LIFESTYLE
:【市場の中で味わう絶品モーニング】 朝7時、開店。カフェ&アンティークショップが融合した空間
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:精肉店や乾物屋の並ぶ一角に店を構える「調理室池田」。早朝から賑わう川崎中央卸売場で、朝7時から開店し、日中でも客足が絶えないお店として話題を集めています。卸売市場内という特殊な場所でお店を始めた理由とは? 店主の池田さんご夫妻にその想いを伺いました。
今回のお店:調理室池田
“市場”という背景の一部になりたくて

オープンなキッチンで、調理風景がすべて見渡せます。「扉をつけてペンキを塗っただけ」というシンプルな店内で、調理機器も最小限に。東向きの光が窓から入ります。
ここは、夜明け前から大勢の人が行きかう、卸売市場。そこだけ静かな佇まいの一角からはお菓子を焼く香りが。
「4時前に出勤して仕込み、オープンは7時。朝は焼き菓子とサンドイッチ。昼はその日に仕入れたものでランチを出しています」と語る、店主の池田宏実さん。SNSでも話題になり、日中でも客足が絶えないお店ですが、本来市場がにぎわうのは早朝のみ。なぜ、ここでお店を開いたのでしょう。
「自宅で10年近く料理教室をやっていて、仕入れのためにここに通っていました。新鮮な食材が安く手に入るのはもちろん、市場にいる食のプロたちと、料理の話をするのが楽しくて」と、宏実さん。
「当時は、今入っている関連棟にいくつか空き物件がありました。ここで店を開くなら朝陽の入る角物件がいいと思っていたらちょうど空いたんです」と語るのは、夫であり、企画・ディレクターの講平さん。
実は講平さん、17歳のときから「いつかは自分の店を持とう」と決めていたそう。ライフスタイルブランドの会社に勤め、飲食部門でブランディングと新規業態開発に携わります。そのキャリアが、店をつくる大きな元となりました。
一方の宏実さんは、美術大学を卒業後、講平さんと同じ会社に入社。配属されたのは飲食部門でしたが、意外にも店舗マネジメントの仕事に向いていることに気づきます。その後、結婚、出産を経て、料理の道へ。

早起きは大変では……と聞くと、「市場は朝から活気があってそれを感じるのが気持ちいいので」と宏実さん。
市場での開店に積極的だったのは講平さんでした。新規開店なら駅近や人通りが多い場所を選ぶのが鉄則ですが、「人と同じことをやってもおもしろくない」と考えて、この場所に決めたそう。
1階はカフェ、倉庫だった2階は講平さんが仕入れたアンティークショップに。
宏実さんは市場で働く人たちに、どんなお店がいいか聞きました。
「朝、立ったまま食べられるもの」「パンが食べたい」という声でメニューは決定。マグロ屋さんも紹介してもらい、ツナメルトサンドがお店の看板メニューになりました。
「市場は昼の12時に終わってしまいますが、一般客が増えたので、その日の仕入れで日替わりランチを始めました。もともと料理の中でも買い物しているときがいちばん楽しいんです」
コンクリートの簡素な店内に、アンティークの家具がマッチした店内でいただけるのは、揚げてしまうのはもったいないような肉厚な魚のフリットや、朝採れのベビーリーフなど。市場ならではの食材を活かしたメニューと、センスを感じる空間が融合した調理室池田は、そんな二人が歩んできた人生が形になったものなのです。

定番メニューの魚のフリット。この日は、スケソウダラとヒラメ、ホタテ。新鮮な魚は身がやわらかくて絶品!
1階はカフェ、2階はアンティークショップに

レモンケーキのウィークエンドシトロンが人気メニュー。レモンたっぷりの生地にアイシング。

2階のギャラリーは、フランスのアンティークを中心に展示・販売。
心地よい空間が多くの人に愛される理由に

ギャラリーのある2階につながる階段。店内の家具は店を始めてから一つ一つ集めていったもの。シンプルで温かみのある木材で統一されています。
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photograph:Isao Hashinoki text:Ema Tanaka
リンネル2024年4月号より
※写真・文章の無断転載はご遠慮ください
※掲載している情報は取材時のものです。現在は変更になっている場合があります
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