ドレスコーズ志磨遼平さん「憧れるものに対してあきらめずにいたい」新作アルバムインタビュードレスコーズ志磨遼平さん「憧れるものに対してあきらめずにいたい」新作アルバムインタビュー

ドレスコーズの志磨遼平さんに、最新アルバム『戀愛大全（れんあいたいぜん）』についてお話を伺いました。“10本の《架空の短編映画》のサウンドトラック”をイメージして作られた新作の魅力に迫ります。映画のワンシーンのように、1曲1曲に物語が刻まれている今作に込められた思いとは？

ドレスコーズ志磨遼平さん「憧れるものに対してあきらめずにいたい」新作アルバムインタビュー

インタビュー
新作アルバム『戀愛大全（れんあいたいぜん）』
お話ししてくれたのは……志磨遼平さん

キラキラとしたときめきや甘酸っぱさ、せつないムード
恋愛のあらゆる側面を感じるラブソング

ロックンロールの持つ、先鋭的で官能的な部分を抽出させたサウンドと、志磨さんのミステリアスな魅力で、多くの人をひきつけているドレスコーズ。最新アルバム『戀愛大全』は、収録曲それぞれに異なるドラマが展開する「架空の短編映画」のような構成になっています。

「これまでは、大きなテーマをひとつ決めて、そこに向かって全体をまとめることが多かったのですが、今回はそれぞれがシングルとして発表できるような、曲ごとに独立した世界を持ったものを集めたベスト盤みたいな構成になっていて、それをわかりやすく『短編映画』にたとえてみたのです」

これまでのロックな雰囲気を残しつつも、キラキラした瞬間を閉じ込めたものから、せつないムード漂うものまで、恋愛のあらゆる側面を感じるラブソング中心の内容に。

「ここ最近はいろんなことを我慢しなくてはいけなかったり、何が正しくて間違っているのか白黒はっきりしなくてはいけない状況。そこに当てはまらない、どうしようもないものがあって、その代表に『恋愛』があると思いました。たとえ、世間に間違いだと言われてしまっても、我慢できない感情を、『恋愛』を通して正当化してみたかったのです」

恋のときめきやとまどいを表現するため、シンセサイザーを駆使。

「これまでは荒々しい感じの音が好きだったので、あまり必要と感じていなかった楽器だったのですが、今回はきらびやかで疾走感のあるものを表現してみたかったのです」

多彩で華やかなサウンドからは、ちょっとレトロで甘酸っぱい夏の空気が漂うものが多い印象です。

「燃え盛るような夏の風景を表現したいと思いました。ここ最近の状況で体感できなかった、夏を満喫できるような。でも、よくよく考えると、夏を思いきり楽しんだことってないんですよね（笑）。今まで観た映画のなかだったりとか、昔の記憶などの断片を集めて、自分の思い描く夏を表現したつもりです」

アルバムからは、後悔することなく、一瞬を大切にしながら丁寧に暮らしてほしいという、志磨さんの真摯なメッセージが伝わってきて、心がうるおいます。

「これからも得体の知れない出来事が起こるかもしれませんが、きれいなもの、憧れるものに対してあきらめずにいたいという自分のスタンスを、ここで表現できた気がします」

新作アルバム『戀愛大全（れんあいたいぜん）』

ドレスコーズ／￥3,850 EVIL LINE RECORDS　now on sale

ライヴ映像などが収録されたブルーレイ付きのアルバム。漫画家・イラストレーターの不吉霊二さんの描き下ろしによるキラキラしたアートワークも含め、全体的にノスタルジックな雰囲気も漂う仕上がりになっています。また、ラストに収録された美しいバラード「横顔」に胸を締めつけられるはずです。