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:【私の住むまち、好きな場所。山形県山形市】山に囲まれて暮らす。自然も文化もぎゅっと詰まったまち
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山形県中部東に位置する山形市。県庁所在地でありながら四方を山に囲まれ、暮らしやすさと豊かな自然、どちらも味わうことができるまちです。
今回は、山形をはじめ東北各地で過ごしてきたフリー記者の石沢成美さんに、ふるさと山形市の暮らしのよさやまちの見どころを教えていただきました。
山形市の暮らしを紹介してくれるのは…石沢成美さん

夏は暑く、冬は寒い。盆地特有の厳しい気候にさらされつつも、自然とともに生きる楽しみを感じられるまちです。市の中心部には魅力的な建造物や、若者の手による新たなチャレンジもたくさん。山形市で生まれ育った私が、自然も都市機能もコンパクトに詰まった暮らしの魅力をお届けします。
山と共に暮らす
奥羽山脈、出羽山地、朝日連峰に囲まれた「山形盆地」に位置する山形市。
中心部は蔵王連峰から注ぐ馬見ヶ崎川の流れで作られた扇状地で、まち全体がなだらかな傾斜に覆われています。

どこを見ても必ず山がある暮らしは、山に守られ、すっぽりと収まっているような独特の安心感があります。
盆地らしく風が穏やかなまちなのですが、とにかく日ごと・季節ごとの気温差が大きいのが大変。湿度の高い夏がようやく終わったと思えば、急に冷え込んで一面銀世界になります。
でも、ここで暮らすからこそ味わえる恵みが、山形市にはたくさんあるのです。
実りの秋を感じる芋煮会
山形市といえば、おいしい食べ物。
さくらんぼやラ・フランス(西洋なし)、米、ラーメン、そば、玉こんにゃく、そして日本酒……。なかでも、実りの秋を象徴するグルメといえば「芋煮」です。

山形市内では里芋、牛肉、まいたけ、こんにゃく、ネギなどを入れ、だししょうゆで味付けをするのがスタンダード。
お盆明けごろに暑さが穏やかになると、市民は野外で大鍋をつつく「芋煮会」をバーベキュー感覚で開きます。

こちらは2023年、「ヤマガタ未来ラボ」というコミュニティが主催した芋煮会。貸出用の鍋や燃料が付いた「芋煮セット」を地元のスーパーで購入し、馬見ヶ崎川の河川敷にピクニックシートを広げ、みんなでわいわいと鍋を囲みました。

芋煮のこだわりを語り合ったり、持ち寄ったお酒を分け合ったりするうちに、初対面の人同士でも自然と笑顔に。芋煮会は胃も心も満たされるイベントであり、シャイな山形市民のコミュニケーションの場でもあるのです。
ちなみに芋煮と合わせて食べる山形のお米「つや姫」のおにぎり、具材のだしが染み込んだ締めのカレーうどんもおすすめ。じんわりと幸せな気持ちに浸れます。
心を落ち着かせたいときは文翔館へ
一方で静寂が欲しいときには、観光地としても有名な山形県郷土館「文翔館」まで散歩に出かけます。
JR山形駅から徒歩30分、まち一番の繁華街「七日町商店街」を抜けた先にたたずむ重厚な建物です。

文翔館は1916年、県庁舎・県会議事堂として建てられました。県庁の移転後は修復工事を経て無料で一般公開されています。花崗岩の石壁とスレートぶきの屋根が美しい…!

入ってすぐ目に入るのは、背筋がぴんと伸びるような赤じゅうたんの中央階段。ここから知事室や中庭、郷土史の紹介展示などを見学できます。

私が特にお気に入りなのは、渡り廊下の先にある旧県会議事堂(議場)。かまぼこ形の天井が特徴的で、少し足音をたてただけで議場いっぱいに音が響き渡ります。
議会がないときには、演奏会なども開かれていたそう。過去に思いを馳せながら静寂に浸っているうちに、日頃のもやもやがすーっと溶けていくようです。
山形市には歴史的建造物が残されていたり、国際的な映画祭が開かれていたりと、文化や芸術を大事にする風土があると感じます。こうした場に敷居の高さを感じず、気軽に遊びにいけるのもいいところです。
街の中心部はフレッシュな新店も増加中
中心部を歩いていると、比較的新しい飲食店もちらほらと見かけます。
私の散歩に欠かせないのは、2019年にオープンしたカフェ「Day & Coffee」。通りに面した大きな窓ガラスが特徴で、近くを通るとコーヒーの香りが漂ってきます。

店主の北嶋孝祐さんは、市内の東北芸術工科大学在学中に店をオープン。
居酒屋の多かった通りで明るい時間帯のにぎわいを生み出し、若者の集まる場ともなっています。

店内にはこだわりの焙煎機やコーヒー豆がずらり。
北嶋さんが好みに合わせて選んでくれる「本日のコーヒー」ももちろんおいしいのですが、私はいつも「アイスエスプレッソレモネード」を頼んでしまいます。ほどよい苦味と酸味で、すっきりと明るい気持ちになれます。

近くには学生が運営する本屋や、最近私の同級生が開いたタコス屋もあります。歴史的なものを大事にする一方で、若者の挑戦も受け入れてくれるまちなのです。
車で30分、蔵王のスキー場と温泉街
寒い冬も楽しく過ごせる理由の一つに、街中から30分で行けるスキー場の存在があります。

蔵王温泉スキー場は14のゲレンデがあり、何度行っても飽きません。晴れた日にロープウェイで頂上まで上り、樹氷を見ながら滑り降りるのは本当に気持ちいいです。
近くには温泉街もあります。スキー帰りに硫黄のにおいが漂う温泉で疲れを癒やせば、最高の冬の休日のできあがりです。

これが四季の自然を楽しみ、文化を味わいながら生きる山形暮らし。
「何もない」と言われがちだけれど、当たり前の日常に素朴な幸せを見つけられる、とっても豊かなまちだと思っています。
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photograph & text:Narumi Ishizawa
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