CULTURE

【今月のTO DO LIST】 5月にチェックしたい映画と本と展覧会 【今月のTO DO LIST】 5月にチェックしたい映画と本と展覧会

■EVENT 「アウト・オブ・民藝」

民の暮らしと「民藝」との関わり

写真:高見知香

ちょうど100年前の1924年、柳宗悦や河井寛次郎、濱田庄司らによって生み出された言葉「民藝(民衆的工藝)」。当時、主に農村や漁村で暮らす人々に向けられた「民」という文字は、民藝に限らず、一般に流布していた民衆藝術、民族藝術、民謡をはじめ、民俗学、民間芸術、農民美術運動、平民工芸など、さまざまな場面に登場しました。そのため、それらの言説のなかで民芸品、民具、郷土玩具、農民美術などに向けられる眼差しも複雑に絡みあっています。

『アウト・オブ・民藝』 2019年/誠光社

『アウト・オブ・民藝』とは、こけしや郷土玩具、手芸や家庭内でのレクリエーション的創造など、民藝運動と近しい存在でありながら、「その他」として扱われてきたモノや行為に対して愛と探究心を向け、民藝運動の「周縁」にスポットを当てた活動です。

本展は、同名の書籍の著者である軸原ヨウスケさんと美術家の中村裕太さんが会場の生活工房とタッグを組み、社会変動の激しかった民藝運動草創期に焦点を当て、民衆の暮らしや新聞、雑誌の記事などから、「民藝」の受容と広がりを立体的に検証。今日のライフスタイルとしての「MINGEI」との食い合わせを「民」という文字からひもときます。

写真:高見知香
写真:高見知香

主に 1910年代から40年代の新聞や雑誌などの出版物をはじめ、彼らの日記や書簡などを時間軸に沿わせた「アウト・オブ・民藝の芋蔓年表」を展示。

「民」にまつわる文献や物品を芋づる式に展示することで、「MINGEI」とはひと味違ったB面を掘り起こしていく、興味深い企画展。世田谷美術館で開催中の「民藝 MINGEIー美は暮らしのなかにある」(6月30日まで開催)とあわせて見ると、より立体的に理解できそうです。

アウト・オブ・民藝|「民」から芋づる編 MINGEIのB面!
開催中〜8月25日(日)/三軒茶屋・キャロットタワー3階 生活工房ギャラリー/9:00〜21:00/月曜休み(祝・休日は開館)/入場無料
公式ページ

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text & edit:Mayumi Akagi
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編集者・ライター

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雑誌やウェブ、書籍で、主に暮らしまわりの記事を手がける。イベントで国内外の古本や雑貨を扱う「greenpoint books & things」、旅好きライターユニット「auk」としても活動。旅にまつわる著書多数。趣味は映画、アート、K-POP鑑賞、書店巡りなど。リンネル本誌では「アート&イベント」、リンネル.jpでは「今月のTO DO LIST」「清水みさとの食いしんぼう寄り道サウナ」などの連載を担当。

赤木 真弓

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