縄文時代から接着剤として使われてきた漆。欠けたり割れたりした陶磁器を、漆と金を使って直す伝統的な技法が金継ぎです。 今回、「欠けた器がたくさんある」という器好きの麻生久美子さんが、金継ぎでお気に入りの器をよみがえらせます。先生は、金継ぎ教室を行っている器ブランド「Zen(繕)」を主宰する渡辺敦子さん。
- 金継ぎを教えてくれた渡辺敦子さん Profile
- 日本特有の文化。金継ぎの歴史とは?
- さっそく、金継ぎレッスンスタート
- 女優・麻生久美子さん Profile
教えてくれたのは…渡辺敦子さん
壊れても直して使える“サステナブルな器”のブランド「Zen(繕)」主宰。セレクトショップ「かぐれ」ディレクターの後、岩手県遠野市、神奈川県鎌倉市を経て長野県へ家族4人で移住。
日本特有の文化。金継ぎの歴史とは?
「金継ぎには長い歴史があります。ウルシの木の樹液(=漆)は、縄文時代からすでに接着剤として使われていました。発掘された縄文土器にも、漆で接着した跡があるのですが、金などで装飾するのは室町時代以降のお茶の文化の影響です。そういう価値観が日本的で、 海外の東洋趣味の人たちの間でも人気で。『KINTSUGI』と言われてるんですよ。ウルシは東アジアにしかない木ですし、金継ぎは日本だけの技術。漆は20〜25度の気温、70〜85%の湿度の環境だと早く固まります。特に蒸し暑い日本の夏がぴったりなんです」(渡辺さん)
さっそく、金継ぎレッスンスタート
先生の話を興味深そうに聞いていた麻生さん。さっそく作業スタートです!
金継ぎは何日か乾燥をさせる工程が複数あるため、今回麻生さんは、工程の最初と最後を体験します。
※生漆を使うためかぶれないように、必ず手袋と長袖を着用してください。体質によっては触れなくても首まわり、顔まわりもかぶれる可能性があるため、肌の露出はひかえめに
STEP 1:漆で欠けを埋める
割れてしまったところ(A)と、先が小さくへこんだ(B)。(A)は乾燥に2週間はかかるため、写真のように事前に先生がくっつけてくれました。今日は(B)の部分を麻生さんが修復していきます。
(B)のような小さな欠けやへこみには、砥の粉と水と漆を混ぜたもの(さび漆)を塗布して、穴をカバーしていきます。
まず、砥の粉と水と漆をよく混ぜたさび漆をヘラでよく練り、パテ状にします。
ちょんちょんとヘラを使って、欠けた部分をさび漆で埋めます。漆が乾いていない状態で触ってしまうとかぶれるのでご注意を。
STEP 2:乾燥させ、やすりで整える。精製漆を2〜3回塗る。
2〜3日乾燥したら紙やすりなどで、なだらかに整えます。その後、精製漆を塗り、乾いたらその上からまた塗るのを2〜3回繰り返します。
STEP 03:金をまいていく。
いよいよ最後の仕上げ。事前に先生が継いでくれた(A)の部分の継ぎ目をなぞるように、仕上げの漆を塗ります。漆は、乾燥すると茶色くなる白漆を使います。乾いたかどうかが判断しやすいそう。
30分ほどして、白漆が半乾きになったら、金粉をまぶします。白漆があまり乾いていないと、どんどん金粉が漆のなかに沈んでしまうので、よく乾かすこと。金粉の代わりに、銀や赤い弁柄漆にしてもいいそうです。
少しおいてから余分な金粉を払うと……! あのよく見る金色の美しいラインが浮かび上がりました。「わー、きれい!」と感動する麻生さん。
まだ途中ですが、今日のレッスンでは一応完成。このあと、十分乾燥させてから生漆で抑え、さらに磨く工程があるとか。金継ぎは奥が深い世界です。
「ずっとやってみたかった金継ぎ。こんなに時間がかかるとは知りませんでしたが、割れたものがよみがえって、新しい美しさを持つって素敵なことですね(前よりよくなったかも!)。これから、器が割れてもショックが少なくなりそう。うちにはまだまだ欠けた器があるので、すべての工程をやってみて、自分でも直してみたいです」(麻生さん)
「愛着が増しました!」と、大満足の麻生さん。今は自宅で手軽にできるキットもあるので、ぜひ試してみてくださいね。
麻生久美子さん
photograph: Ryoko Amano styling: Ritsuko Hirai hair & make-up: Yumi Narai text:Tomoko Yanagisawa web edit:Liniere.jp
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