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サウナと暖炉で暖まる冬 <フィンランド西海岸の12か月> サウナと暖炉で暖まる冬 <フィンランド西海岸の12か月>

フィンランド,アンナヤリーサ

『リンネル』で連載中の「フィンランド西海岸の12か月」。その暮らしは、華やかでも特別なものでもなく、自然とともに、毎日を丁寧に生きるだけ。フィンランドに住む4人のデザイナーたちが発信する地域ブランド・アンナヤリーサが綴る、フィンランドからの歳時記をお届けします。今回は本格的なフィンランドの冬に欠かせないサウナと暖炉のお話。

目次
サウナと暖炉で暖まる冬 <フィンランド西海岸の12か月>
  1. 庭先のプーサウナで楽しむ自分の時間
  2. 薪の保管庫を整える
  3. アフターサウナの過ごし方
  4. アンナヤリーサとは
  5. 教えてくれたのは……「アンドフィーカ」代表 今泉幸子さん

庭先のプーサウナで楽しむ自分の時間

ホリデーシーズンが終わると、雪が積もり始め、本格的な冬がやってきます。フィンランド人にとって、冷えた体を温める一番の方法は、もちろんサウナ。「自然の中で楽しむサマーコテージでのサウナもいいけど、私は寒い冬に入る自宅のサウナが好き」とエリーナ。サウナでぼーっとすると仕事のストレスもほぐれていきます。

子育て中のヨハンナとタニヤは、「家族で一緒に入るのもいいけど、 一人サウナは落ち着くよね」「そうそう、子どもたちはパパと一緒に入って、そのあとゆっくりとね」 と意気投合。ママの一人サウナは、貴重なプライベートタイムです。

今は電気式のサウナが多いなか、エリーナの庭にあるサウナは、1950年代に建てられたもので、薪をくべてストーブ釜を暖めるプーサウナ。「プー」とはフィンランド語で「木」のことです。

右:大きなバケツに入った水を持ってサウナ小屋へ。お湯はサウナストーブで温めて作ります。
左:サウナベンチには、ヴィンテージのリネンタオル。古いサウナ小屋の雰囲気に合うレトロなデザインでコーディネート。

薪の保管庫を整える

エリーナの自宅には、庭に赤い壁の離れが二つあって、煙突のある小さいほうがサウナ小屋。もうひとつは物置小屋です。夏の間、物置小屋には荷物がそれほど多くないので、ちょっとした作業スペースとして使われるのですが、冬が近くなると、この小屋が薪でいっぱいになります。「10月の終わりぐらいに、1年分の薪を注文すると、トラックがやってきて薪が庭に積み下ろされるの。それを小屋に片付けるのが一仕事なのよ」とエリーナ。冬の間は、サウナとリビングルームの暖炉で大量の薪が必要になるので、購入量は7立方メートル。小屋に片付ける時間は、なんと8時間。エリーナ夫妻の几帳面なチームワークによって、薪がまるでアートのように美しく積み上げられました。

うっすらと雪化粧した海辺。これからだんだんと雪が積もっていきます。

右:倉庫に積み上がった薪。下から順番に積み上げていき、できるだけ隙間をあけないのがコツ。
左:倉庫からサウナやリビングルームまで薪を運ぶのも一仕事。雪が積もったときにも、通路を確保しておかないといけません。

アフターサウナの過ごし方

アンナヤリーサスタイルのアフターサウナは、特に何もすることもなく、ビールと軽食とともに、暖炉の前でくつろぐことです。最初はソファに座っていたエリーナとヨハンナも、暖かさに誘われ気づくと暖炉の前へ。そして、リラックスタイムのおしゃれは手編みのルームシューズです。

ところで、10月末に、アンナヤリーサの4人はオストロボスニア地方の南にあるヴァーサの街で小さな展覧会を開きました。展覧会では、新作パターンの発表とともに、日本のキモノをイメージしたリラックスウエアの提案をしました。「アフターサウナにぴったりじゃない?」と聞くと、「サウナを意識して作ったわけじゃないけど、そう言われてみるとそうかも」とアンドレアス。やはり、フィンランドの人の心には、いつもどこかにサウナの心地よさがひそんでいるようです。

暖炉でくつろぐアンナヤリーサスタイルのアフターサウナ

右:ヴァーサで開催された展覧会で展示された着物イメージのローブ
左:新しいデザイン「ピュリュ(降雪)」のローブを着たエリーナ

アンナヤリーサとは

アンナヤリーサ(Anna ja Liisa)は、フィンランド西海岸オストロボスニア地域に住む4人のデザイナーたちが発信する地域ブランド。左より、タニヤ、アンドレアス、エリーナ、ヨハンナ。

ヘルシンキの北西約500キロ。起伏がない広大な大地の向こうには、真っ直ぐな地平線が広がっています。普通の暮らしのなかに、必ず喜びや楽しみがあり、小さな感動からデザインが生まれます。

教えてくれたのは……「アンドフィーカ」代表 今泉幸子さん

7年前に初めてこの地を訪れ、自然の美しさと人々の温かさ、そしてデザインのある暮らしに感動。以来、毎年のように現地に通い、デザイナー4人との心の通い合いがアンナヤリーサ誕生のきっかけとなりました。デザイナー4人とともに、アンナヤリーサの12か月の暮らしについてお伝えします。

https://www.andfika.com

photograph:Anna ja Liisa edit & text:Sachiko Imaizumi web edit:Mina Ota
リンネル2022年2月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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