん。お子さんのことを相談するため、スクールカウンセラーと話したのをきっかけに、大学院受験をめざして、現在予備校に通って勉強中なのだとか。
「国会図書館に通って、たくさんの論文を読むことで推しの研究者もできました。また、ソーシャルスキルトレーニングのオンライン・セッションの手伝いをするようになり、今までとはまったく違う世界で、若い世代の友だちがたくさんできました。デザインを入り口に臨床心理学に興味を持てたり、いろいろなところで今の仕事にフィードバックできるのが意外でした。困っている人にデザインが届いてほしいし、心理学の専門的な知識があると武器になり、説得力にも繫がるなと感じています」
心理学での学びは、お子さんとの関係にも影響があったそう。
「心配して子どもに言っていたことも、言わないで観察したり、無駄にぶつからずに、引き算ができるようになりました。勉強すればするほど学ぶことが増えますが、モヤモヤは減り、わからないなりにも理解できるようになりました。子どもは親の背中を見ているから、勉強しろと言うだけじゃなく、お母さんが勉強したり、楽しんでいる姿を見せるほうがお互いにいいのかなと思います」
さまざまなことに興味を持ち、友人と集まるコミュニティを持つなど、日々を楽しくする努力をしている田中さん。
「年齢は関係なく、興味を持ったことに自分から踏み出すのはいつでもできます。楽しいことや好きなことがあると、嫌なこともその前にやろうと思えるから、生活にリズムが生まれるのもいいですよね。2回くらいやれば、“趣味です”って言っていいと思うんです。そのくらいハードルを低くして楽しんで、いつまでも好奇心を絶やさないでいたいですね」
子育てを機に、臨床心理学を学びはじめた
二人のお子さんを育てる田中さん。子どもの個性と反抗期を理解するために、昨年からはじめたのが臨床心理学でした。「知っておくと、普段の生活や仕事に役立つことがたくさん。今まで自然とやっていたことも、専門的に勉強するとこういうことかと裏づけができて、人づき合いもしやすくなりました」
ノートにもカバーをつけ、色ペンやハンコを押して見やすく、カラフルに。「デザイナーという仕事柄、目から入るほうが理解がしやすい。視覚的なものがやる気を起こさせるので、文房具もかわいい、楽しいものをそろえるようにしています」
やる気UPのため朝型生活にシフト
夜にやる気が出ないので、22時に寝て朝6時に起きる朝型の生活に。「日が沈んだら、次の日の朝の自分に期待して仕事はしない。朝の1時間は、夜の3時間分くらい集中できます。友人と朝早く集まって、朝ごはんを食べに行くことも。午後から仕事ができるから、1日を有意義に使えるお得感で最高にやる気が出ます」
朝型生活のきっかけになった遠近両用の眼鏡
眼鏡スタイリストさんに選んでもらった、ドイツのブランド「frost(フロスト)」の眼鏡。「やる気が出ないのは、目が見えにくいのが原因かと調べたら、視力も下がっていて。目を労るために、遠近両用にしました」
トレイボーで朝から仕事も快適に
「Yogibo」のクッションにバンブートレイがついた「Traybo」を愛用中。「パソコンを膝に載せると冷たいですが、これがあれば朝起きてすぐ、ベッドの上で仕事もでき、朝からやる気が削がれません」
複数のコミュニティを持つ
普段は一人で仕事をしている田中さんは、意識的にコミュニティを作るようにしているそう。「メンバーが増えたり、共通の趣味で仲よくなったり、もともとの知り合いと繫がったり、循環していく感じ。仕事以外にいつも行くところがあると、発見も多いです。習い事までいかない、趣味のところでみんなで集まる場所があるのは、贅沢な楽しみです」
朝時間を活用し、金継ぎ教室
10人ほどのメンバーで、月に2回開催の金継ぎ教室へ。「素敵なオフィスを貸していただき、そこで友人に教えてもらっています。みんなで欠けた器を持ち寄り、余力のある人は手伝いをしたり、来られなかった人の分をやっておいてあげたり、小さな思いやりが楽しくて」
インドの炊き込みごはんビリヤニを食べ歩く
ビリヤニは、インドのお祝いなどで食べられるスパイスの炊き込みごはん。「友人と3人で同好会を結成し、月に2回食べに行きます。お店ごとに個性があって、スパイスにも興味が湧きます。いつかまとめて本にしようと話し中」
日々頼りにしている漢方薬も興味の対象に
元気がないかも?、肩こりがひどい、よく眠れていないかも?など、日々のプチ不調を緩和する漢方薬をお守り代わりに持ち歩いて。「生薬のおもしろさと植物の可能性、神秘的なビジュアルも興味深いです。1年半ほど前から婦人科の先生に通って処方してもらっていますが、知っていると小さな不安にゆったり対応できそうな気がします」
田中千絵さんが気持ちを保つ日々の工夫
勉強道具を好きな紙でカスタマイズする
紙好きとしても知られる田中さん。タイトル部分を切り抜き、ちょっとした装丁気分でカバーをかけて。「本を持ち歩くと表紙がボロボロになるし、ノートは3 冊をまとめてお気に入りの紙をつけると、持っていくのを忘れません。同じ内容でも、かわいいカバーを見るとリフレッシュになります」
お話を伺った
田中千絵さん profile
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photograph:Kasumi Osada text:Mayumi Akagi web edit:Riho Abe
リンネル2023年2月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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