予定のない日は、少し足を延ばして涼しい美術館に出かけてみては? 『リンネル』本誌のアート&イベント連載ページを担当しているライター赤木真弓さんおすすめの、夏休みに出かけたいアート&イベントを厳選してご紹介します。
1. 民藝 MINGEI ー美は暮らしのなかにある
■身近な日用品、民藝のこれまでとこれから
約100年前、思想家の柳宗悦らが説いた民衆的工藝「民藝」。日々の生活のなかにある美を慈しみ、素材や作り手に思いを寄せる「民藝」のコンセプトは、今改めて必要とされ、私たちの暮らしに身近なものになりつつあります。そんな民藝について、「衣・食・住」をテーマにひもとく『民藝 MINGEI ー美は暮らしのなかにある』が開催中です。
本展では、暮らしで用いられてきた美しい民藝の品々約150件を展示。「衣・食・住」に分類し、それぞれに民藝美を見出した柳の視点をひもときます。また、今に続く国内5つの民藝の産地を訪ね、そこで働く作り手と受け継がれている手仕事も紹介。さらに「MOGI Folk Art」のディレクターによる愛蔵品や、世界各地で見つけたフォークアートが今の暮らしに融合した「これからの民藝スタイル」のインスタレーションも見どころです。
民藝のこれまでだけでなく、“今"と”これから"にも迫る展覧会。自分にとっての民藝とは何か。普段、何気なく使っている日用品のなかに美しさを見出し、改めて大切に使いたくなりそうです。
『民藝 MINGEI ー美は暮らしのなかにある』
開催中~9月18日(月・祝)/大阪中之島美術館 4F展示室/10:00~17:00 ※入場は閉場30分前まで/月曜休館(ただし9/18〈月・祝〉は開館)/一般¥1,700/https://mingei-kurashi.exhibit.jp
2. マルク・シャガール 版にしるした光の詩
神奈川県立近代美術館コレクションから
■響き合う色彩の、繊細なニュアンスを堪能
「愛の画家」として知られる、20世紀を代表するアーティスト、マルク・シャガール。絵画のかたわら、版画制作にも熱心に取り組み、2000点以上の作品を手がけました。神奈川県立近代美術館の望月コレクションから、さまざまな年代・技法による6つの版画集から厳選した作品、約140点を紹介。
リトグラフ(石版画)だけでなく、エッチング(銅版画)や木版画など、技法ごとの表現の違いや、題材や制作の背景などに注目しながら魅力に迫ります。
『マルク・シャガール 版にしるした光の詩
神奈川県立近代美術館コレクションから』
開催中~8月27日(日)/世田谷美術館/10:00~18:00 ※展覧会入場は閉館30分前まで/月曜休館/一般¥1,200/https://www.setagayaartmuseum.or.jp
3. テート美術館展 光 ー ターナー、印象派から現代へ
■光の特性と輝きに魅了された、アーティストたちの創作
“光の画家”と呼ばれるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーや、クロード・モネをはじめとする印象派の画家による光の描写の追求、オラファー・エリアソンなどの現代アーティストによる視覚体験まで。
本展では異なる時代、異なる地域で制作された、絵画、写真、彫刻、素描、キネティック・アート、インスタレーション、さらに映像等の多様な作品約120点の作品を展示。18世紀末から現代までの約200年間におよぶ、独創的な創作の軌跡に注目します。
『テート美術館展 光 ー ターナー、印象派から現代へ』
開催中~10月2日(月)/国立新美術館 企画展示室 2E/10:00~18:00 ※金・土曜は20:00まで。入場は閉館30分前まで/火曜休館/一般¥2,200/https://tate2023.exhn.jp/
4. new born 荒井良二
いつも しらないところへ たびするきぶんだった
■ジャンルを問わない、表現の現在地を体験
絵本作家として世界的に評価されるほか、イラストレーション、絵画、音楽、舞台美術と幅広く活動するアーティスト・荒井良二さん。
思わず口ずさみたくなるようなリズミカルな文体やオノマトペ、あたたかく鮮やかな色彩、独特の線や形、心にふっと灯りがともるような読後感。本展では100冊以上の絵本、書籍のなかから、代表的な作品の原画を展示。
旅をするような気分で日々作品を生み出す創作活動を、絵本原画のほか、新作のインスタレーション、立体作品、私蔵のガラクタまで織り交ぜて紹介しています。
『new born 荒井良二 いつも しらないところへ たびするきぶんだった』
開催中~9月3日(日)/横須賀美術館/10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで/会期中無休/一般¥1,300/https://www.yokosuka-moa.jp
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text & edit:Mayumi Akagi
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
赤木 真弓編集者・ライター
雑誌やウェブ、書籍で、主に暮らしまわりの記事を手がける。イベントで国内外の古本や雑貨を扱う「greenpoint books & things」、旅好きライターユニット「auk」としても活動。旅にまつわる著書多数。趣味は映画、アート、K-POP鑑賞、書店巡りなど。リンネル本誌では「アート&イベント」、リンネル.jpでは「今月のTO DO LIST」「清水みさとの食いしんぼう寄り道サウナ」などの連載を担当。
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