LIFESTYLE
:蒼井優さん「夜の原宿での撮影が思い出」 【リンネル創刊15周年リレーインタビュー vol.5】
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:15周年を記念して、リンネルとゆかりのある方々に思い出をうかがうリレーインタビュー。
表紙や連載で誌面を彩ってくれた蒼井優さんが、この15年の変化を語ってくれました。
今回お話を伺ったのは…
蒼井優さん PROFILE
めくるときの手触りや持ったときの重みは
“紙の雑誌”だからこそ、味わえる感覚
ブラウス¥72,600/カレンテージ(メルローズ)、ネックレス¥71,500、パールネックレス¥23,100/ともにミキア(ミキア ギャラリー)
いちばん思い出深いのは
夜の原宿で撮影したこと
― 蒼井さんに初めて登場していただいたのは2011年。創刊3号目ですが、覚えていますか?
懐かしいですね。このとき、私は20代半ばぐらいかな……? 私がデザインした服を着て、撮ってもらったんですよね。
しかも2か月にわたって。確かこの服は、パンツの裾にゴムが入っていて、裾を上げるとかぼちゃパンツにもなる、というデザインでした。
でも、撮影のときの記憶はあいまいかも。昔はわりと記憶力がよかったんですけど、本当に最近は忘れっぽくなっちゃって。
― 蒼井さんの中で、リンネルのスタイリングのイメージは?
やっぱり、リネン素材や毛糸のアイテムかなあ。でもこうやって昔の号を見ていると、今とは服のバランス違いますね。スカートの丈も、今よりも短い。
― 確かに、今見るとスカート丈が短めですね。
この(アパレルとのコラボレーションで作った)スカートも、今デザインするなら、もう少し長くするかもしれない。
リンネルのテイストって、ずっと変わらないというイメージがあったけど、それでもちょっとずつ変わっているんですね。
― 表紙はもちろん、いろんな企画で出ていただきましたが、特に印象に残っているページを挙げるなら?
「夜の蒼井優」という夜ロケをした企画ですね。
みんなでお好み焼きを焼いたり、雨が降っている中、外で撮影したり。原宿の東郷神社の近くで撮ったんですよね。
ファッションに関する内容でもないのに、こういう企画をやらせてもらえたことがうれしかったし、チームでワイワイ撮影できたのも楽しかった。
リンネルの度量の広さを感じた思い出です。
―この企画は、ちょうど蒼井さんが30歳になったタイミングでしたね。夜に撮ろう、というアイデアは蒼井さんからですか?
そう、私なんです。夜の撮影ってワクワクするけど、なかなか雑誌ではできないのでやってみたくて。
もちろん、たくさん自然光が入る昼間の撮影も素敵だけど。夜の静かな雰囲気の中で撮ってみたいと思って。
―好み焼きを焼いているところを撮る……というのも、蒼井さんの提案でしたね
みんなで夜ごはん食べよう!」という話になって、じゃあ何にしよう?お好み焼き作ろう! みたいな(笑)
―2018年の1月号からは、きもの研究家の森田空美先生から着物の基本を教わる連載「着き衣そはじめ」もスタートしました。
けにふさわしい着物から、カジュアルな日常の着物、涼しげな麻の夏着物……と、1年を通じてさまざまな着こなしを楽しんでいただきましたよね。
私は森田先生の着付けが大好きなんです。帯や小物との合わせ方も、とても粋で、潔くて。
正統派の美しい着付けに見えるけど、実は帯の位置が低かったり、使っている紐が少なかったりして、着ていて全然苦しくないんです。
―銀座の資生堂パーラー、当時の目黒雅叙園……といろんな場所でロケをしたのも、この連載の思い出です。
リンネルの撮影ではあまり見ないシチュエーションだったから、新鮮でした。
ただ着物ってどうしても美しく見えるポーズが限られるから、考えるのが難しかったです。
でも森田先生が選んだ着物を毎月着られたのは、すごく贅沢な時間でしたね。
「心地いい服ってなんだろう?」と探りながら
のんびり一緒に歩いていきたいです
シャツ¥46,200/ザミュージアムオブドウズ(ザミュージアムオブドウズ)、パンツ¥39,600/ニッキエッセンシャルピーシーズ(ニッキエッセンシャルピーシーズ)、ハートネックレス¥88,000、パールネックレス¥23,100/ともにミキア(ミキア ギャラリー) Tシャツ/スタイリスト私物
毎朝6時に起きるなんて、昔は考えられなかった(笑)
―仲よしの菊池亜希子さんと一緒にアンジュルムのアーティストブック『アンジュルムック』を編集したときには、ふたりそろって誌面で対談してもらっています。ふたりともものづくりへの情熱は強いんだけど、それぞれ方向性が違っていて。
まだ6年前だけど、すでに懐かしい。私たちふたりの個人的な趣味につき合っていただいて……(笑)。
ものづくりに関しては、やっぱりあっこちゃんは大先輩ですから。
― 蒼井さんは雑誌というカルチャーへの愛着についてもたびたび話していますが、今も紙の本や雑誌への思い入れはありますか?
もちろん! デジタルにも情報が早く得られるというよさがあるけど、めくるときの手触りや、読み進めるうちに残りのページが減っていく感覚、持ったときの重みは紙でしか感じられないものですよね。
あっこちゃんともよく「(紙は)抱きしめられるのがいいよね」と話していて。
今は台本もデータだけのことが増えているけど、私は雑誌の撮影を通して、「こういうものが素敵なんだ」と教えてもらったので。
それはファッションもそうだし、写真や言葉も。今は雑誌も大変な時代だけど、編集の仕事っていいなって今も思います。
― 蒼井さんもこの15年間で結婚、家族ができて、とプライベートでもいろんな変化があったと思います。中でも変わったな、と感じるのは?
なんだろう……。いっぱいあるけど、やっぱり早起きになったこと。自分が毎朝6時に起きるなんて、20代の頃は考えもしなかった。
昔はその間まで飲んだり、明け方に寝たりしてたのに(笑)
―今月号のカバーインタビューでも、「優先順位が変わった」と話していましたよね。
やっぱり、そこが一番変化としては大きいですよね。あんなに自分のために生きていたのに、こんなにあっさり子どものために明け渡すんだな、と自分でも思います。
―も、そこにストレスはないんですよね。
全然ないんです。今は本当に子育てが楽しいから。イヤイヤ期が来たとしても、「それをどう攻略しようか」と考えるのも楽しい。
―反対に、15年経っても変わらないところは?
ズボラなところ。私、本当にめんどうくさがりなんです。そこはずっと変わらない。もう私の個性なんだな、と思って諦めましたけど。
―それは、家族の中では受け入れられてるんですか?
うん、多様性の時代ですから(笑)
―最近は、またお酒も飲めるようになりましたか?
少しずつ。前は、飲んでるときに子どもに何かったら……と思ってまったく飲めなかったけど、最近は「ここまでだったら大丈夫」ってわかってきたから。
とはいえ、そこまで長い時間は飲んだりしないけど。限られたメンバーのときにちょっとだけ。そのときは、やっぱりお酒っておいしいな、って思いますね(笑)
―おうちで軽く一杯だけ、ということは?
やりたいな、と最近は思っていて。今はまだバタバタしているので、それが落ち着いたら、家飲みも解禁しようかなと思ってます。
Liniere × Yu Aoi’s History
「雑誌」が好き。いつも表紙や連載、自由度高くやらせていただき感謝です
リンネルの創刊3号目に初めて登場してくれた蒼井さん。表紙をはじめ、ファッション企画や着物の連載……とさまざまな姿を見せてくれました。
「40代を前に、私も着たい服が変わってきました。どんな服が自分らしくて心地いいのか、探っていきたいですね」
\15年ずっとお世話になっていて、感慨深いですね/
リンネル読者にメッセージ
―読者のみなさんは、初めて蒼井さんが登場した頃からリンネルを読み続けて、一緒に時間を重ねてきた人も多いと思います。そうした方々へメッセージをお願いします
読者のみなさんは、これからどんな服を着るんだろう? でも何を選ぶにしても、変化を恐れずにいろんなものを楽しんでいきたいですよね。
これからも「自分にとって心地いい服ってなんだろう?」「心地いい生活ってこういうことかな?」とみんなで探しつつ、のんびり一緒に歩いていけたらいいな、と思います。
(写真1枚目衣装クレジット)
ブラウス¥72,600/カレンテージ(メルローズ)、ネックレス¥71,500、パールネックレス¥23,100/ともにミキア(ミキア ギャラリー)、
パンツ¥68,200/ザミュージアムオブドウズ(ザミュージアムオブドウズ)、サンダル¥79,200/ユッタ ニューマン(シードコーポレーション)
リンネル創刊15周年記念インタビューをもっとチェック!
photograph: Emiko Tennichi styling: Kaho Yamaguchi hair&make-up: Taeko Kusaba text: Hanae Kudo
リンネル2025年9月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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あおい・ゆう/1985年、福岡県生まれ。1999年、俳優デビュー。近年の出演作にドラマ「ブギウ。ギ」「阿修羅のごとく」、劇場アニメ『劇場版 シルバニアファミリー フレアからのおくりもの』『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』(ともに声の出演)など。