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ご縁がすべてのもの選び 【hal 後藤由紀子さんの「雑貨と私」の話 vol.2】 ご縁がすべてのもの選び 【hal 後藤由紀子さんの「雑貨と私」の話 vol.2】

今年で20周年を迎えた、沼津の人気雑貨店「hal」。店主の後藤由紀子さんの、20冊目となる著書『雑貨と私』(ミルブックス)が発売になりました。幼少期から現在に至るまでの歩みを振り返り、丁寧に綴られた文章から、初めて知るような後藤さんの素顔が垣間見られます。本書の中からその一部を3回にわたってご紹介。さらに2回目となる今回は、halのもの選びについてお話を伺います。

目次
【hal 後藤由紀子さんの「雑貨と私」の話 vol.2】
  1. なんでもいい、ではなく、なんだっていい
  2. \後藤さんのこぼれ話/もの選びの物差し

後藤由紀子

 

静岡県沼津市生まれ。東京の雑貨屋で勤務後、2003年に地元の沼津市で器や衣類、書籍を扱う雑貨屋・hal(ハル)を開店。『雑貨と私』を含め、これまでに20冊の書籍を上梓。
Instagram:@gotoyukikodesu

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なんでもいい、ではなく、なんだっていい

後藤由紀子 豆皿
「人生が食器棚に詰まっている」と後藤さん。特に好きな豆皿は100枚以上あり、それぞれに思い入れがあって手放せないそう。

店を始めるにあたり、肝になるのが商品選び。売れることも重要だが、好きなもの、実際に使ってみて心地がよいものだけを並べたい。

いいものであればなんだっていいという思いで商品を選んだ。洋服や本も並べていて、雑貨という言葉では括れないものでも、なんだっていい。しかし、実際に試してみてこれはいいものだから使ってほしい、身につけてほしい、読んでほしいと心の底から思えるものしか扱わないようにしている。自身が店に並べるものたちの一番のファンでありたい。

長く使い続けたいと思えるものか、それを真剣に考えて商品を選んでいる。 マーケティングはまったく考えていないので経営者としては失格だが、個人で営む店だからできることがあるはず。

世の中の多くの雑貨が、その商品自体ではなく、ブランドやメーカー、作り手の名前が前面に出ていることにも疑問を抱いていた。私はどこの商品かということよりも、そのものが持っている魅力に目を向けてきた。

だから、たとえ好きなメーカーの商品であったとしても、心に響かないものは置かないようにしている。その反対で、名前を聞いたことさえない未知のブランドやメーカー、作家であっても、光り輝くものであれば迷うことなく店頭に並べる。これからも自身の気持ちに素直に従い、本当にいいものだけを真摯に選びたい。


\後藤さんのこぼれ話/もの選びの物差し

後藤由紀子 かご
ご自宅のかごコレクション。上に吊るす収納は、東京時代に働いた、ファーマーズテーブルで学んだことだそう。

お母さまからの反対もあり、とりあえず半年、閉店覚悟で始めたというお店「hal」。

「子どもたちの3年間の学童保育の間だけ店をできればないいと思っていました。自身に“赤字が出たらお店をやめる”という条件をつけたのが、逆に考えるとすごくよかったと思います。だから真剣に考えて扱うものを仕入れるようにしました。私はざっくりした性格なんですが、ものを選ぶときは今流行っているものを仕入れるのではなく、本当に自分が好きなものを厳選して扱っています」

お店に置いているものには、ご縁しかないと話す後藤さん。今でもすべて、家で使っているものを扱っています。

「私が好きなのは、デザインされすぎていないシンプルなものと、経年変化が楽しめるものです。器も、おかずを入れたときにちょうどよくなるくらい簡素なものが大好きです。あともうひとつ、適正価格であることも大切にしています。いくら欲しくても、限られた家計の中で優先順位ありますからね。自分の中の物差しがあって、すべてのものにお金をかけなくても、豊かな暮らしができると考えています。それが主婦がやっているお店ならではかなと、自分では思います。作家さんは20年間お付き合いのある方も多くて、ずっと同じメンバーなんです。ものというより、関わっている人をすごく大切にしています」

後藤由紀子 書影
『雑貨と私』
雑貨屋を始めて20年、これまでの歩みを振り返り、優しい筆致で丁寧に綴った20の物語。互いにまだ何者でもない若者だった頃から親交のあるミュージシャン・松田“チャーべ”岳二さん、共にたった一人で雑貨屋を営む盟友、in-kyo店主・長谷川ちえさんとの対談のほか、大好きな20の雑貨の挿話も掲載。
mille books

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photograph:Miho Kakuta text & edit:Mayumi Akagi 
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
※本記事は『雑貨と私』(ミルブックス)からの抜粋にインタビューを加筆しています

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