料理のレパートリーはおもに3つです(笑)
━━永積さん作詞・作曲の「チキンカチャトラ」は、料理を題材にした楽曲なのですか?
15,6年前くらいに閉店したのですが「カチャトラ」というイタリアンレストランが恵比寿にあって、毎晩ミュージシャンが集まり急遽セッションが始まったりだとか、そこに行けば誰かと語らえるような自由な雰囲気の店だったのです。僕はそこで本当にたくさんの刺激をもらいました。だから、いつかお店に向けて、1曲作りたいなっていうか。自分が通っていた頃の景色を描けたらいいなと思って完成させた楽曲です。曲の途中に、お店の音が聞こえるんですけど、それも実際のレストランの音を使用していて、思い出に花を添えられたのかなって。
━━ちなみに、永積さんはお料理が得意な印象があるのですが。
嫌いではないんですが、そんなにレパートリーはないですね。基本的に、チャーハン、ゴーヤチャンプルに生姜焼き(笑)。それぐらいですかね。
━━でも、その調理法に強いこだわりをお持ちのような(笑)。
そんなことないです。適当です。 この3つさえあれば飽きずに生きていけるからですね(笑)。料理ってこう、無心になれる瞬間が最高じゃないですか。普段、レコーディングやツアー、インタビューなど、お仕事でいろんな方とお会いする機会が増えていくと、ひとりの時間が重要になってきて。そういう時に、自分のチューニングを整えるうえで、料理って最適だなって思うのです。ついつい楽だから外食することも多いのですが、 それだと食べた記憶があんまり残らないんですよね。また、チューニングが切り替わらないというか。食材と向き合わないといけない時間を作ることによって、パフォーマンス力がさらに上がるような気がします。
━━ぜひ、そのお料理のレパートリーをSNSなどにアップしてください! また、本編ラストに収録された8分におよぶ楽曲「Wide Eyed World」は、何気ない日常を描いているようでありながらも、そこに<自分だけがいない>不思議な感覚を与える仕上がりですね。
この楽曲の<僕のいない世界の君が見てみたい>っていう思いは、 子どもの頃からあるかもしれませんね。でも、それは悲しい意味ではなくて。子どもの頃って、誰々ちゃんが自分がいないときにどういう表情をしているのかな?とか考えるじゃないですか。そういう感じなんですよね。つまり、好きな人とかの全部知りたくなる感覚をつなぎあわせ完成させたものなのですけど。その作業を進めていくうちに、わからないを信じる感覚って、自分のなかで大事にしていることかもしれないなって思うようになりました。たとえば、ライブでも決まった進行で、決まったエピソードを伝えるだけでは、自分のなかで感動がないっていうか。だから、いつも何かが入り込む隙間を用意するようにしています。時には、ミスをしてしまうこともありますが、思いもよらなかった奇跡が起こることもあるし、だからハプニングを期待している自分がいる。それが<わからないを信じてる>っていう歌詞にもつながったのかなって。
━━まもなくスタートするツアーにおいても、さまざまな奇跡が起こりそうですね。
今回のアルバムでも、新しい挑戦をしたアレンジとかサウンドが多いので、それをライブで再構築して、CDなどの音源とは異なるニュアンスを届けられたらなと。楽曲を発表したら、それで作品が完成するわけではなくて、ライブなどでどんどん成長していくことが本当なのだと思う。だから、このアルバムのリリースをきっかけに、何か新しいことが始まるんだなっていうワクワク感がいっぱいですね。
━━楽しみにしております。最後に、永積さんの最近の暮らしぶりをお伺いしたいのですが。カメラにハマっていらっしゃるとか?
以前にも刊行したことがあったのですが、また自分が撮影した写真集を作りたいなと思っていて。写真は、音楽で伝えきれない部分を補完してくれている感覚がありますし、また撮影することで受け取れるものも多い気がしていて。最近は、自分で現像することにも興味を持っています。
━━スマートフォンに画像を保存することがスタンダードになっていますが、手に残るものとして保存することも大切ですよね。
同じものを見ても手に触れることで感覚が変わる。それが面白いんですよね。
━━音楽もそうですよね。気軽に耳にできるデジタルの良さもありますが、実際にCDやレコード、ブックレットなどを手にして伝わる特別な何かがあるような気がします。
それってすごく重要なことだと思います。手触りで、音楽を感じていただくことが自然というか。より作品の世界と密接につながることができると思います。
━━今回のアルバム『GOOD DAY』は、まさに手に取ったからこそ伝わる世界があると思います。
そういう作品であってもらいたいですね。
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