松本穂香さん、三谷幸喜作品に初挑戦!
「自分を許して、柔軟に。大人は、もっと自由でいいのかもしれません」
松本穂香さん、三谷幸喜作品に初挑戦!
「自分を許して、柔軟に。大人は、もっと自由でいいのかもしれません」
ヒューマンドラマからサスペンス、スリラーまで幅広い作品に出演し、フレッシュな魅力を発揮している松本穂香さん。
現在上演中の4度目の舞台出演作『昭和から騒ぎ』は、あの三谷幸喜さんの作・演出。稽古場でコメディエンヌとしてのセンスを磨いてきました。
才能豊かな先輩たちに刺激を受けながら、リンネル世代のトップランナーは日々、自身の新たな顔を発見しているようで……。
古きよき普遍的な喜劇の心地よさ。
「平成生まれなので昭和を生きたことはないのですが、昭和時代の人物を演じる機会は何度かあって。その時に感じたのは、やっぱり人と人との距離感が全然違うことですね。地域にもよると思いますが、隣にどんな方が住んでいるのかわからない現在とは異なり、関係性が密で、温かみがある感じ」
松本穂香さんは、現在取り組んでいる作品の時代背景をそんなふうに語りました。三谷幸喜さんが作・演出を手がける舞台『昭和から騒ぎ』は、昭和20年代の鎌倉を舞台に展開する、ウィリアム・シェイクスピアの『から騒ぎ』を下敷きにしたコメディ。高橋克実さん演じるドイツ文学者・鳴門教授を父に持ち、宮沢りえさん演じる理屈っぽい姉・びわことともに暮らす次女のひろこが、松本さんの役どころ。鳴門家にやってくる旅芸人一座、その面々を巻き込んで起こる恋や人情のもつれがユーモラスに描かれる物語です。
「大阪で吉本新喜劇を見て育ってきたので、稽古をしながら、その世界に通じるものを感じました。ある目的のために皆で協力して芝居を打って、誰かを騙す。でもそれは結果的にいい方向に持っていくための騙しで、そこに駐在さんが出てきて『なんであなたが仕切るんだ!』みたいなことをワイワイやって……というような、普遍的な喜劇のよさを」
生まれながらにお笑いの洗礼を受けてきた松本さんなら、喜劇はお得意? そう尋ねると……。
「難しいな、と思います。ちょっとした言い方の違いや間の取り方で全部が変わってくるし、狙いすぎてもダメなんでしょうし。笑いのセオリー、そこに辿り着くまでには、まだまだ果てしなく遠い道のりが……(笑)。でも、好きではあるので、ひたすら努力中です」
演じることを楽しむ先輩たちを見習い、
作品の大事なピースになっていきたい
その松本さんを導いているのが、三谷幸喜さん。その独特の演出方法に、稽古中は日々、翻弄されていたのだとか。
「揉めごとが起こるとすぐに逃げちゃうお父さんと、何についてもひねくれた物言いをする姉がいるひろこは、素直でしっかりしたお嬢さんタイプ。でも、稽古場に行くと、始まる前に『あの場面で、こんなことをしてみてください』と、三谷さんから新しい演出が入るんです。それがすごく風変わりな行動だったりするのですが、私としてはやるしかないので(笑)、とりあえずやってみよう!と。お父さんに突然ドイツ語をしゃべらせたり、一座の看板役者を演じる大泉洋さんと『なんでここでこんなことを言うんですか?』『それはシェイクスピアだから』というような想像通りのやり取りをなさったり。もう普通に笑ってしまうので、逆に笑わないでいることが課題になっているくらいです」
ベテランの名優がずらりと顔を揃えながらも「ピリピリ、トゲトゲした感じがまったくなく、すごく居心地のいい稽古場」と松本さん。大人らしさ、そのイメージが塗り替えられたといいます。
「親世代にあたる方たちでも私と対等に接してくださるし、そして、とにかく皆さん可愛らしい! 先輩たちはとにかく自由で、柔らかさの塊なんです。それは演技にも表れていて、同じ場面、同じ台詞でも、毎回ちょっとずつ変えたりしながら、楽しんでお芝居をされているのが伝わってきて……。そのような作品に参加できていることがとにかく幸せだし、私も楽しみながら、埋もれないように、この素敵な物語の1ピースになっていけたらと思っています」
私にも、自分の言葉がある。
これからも、自分らしく続けていける
2015年にデビューし、積み重ねたキャリアはちょうど10年。幅広いテイストの作品でさまざまな役柄を演じながら、自身の変化も感じてきました。
「いちばんに思うのは、いい塩梅の真面目さになれたかな?ということ。最初の頃は、いつでも100パーセントを注がなきゃという思いが強かったのですが、途中、しんどいなと思う時期があって、そこから少しやり方を変えるようにして……。『絶対にこうしなきゃ』『もっと頑張らなきゃ』という思い込みから少しだけ、抜くところは抜いていいんだよと。生活や人生があってのお仕事なんだから、というふうに自分を許せるようになってきたのは、大きかったですね」
肩の力を抜くと、自身の中で、さらに新たな発見も。
「学生時代は、どちらかというとコミュニケーションが苦手だと感じていたのが、だんだん自分の言葉で伝えられるようになってきたように思います。私も自分の言葉を持っているんだ、考えれば出てくるんだと。そして、何事も中途半端に終わりがちなタイプだったけれど、ちゃんとこうして続けられるし、頑張れるんだって」
仕事人としても、ひとりの大人としても、生きていく力を身につけつつある松本さん。稽古に勤しみつつ、英気を養う時間に楽しんでいるのは、そのおっとりとした語り口からは、ちょっと意外にも思えることでした。
「ホラー映画や怖いドラマが大好き。アメリカのテレビシリーズ『アメリカン・ホラー・ストーリー』を、毎日ちょっとずつ見ています。刺激でリフレッシュできるんです」
シス・カンパニー公演『昭和から騒ぎ』公演情報
「登場人物は全員、かなりキャラ強め。そんな中で、姉妹や親子の絆もしっかり表現していきたいと思います」と松本さん。
作・演出:三谷幸喜
出演:大泉 洋 宮沢りえ 竜星 涼 松本穂香 松島庄汰 峯村リエ 高橋克実 山崎一
東京公演/2025年5月25日(日)〜6月16日(月) 世田谷パブリックシアター
大阪公演/2025年6月20日(金)〜23日(月) SkyシアターMBS
福岡公演/2025年6月27日(金)〜29日(日) キャナルシティ劇場
札幌公演/2025年7月4日(金)〜6日(日) カナモトホール
函館公演/2025年7月9日(水)〜10日(木) 函館市民会館
松本穂香さん Profile
まつもと・ほのか/1997年生まれ。大阪府出身。2015年の映画『風に立つライオン』でデビュー以降、数多くの映像作品に出演。最近の出演作にテレビドラマ『エンジェルフライト』『嘘解きレトリック』『スロウトレイン』、映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』など。舞台出演作に『ヨミガエラセ屋』『ぽに』『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』がある。
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[衣装クレジット]トップス¥47,300、ドレス¥42,900/ともにmuller of yoshiokubo(ミュラー オブ ヨシオクボ)、シューズ¥143,000/Tricker’s(トリッカーズ 青山)、ヤカフ(右耳)¥25,300、ダイヤイヤカフ(左耳上)¥17,600、パールイヤカフ(左耳下)¥75,900、リング(右手中指)¥23,100、リング(左手人差し指)¥29,700リング(左手中指)¥49,500/すべてe.m. (e.m.青山店)
photograph:Emiko Tennichi styling:Ami Michihata hair & make-up:Izumi Omagari text:Michiko Otani
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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