約4年ぶりとなるオリジナル・アルバム『Naked』が完成した家入レオさん。かなりの料理好きな様子で、リンネル4月号本誌のインタビューでもそのこだわりを語っていただきましたが、そこには掲載できなかったエピソードを本記事でお伝えします。そこからは日々や季節の移ろいを大切にしながら暮らしや音楽活動を続ける、家入さんの姿が伝わってきます。
シンプルに素材の味を生かした料理を作ることが多いです
ーーお母様が料理関係のお仕事をされている影響もあって、普段から自炊をなさっているという家入さん。こだわりはありますか?
家入レオさん(以下家入) 特別なこだわりというものはありませんね。こういう仕事をしていると、ツアーなどで外食する機会が多くなるので、そういう場合は美味しいものを思う存分にいただきます。代わりに、家にいるときはシンプルに。素材の味を生かしたものを作るというか。商店街にある八百屋さんなどに足を運び、店員さんから話を聞いて、どれが美味しいか、どのように調理をしたらいいかなどコミュニケーションをとりながら選ぶことが好きですね。
ーーお出汁や調味料にこだわりはあるのですか?
家入 調理方法もシンプルですね。椎茸や昆布を水に浸けているだけで、いいお出汁が出て、美味しく仕上がりますし。また、ご飯を炊くときに、表面の汚れを拭いてカットした昆布と、蜂蜜を(4合の場合)大さじ1杯程度入れると、粒だちがよく甘みや旨みが引き立ちます。栄養価も上がりますし、塩むすびでも電子レンジで温めても、美味しくいただくことができるので、おすすめですよ。
ーー丁寧な食生活を過ごされているのですね。
家入 でも、ここ数年のステイホームの影響で、改めて一日三食を作ることの大変さを知りました。買い物に出かけたり、メニューを考える時間も含めると、食であっという間に時間が過ぎていってしまう。だったら、宅配サービスとか、便利なものを使ってもいいのかなと考えるようになりました。メニューに悩むこともないですし、フードロスを減らすことにもつながっていくと思うので。もちろん、一から手間をかけて料理をすることも大切ですが、そこにこだわりすぎずに、便利なものを柔軟に取り入れていくことも生活の知恵。私の場合は、音楽と暮らしを、心地よく両立させることが大切なので、身の丈に合う自炊ができたらと思っています。
ーー音楽制作に料理はいい影響を与えることもありますか?
家入 デスクの前で音作りに集中しようと思っても、思い通りのものが生まれないことが多くて、料理だけでなく他のことをしている瞬間にフレーズが出てくることが多いのかもしれませんね。
自分が面白いと思った出来事を追求したアルバム
ーー最新アルバム『Naked』も、暮らしのなかから生まれた作品ですか?
家入 今回は、日常のなかで、こういうものを歌ってみたいと思ったものを表現したというか。現実に起こった出来事から、きっかけをもらって音楽にしていったアルバムですね。ちょっと日常から飛躍した楽曲もありますが、自分にとってピュアで贅沢な作品に仕上がったと思います。
ーーアルバムを聴いていると、家入さんは必要なものと、そうでないものの見極めができる方という印象を受けました。
家入 この間、引越しをして初めて家具とかいろいろなものを手放してみたのですが、そのことで足るを知りました。なんでもかんでも新しいものを取り入れたら、便利にはなるのでしょうが、本当に自分にとってそれは必要なのかを考えるようになりましたね。だから、電化製品なども、闇雲に最新型を揃えるのではなく、自分に必要な機能があるものを精査しますし。モノを手話したことで、自分の心とちゃんと会話できるようになりましたね。結果、モノや人により敬意を感じるようにもなりました。
ーー音楽に関しても同様でしょうか? 家入さんに必要なものだけを取り入れていきたいと。
家入 今この瞬間を生きることを大切にしたい。だから、作る音楽も今の自分に正直に、自分はこうだと決めつけずに柔らかい心を持って活動を続けていけたら。
ーーナチュラルに経験を重ねていきたいということでしょうか?
家入 未来って誰にもわからないじゃないですか。だから、今を精一杯に生きて、そこで何かを見つけていく過程のなかで、気づいたら15年、20年とキャリアを重ねていけたら。臨機応変に時代に寄り添い、聴き手の方々の心に響く音楽を届けていきたいですね。
NEW ALBUM『Naked』
家入レオ/¥3,300(通常盤)Colourful Records 2023.2.15 on sale
お話を伺った家入レオさんProfile
いえいり・れお/福岡県出身。2012年にメジャーデビュー。以降、多数のヒット曲や精力的なライヴ活動で、人気を拡大。デビュー10周年を迎えた昨年は、ベスト盤の発売や全国ツアーが話題を呼んだ。https://www.jvcmusic.co.jp/leo-ieiri/
photograph: Miho Kakuta styling: Hitomi Matsuno hair & make-up: Mami Numata (ilumini.inc) text: Takahisa Matsunaga web edit: Liniere.jp
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