CULTURE

【今見たいアート案内:4~5月】 キュレーションが光る注目の展覧会3選 【今見たいアート案内:4~5月】 キュレーションが光る注目の展覧会3選

最近は、キュレーションの光る面白い企画展がたくさん開催されています。『リンネル』本誌のアート&イベント連載ページを担当しているライター赤木真弓さんおすすめの、見逃したくない注目のアート&イベントを厳選してご紹介します。

目次
【今見たいアート案内:4~5月】 キュレーションが光る注目の展覧会3選
  1. モダン・タイムス・イン・パリ 1925ー機械時代のアートとデザイン
  2. 小金沢健人×佐野繁次郎 ドローイング/シネマ
  3. ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ

1. モダン・タイムス・イン・パリ 1925ー機械時代のアートとデザイン

■機械と人間との関係をアートやデザインを通して考える

ラウル・デュフィ-《パリ》-1937年
ラウル・デュフィ《パリ》1937年 ポーラ美術館

パリをはじめとする欧米の都市が「機械時代(マシン・エイジ)」と呼ばれる、華やかでダイナミックな時代を迎えた1920年代。

当時のヨーロッパやアメリカ、日本における機械と人間との関係をめぐる様相を紹介する「モダン・タイムス・イン・パリ 1925ー機械時代のアートとデザイン」が開催中です。

フェルナン・レジェ-《鏡を持つ女性》1920年
フェルナン・レジェ《鏡を持つ女性》1920年 ポーラ美術館

第一次世界大戦からの復興によって工業化が進むと、自動車や航空機が機械時代の象徴に。 芸術家やデザイナーも機械の進化が理想的な時代をもたらすと信じ、機械をモチーフにした作品を制作しました。

特に1925年には、パリ現代産業装飾芸術国際博覧会(アール・デコ博)が開催され、価値観の分岐点に。工業生産品と調和する、幾何学的な装飾スタイル「アール・デコ」の流行が絶頂を迎え、ガラス工芸作家のルネ・ラリックやグラフィックデザイナーのアドルフ・ムーロン・カッサンドルなどをはじめ、未来を感じさせるデザインは建築や家具、服飾の分野にまで広がりました。

ルネ・ラリック-《香水瓶「ジュ・ルヴィアン」》/マルク・ラリック-《香水瓶「ジュ・ルヴィアン」》
左から、ルネ・ラリック《香水瓶「ジュ・ルヴィアン」》(ウォルト社)1929年12月2日 原型制作、ポーラ美術館/マルク・ラリック《香水瓶「ジュ・ルヴィアン」》(ウォルト社)1952年以降、ポーラ美術館、ロベール・ボンフィス《ポスター「PARISー1925アール・デコ博」》1925年 京都工芸繊維大学美術工芸資料館[AN.2694ー43]

本展ではフェルナン・レジェやコンスタティン・ブランクーシなど、機械をデザインに取り入れたアーティストから、逆に近代化に抵抗する芸術運動「シュルレアリスム」を代表するデ・キリコやマン・レイ、そして現代において機械文明やロボット、デジタル時代の視覚性をテーマに制作を行うアーティストまで、約170点の作品を紹介。

1920~1930年代のパリを中心に、機械に対する賛美と反発が同時に現れた100年前の文化の様相を振り返ることで、現代における、機械と人間とのさまざまな関係性を考えさせられます。

展示風景 ラファエル・ローゼンダール Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art © Rafaël ROZENDAAL Photo by Ooki JINGU

『モダン・タイムス・イン・パリ 1925ー機械時代のアートとデザイン』

 

開催中~5月19日(日)/ポーラ美術館 展示室1、2/9:00~17:00 ※入館は閉館30分前まで/会期中無休/一般¥1,800/https://www.polamuseum.or.jp

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