北欧
:サンタさんは普段どんなふうに暮らしているの?世界3か国のサンタさんの住まいを訪ねました
北欧
:
世界中には、クリスマスの季節だけでなく、日々の暮らしを大切にしながら日常を過ごしているサンタさんたちがいます。
サンタクロースの世界を撮影することをライフワークにしている写真家・角田明子さんが、これまでに出会った各国のサンタファミリーのおうちや日常を紹介。
知られざるサンタさんの“ふだんの暮らし”をのぞいてみてください。
サンタさんの暮らしを教えてくれたのは……
フォトグラファー・角田明子さん

「穏やかでやさしい時間と希望の光」をテーマに広告、雑誌などさまざまな分野で幅広く活動中。サンタの世界に魅了され、サンタクロースたちの撮影をライフワークにしている。Instagram(@akiko_tsunoda)では、サンタクロースの愛らしい写真を定期的に更新中!
世界のサンタさんの
“いつもの日常”を訪ねて
サンタさんって普段どこに住んでいるの?
子どもたちからよく聞かれる、サンタさんにまつわる定番の質問の一つです。

クリスマスになると、子どもたちにプレゼントや夢を届けるのに大忙しの現役サンタさんや、お手伝いをするニッセたち。
実は世界中の街や村で、私たちと同じように季節の移ろいを感じながら、日々の暮らしを営んでいます。
彼らはいつも赤い服を着ているわけではなく、土地の気候や文化に合わせて装いを変え、人々の暮らしに自然と溶け込んでいるのです。

クリスマスが近づくと世界中で大忙しのサンタファミリーですが、普段はそれぞれが選んだ土地に根を下ろし、家族と過ごし、ご近所さんと支え合う日々を大切にしています。
朝はパン屋さんで常連さんと言葉を交わしたり、お店で買い物をしたり、オフシーズンには別の仕事を楽しんだりしながら、子どもたちをそっと見守っています。白いひげの奥にあるやさしい笑顔は、きっと「毎日を大切に暮らす時間」の中で育まれているのかもしれません。

私はこれまで、スウェーデン、デンマーク、カナダ etc.…… 各国に暮らすサンタさんの“いつもの暮らし”にお邪魔してきました。
森の近くの家や町の一軒家で、家族や友人たちと囲むあたたかい食卓。そこには、クリスマスの主役ではなく、ひとりの家族として生きるサンタさんの姿がありました。
それではこれから、各国のサンタさんたちの「ただいま」と「おかえり」が聞こえてくるおうちを、みなさんにも少しだけご紹介します。

サンタさんの住まい 1
@スウェーデン

イェリヴァーレのサンタさん、シーバートさんご夫妻の家
北極圏の小さな街、イェリヴァーレ。
ここで迎えてくれたのは、サンタ・シーバートさんと、ミセスサンタのウェガさんです。

玄関のポーチに一歩足を踏み入れた瞬間、まず目に飛び込んできたのは、いびきをかいて眠るサンタさん!
「え? 本物?」と思わず覗き込んでしまいましたが、どうやらお人形。でも、これが本当にスヤスヤ……ぐぅぐぅ……と寝息を立てているのです。
庭のガレージには、自転車代わりに使っているソリがずらりと並んでいます。最初は少し乗りづらいけれど、慣れてしまえばとても楽ちん。

家の中へ入ると、部屋中がクリスマスアイテムでいっぱいです。

ご夫妻がサンタとして活動するなかで集めてきた宝物のようなコレクションがあちこちに並び、視界に入るたびに思わずふふっと笑みがこぼれてしまいます。




寝室のベッドカバーにまで、ぐっすり眠るサンタさんのイラストが。

あちこちにちりばめられた遊び心は、まさに北欧の妖精・ユールトムテの世界そのものでした。


サンタさんの住まい 2
@カナダ
カナダでは、ミセスサンタ・シェリルさん、サンタ・ピーターさん、それぞれの家へ。
オンタリオ州ナイアガラで開催された世界サンタクロース会議の前後でお世話になったのが、ミセスサンタのシェリルさんのおうちです。

案内されたゲストルームのドアを開けると、壁には夜空を飛ぶサンタさんのペイント。
ベッドの上には、ふかふかの大きなサンタ帽子がちょこんとのっていて、まるで「どうぞ、くつろいでね」と招いてくれているかのようでした。

そして何より心を奪われたのは、しっぽをふりふり振って出迎えてくれた愛犬・レオくん。なんとも可愛い、ウェルカム担当です。

リビングには、シェリルさんお気に入りのオーナメントが飾られた、大きなクリスマスツリー。
そのまわりには、たくさんのクリスマスアイテムが並んでいました。


シェリルさんのおうちでひと息ついた後は、少し離れた場所に暮らすサンタ・ピーターさんが、ソリ代わりの真っ赤な車で迎えに来てくれました。


到着したのは、ピーターさんがおうちの庭に建てた「サンタハウス」。

広いお庭には、クリスマスのデコレーションや遊具が並び、どれも「ようこそ!」と話しかけてくれているみたいです。


入口近くにはサンタポストを発見!
ここには、子どもたちからの手紙が届きます。

季節は夏でしたが、ちょうどその日に届いたばかりの手紙が中に!
それを見つけたピーターさんが、「もう届いているんだねえ」と嬉しそうに目を細めた横顔は、胸がほっとあたたかくなるほどやさしいものでした。

ちょうど同じ頃、ピーターさんのおうちに滞在していたデンマークのサンタさんたちも遊びに来ていて、みんなで記念写真を撮りました。

サンタさんの住まい 3
@デンマーク

2025年のデンマークでの世界サンタクロース会議では、デンマークサンタクロース協会会長・サンタ・ヘンリックさんのおうちにホームステイさせていただきました。
扉を開けた瞬間に感じたのは、北欧デザインならではの洗練とぬくもり。

白を基調としたシンプルな空間に、木目の天井と床、やわらかな自然光。
どこを切り取っても美しく、まるでインテリア雑誌の1ページのよう。

でもそこは、かしこまりすぎない、家族の暮らしが息づくおうちです。


壁に飾られたご家族の写真があたたかく微笑み、朝にはふわりと香るコーヒーやパンの焼ける匂い、さりげなく置かれたデンマークらしいデザインの照明や観葉植物、そして壁に掛けられた風景画。
そのすべてが心地よく溶け合い、“ヒュッゲ”そのものの空間になっていました。


穏やかで柔らかな時間の流れのなかにいると、サンタさんのやさしさやぬくもりは、きっとこうした日々の積み重ねから育っていくものなのだと、そっと実感したのでした。

世界の子どもたちにとって特別な“クリスマスの主人公”であるサンタさん。
でもひとたび家に戻ると、そこにいるのは家族を愛し、暮らしを大切にし、季節の移ろいを楽しみながら生きる、ひとりの人でした。
どの家にも共通していたのは、特別なクリスマスのためだけではなく、365日の暮らしそのものを大切にしていることが、サンタさんの力になっているということ。
もしかしたらサンタさんは、特別な存在だからやさしいのではなく、日々を家族や地域の方々とやさしく過ごしているからこそ、サンタさんになれるのかもしれません。

photograph & text:Akiko Tsunoda edit:Riho Abe special thanks:Dansk Julemands Laug,The Santa Family, Göta Frideborg Taaveniku,グリーンランド国際サンタクロース協会
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
おすすめ記事 RELATED ARTICLES
Recommend
SNAPRanking
DAILY
/
WEEKLY



































