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小林聡美さんが向き合う、傑作昭和ドラマの舞台化。「平凡な人の奥底にある激しさを伝えられたら」前編 小林聡美さんが向き合う、傑作昭和ドラマの舞台化。「平凡な人の奥底にある激しさを伝えられたら」前編

小林聡美さん
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古めかしいけど斬新で、面白い――当時を知らない若い世代からも注目を集める「昭和」。その時代の空気を満たした傑作ドラマが、舞台となって現代に蘇ります。出演する小林聡美さんにとっても、懐かしくも刺激的な体験になりそうで……。

目次
小林聡美さんが向き合う、傑作昭和ドラマの舞台化。「平凡な人の奥底にある激しさを伝えられたら」前編
  1. インタビュー
  2. 小林聡美さんプロフィール
  3. 出演舞台『阿修羅のごとく』

時代の活気と新しい表現
エネルギーが充満した作品を現代に

昭和のテレビドラマ界に金字塔を打ち立てた向田邦子さん作の『阿修羅のごとく』。老父の不義を疑い結集した4姉妹それぞれの人生模様を描く濃密な心理劇は、1979年の放送当時から大変な反響を呼び、以降、現在まで傑作として語り継がれてきました。

「リアルタイムでは観ていなかったのですが、当時話題になっている空気は感じていました。その後あらためて作品を観て、ホームドラマとしてはかなりとんがった作品だなと思いました。昔ながらの価値観と、どんどん新しいものへと活気づいていく時代のエネルギーとが交差して生まれた、挑戦的な作品だったんじゃないかと」

その作品が、令和の今、舞台の上に蘇ります。小林さんが演じるのは、4姉妹の次女の巻子。オリジナルのドラマでは故・八千草薫さんが演じた、安定した家庭の専業主婦という母親像は、登場人物中もっとも安定感のあるモラリストという印象です。

「実質長女と言われれば、確かにそうですね。しっかり者の巻子の人間力と家族への愛着によって、ある意味、一家が回っているというか……。ただ、一見安定しているように見える人でも、やはり心の中には激しい部分も持っているでしょうし、そもそも人間にはいろんな側面があって、ひとりの女性の中にも長女的な気質や末っ子っぽい側面が同居していたりもするでしょう? この物語の4姉妹は、どこか4人でひとつの人格を形成しているようにも見える。巻子は一見、平凡かもしれないけれど、むしろそこが際立った特徴になればいいんじゃないでしょうか」

小林聡美さん

家庭のあり方、女性観のギャップを
むしろ楽しみながら感じてほしい

妻と夫の厳格な立場の違いや、家族第一で家に尽くす主婦の姿など、作品で描かれるのは、いわゆる旧来の価値観に基づく家族の姿。しかしそれは決して過去の遺物ではなく、現代にも繋がる普遍性を感じさせると、小林さんは言います。

「今、表面上は女性が自由になって何でもできているふうではありますが、政治の世界や社会の要所要所では、やはりどうしてもおじさんたちが目の前に立ちはだかっているわけで(笑)。世の中や家庭の中で女性として、あるいは男性として生きていくという現実は、実は昭和の時代とあまり変わっていないのではという気もしています。夫を立て家族のために身を粉にして働く母、という構図には違和感を感じるかもしれませんが、今の家庭のお母さんにもそういう部分は残っていると思いますし、そんな経験をしてこなかった私にとっては、共感というよりもむしろ新鮮な気持ちでできそうかな? と。観てくださる方々にも、そんな違和感を面白がっていただけたらと思うんです」

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小林聡美さんプロフィール

こばやし・さとみ/1965年生まれ。東京都出身。俳優として数々の映像作品、舞台に出演し、代表作に映画『かもめ食堂』『めがね』『プール』『紙の月』、ドラマ『やっぱり猫が好き』『すいか』『光とともに…〜自閉症児を抱えて』『ペンションメッツァ』など。最新主演作に映画『ツユクサ』がある。舞台出演は2020年『あなたの目』以来2年ぶり。執筆家としても人気が高く、『聡乃学習』(幻冬舎)など多数の著書がある。

(衣装クレジット)
カバーオール¥39,600/ロドリリオン、パンツ¥22,000/ニードルズ、シューズ¥86,900/ネペンテス×トリッカーズ(すべてネペンテス ウーマン トウキョウ 03-5962-7721)


出演舞台

舞台阿修羅のごとく宣材写真
『阿修羅のごとく』
《お父さん、面倒見てる人、いるのよ》平凡な日常にポツリと落ちた疑念の一滴が、4姉妹それぞれの人生に波紋を広げていく……。長女役に小泉今日子さん、三女に安藤玉恵さん、四女に夏帆さん。それぞれのパートナー役に岩井秀人さん、山崎一さんが扮する。2022年9月9日〜10月2日に東京三軒茶屋・シアタートラムで上演。また10月8日〜10日には兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでも公演が行われる。
『阿修羅のごとく』特設サイト

photograph:Futoshi Osako styling:Noriko Fujitani hair & make-up:Ichiki Kita(Permanent) text:Michiko Otani
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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