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:【自宅の地震対策】部屋ごとに備え方を解説!今すぐできる「防災×収納」の考え方を取り入れて、普段から暮らしやすい家に
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地震などの災害はいつ起こるかわかりません。自宅の収納を防災目線で考えることで、日頃からの備えにも住み心地のよい家にもつながります。リビングのテレビ、キッチンの食器棚など、対策するポイントをおさえてスムーズに避難できる部屋づくりを心がけましょう。ローリングストックを取り入れるのも大切です。
教えてくれたのは…防災収納インストラクター 松永りえさん
「防災×収納」の基本的な考え方は?
暮らしやすさと安全の両面で大切なのが整理整頓。家具の配置や転倒防止対策をすることで、いつでも避難しやすい環境作りを。
- ・ものを少なくして、避難経路の障害をなくす
- ・安全なのは見せる収納より隠す収納
- ・防災グッズ&フードは使い慣れたもの、食べなれたもの
- ・ポータブルライトで停電時に備える
- ・避難用持ち出し袋の中身は、家族全員で把握
揺れがきたあとでもスムーズに避難できる家が◎
「2016年の熊本地震で被災し、熊本市内だった我が家は、テレビが転倒、ペンダントライトが割れて落下したり、植木鉢や雑貨が破損しました。幸い、家具に挟まれたりなどの大きなけがにはつながりませんでしたが、家の中の備えの大切さを痛感しました」と、語る松永さん。
それまでは、整理収納アドバイザーとして、暮らしやすさを大切にしてきましたが、震災後は安全を最優先に考えたそう。特に大事なのは、家の中が整理されていること。「家中がものであふれていたら、もしものときにスムーズに行動できませんし、火事が迫ったときにも燃えやすい。すっきりした暮らしは、安全の第一歩なのです」。
また、収納家具は背の低いもののみにする、収納のトビラには耐震ラッチを取りつける、倒れてきそうな雑貨は、耐震用ジェルで固定するのも大切。
「防災グッズに関しても、外に持ち出すものは玄関のそば、保存食や水は各部屋に分散するなど、適材適所が大切。せっかく準備しても使いなれないと意味がないので、試しに使ってみる、食料も食べなれたものをストックしています」。こうした備えが安心につながります。


熊本地震で割れて落下したペンダントライト。真下にいて直撃していたら大けがの可能性も! シーリングライトが安心です。
「防災×収納」を取り入れた部屋づくり①
リビング
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- ・テレビは動かないよう固定
・本棚にはすべり止めテープが有効
・収納家具は背の低いものを
・重いものは耐震ジェルで固定
背の低い収納は
開放感が生まれる効果も

テレビボードを使うなら、ロータイプを選んで。この機会に、壁付けテレビにしたり、テレビ専用のベルトや器具で固定を。
家族が集まるリビングは、ものが多くなりがちな場所。「だからこそ、倒れない、落ちない、動かないの3つの『ない』が大切になります」。
まず、大きくて重いテレビや家電製品は、すべり止めや転倒防止板を敷く、耐震ポールで支えるなど、動かないようしっかり固定すること。また、リビング収納は背の高い家具は置かず、ロータイプか、または作りつけの収納を活用するのがおすすめ。インテリア性の高いペンダントライトは、地震の揺れによって天井にあたって割れる可能性もあるので、天井に直接取りつけるシーリングライトのほうがおすすめです。


家具には転倒防止策を
高さのある家具、倒れそうな家具の下は、転倒防止板で固定するのがおすすめ。床になじむ色もあります。

リビング収納内にローリングストック
リビングの収納には、ローリングストックになる食材などをスタンバイ。プラケースは、いざというときに水もためられます。

窓際にものを置かない
窓際に重い家電や植木鉢などを置いておくと、揺れで窓から飛び出し落下して被害を出す危険が。窓際は避けて。
「防災×収納」を取り入れた部屋づくり②
玄関
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- ・ヘルメットや非常持ち出し袋をスタンバイ
・通路をふさぐものを置きっぱなしにしない
・センサーライトで避難経路を明るく
避難経路& 防災グッズの
置き場所を確保

下駄箱の下段には、夫婦2人分の非常持ち出しリュックをスタンバイ。
玄関は、地震や火災などすべての災害で避難口となる場所。閉じ込めを防ぎ、最速で避難するために、さっそく片づけを。通販で届いた段ボールが山積みになっていたり、通路をふさぐ位置に家具が置いてあると、立ち往生してしまうので撤去しましょう。余分な靴が出しっぱなしになっているのも邪魔になります。
また、停電になってしまうと玄関にたどり着くのも大変なので、電池式のセンサーライトを玄関ドアの内側につけたり、懐中電灯を置いて、避難経路を照らすのがいいでしょう。災害用のヘルメットや非常持ち出し用のリュックも、玄関に収納しておくと、避難時にスムーズ。
蛇腹式防災用ヘルメットが省スペース


防災用のヘルメットは、A4ファイルの大きさになる蛇腹式のタイプが便利です。玄関の近くに収納を。

〈ビクトリノックス〉のマルチツール
©Moomin Characters™
「防災×収納」を取り入れた部屋づくり③
キッチン
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・吊戸棚など、頭上に重いものを置かない - ・食器棚には耐震ラッチをつける
- ・吊るす収納や見せる収納は控える
割れやすいものが集まる場所は
しまう収納で対策を


吊戸棚は、揺れを感知したら開かなくなる耐震ラッチをつけるのが◎。重いものは下に、軽いものを上に置くのが鉄則です。
重い調理家電や食器など、倒れたり落ちたりしたら危険なものが多いキッチン。家族が無事でも、キッチンがぐちゃぐちゃで何もできない……となると、生活への影響は大。ほかの部屋以上に、転倒、落下防止をしましょう。
「電子レンジなどの家電にはすべり止めをつけています。食器は落下しない引き出し式の収納がおすすめですが、中ですべって割れることもあるので、すべり止めシートを使用しています」。
また、ライフラインが止まったときでも使える、カセットコンロとガスボンベ、直火用のフライパンなどがあると◎。高密度ポリエチレン袋があるとパッククッキングもできます。
飛び出したら危ないもの
割れやすいものにはすべり止めを

包丁などを飾る収納にしていると飛んでくる可能性があり危険! 引き出し式の食器収納は、なるべく同じ種類の食器でそろえて、重ねておくと動きにくくなります。

すべり止めシートで動かない!
重さのある電子レンジは、厚みのあるすべり止めを

ローリングストックで
いざというときも安心
非常食を用意するときに大切なのが、ローリングストックの考え方。
「普段備えている食料品や衛生用品を少し多めに準備しています。生活の中で消費して減ったものは必ず買い足すことで、非常時の備えになります」。
賞味期限の早いものから食べることで、災害用に用意したものを「食べないで処分する」というムダを省けます。また、いつも食べなれているものがあることは、安心感にもつながります。
「何より大切なのは水。大人は1日3L×7日分が必要です。家中に分散していいので、備蓄スペースを確保しましょう」

袋のラーメン、レトルトのカレー、粉末やフリーズドライのスープ、ロングライフのパンなどを備蓄しています。

水で簡単に戻せる乾燥野菜があれば、カップ麺や即席の味噌汁に入れられます。

グラノーラはロングライフ牛乳と一緒に。ホットケーキミックスも調理しやすい。

フリーズドライのスープや味噌汁は、普段の朝食などに使うものをローリングストック。
「防災×収納」を取り入れた部屋づくり④
寝室
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- ・ベッドの近くに大きい家具は×
・ベッドまわりに靴or防災スリッパを
・手に取れる場所にポータブルライトを置く
寝ているときは無防備!
すぐ逃げられる工夫を

ベッド以外の家具は最低限にすることで、安全性を確保。ベッド下にローリングストックの食材や水を置いておくことで、万が一閉じ込められたときも、命をつなげます。
寝室では、就寝中に地震が起きることを考えて、対策をする必要があります。
「過去の震災でも、就寝中の圧死で多くの命が失われています。まず、ベッドに寝ている状態で上に倒れてくる位置に家具は置かないことです」。
タンスや本棚は、万が一倒れてもベッドや出入り口に影響がない場所で、転倒防止対策をして置くこと。さらに、起きてすぐ避難できるよう、ベッドサイドに靴、または踏み抜き防止対策がされたスリッパなどを置くのがおすすめ。ベッドサイドの読書灯は、ポータブルでも使えるLEDランタンにすると、停電時でも足もとの安全を確保しつつ避難できます。

ベッドサイドには停電時に使える照明を
ベッドサイドには、無印良品のポータブルLEDランタン。単一乾電池3本で、200時間点灯するので、停電が続いたときの備えに◎。

ベッド下は防災グッズの置き場所に◎
「防災×収納」を取り入れた部屋づくり⑤
トイレ・バスルーム
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- ・出口をふさぐ場所に荷物を置かない
・非常用トイレやトイレットペーパーを備蓄

入浴中に地震があっても、まずは落ち着いて。タオルや下着、着替えなどは手に取れる場所に置くのが◎。
トイレやお風呂などは、無防備な状態で突然揺れに襲われるので、パニックになりやすい場所。ただ、ものが落ちてくる危険は少ないので、まずは落ち着いて行動を。
「いちばん心配なのは、閉じ込めなので、浴室やトイレのドア付近に、倒れてきそうな家具や荷物を置かないようにしましょう。また、入浴中は着替えを出てすぐに手が届くところに置いておくと、避難する場合もスムーズです」。
トイレの中に、非常用トイレ、トイレットペーパー、簡易トイレ、防臭袋、手指消毒用のアルコールスプレーを備蓄しましょう。
携帯トイレをスタンバイ

無印良品のファイルボックスに携帯トイレを収納。トイレットペーパーも長巻タイプがあると、収納スペースがコンパクトに。

国の防災計画では、携帯トイレは1週間分が指針なので、一人あたり最低35個以上ストック。閉じ込め時のために各部屋にも。
こちらもチェック!
photograph:Rie Matsunaga text:Ema Tanaka illustration : Kayo Yamaguchi
リンネル2024年10月号より
※写真・文章の無断転載はご遠慮ください
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