声優として多くの話題作に出演しながら、アーティストとしても活躍する上田麗奈さん。2016年、“冬”をイメージしたアーティストデビュー作「RefRain」から、アルバムごとに、“春”“夏”と季節をコンセプトに制作してきた“四季シリーズ”が新作ミニアルバムで完結。その最終章となる今作に込められた思いとは?
今までの自分を認めてあげたい。
そんな気持ちを込めた、6年間の音楽活動の集大成
声優として活躍する傍ら、2016年からはアーティストとしても活動を続けてきた上田麗奈さん。10月5日にリリースされた『Atrium』は、アルバム“四季シリーズ”の集大成となる、「秋」がコンセプトです。
「春はお別れの季節ですが、秋はそのお別れに向けて準備する季節、というイメージが私の中にあって。その準備がポジティブなものだったらいいな、と考えました」
そう話すとおり、今回のアルバムでは1曲目の「履き慣れてない靴のままで」から、明るく軽やかな楽曲が続きます。
「もうひとつのテーマが“肯定”。これまで出したアルバムはすべて、そのときにしかできなかった表現が詰まっていて、今思えば恥ずかしいものもあるんです。でも自分のいい部分も悪い部分も受け止めて、今までの自分を認めてあげたい。そんな気持ちを込めました」
制作にあたっては、まず上田さん自身が曲ごとの世界観や伝えたいメッセージを形にしたうえで、参加ミュージシャンと共有していったそう。
「たとえば、この曲では18歳の私を描いてもらいたいんです……と、自分自身の経験や心情を事細かに記したメモをお渡しして、歌詞やメロディを作ってもらいました。今回は自分では作詞はしていないのですが、作家さんにお渡しする前に何度も書き直したそのメモがすべてで。そこから新しい言葉を紡いでいくよりは、別の方の手で新しい風を入れたほうが、客観的に見ていいものができるんじゃないかと思ったんです」
アーティストデビューから6年が経ち、より「伝えたい」という気持ちも増すように。
「上京したばかりの、まだ自分を認められなかった頃と比べると、少しずつまわりが見えてきて、自分の装備が増えていく感覚があって。挫折や恥ずかしいことも、隠さずに表現してしまおう、と思えるようになりました。この6年間、お仕事やプライベートで関わってきたものすべてのおかげで成長できたし、それが音楽にも反映されていると思います」
声優と音楽活動を両立する中で、大切にしているのは「ひとりの時間」。
「以前は人といる時間のほうが楽しくて、ストレスも誰かと一緒に発散してきたんです。でも最近は、ひとりでいる時間も大事にしたいと思うようになって。特別なことをしなくても、リラックスして過ごせせるようになりたいな、と思っています」
新作ミニアルバム『Atrium』
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今までのアルバムと同じように、上田さん自身が楽曲のコンセプトやメッセージ、曲順にこだわって制作したミニアルバム。
「6年間のアーティスト活動の集大成として、身のまわりにいる大切な人達に届けたい思いを込めました」
お話ししてくれたのは……上田麗奈さん
PROFILE
うえだ・れいな/富山県出身、2011年、「第5回81オーディション」で準グランプリ受賞。2016年、ミニアルバム「RefRain」でアーティストデビュー。声優としての出演作に『鬼滅の刃』『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』など。
photograph:Misa Nakagaki styling:Tsubasa Shimoda(ant.) hair & make-up:Mutsumi Yazawa(Sweets) text:Hanae Kudo(Interview)、Takahisa Matsunaga web edit:Mina Ota
リンネル2022年11月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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