CULTURE
:「日々“生きのびる”だけで精一杯な現代人に届けたい」渡邉康太郎さん新著『生きるための表現手引き』インタビュー
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毎日が精一杯になっている大人に……もう一度子どもの頃のような「生きる喜び」を取り戻してほしい。
その願いから生まれたのが、渡邉康太郎さんの新著『生きるための表現手引き』です。
本に込められた思いを伺いました。
自ずと滲み出してしまう個性を自分自身で 認めてあげること。
家事や育児、仕事に追われ、日々「生きのびる」ことで精一杯。そんな中、自分を見失いそうになっているあなたへ。ぜひ手に取ってほしいのが、コンテクストデザイナーの渡邉康太郎さんの著書『生きるための表現手引き』。渡邉さんは、私たちが無意識に引いてしまっている「作る人とそうじゃない人」の境界線について、静かに語り始めます。
「小学生の頃はみんな、何の遠慮もなく表現をしていましたよね。それがいつの間にか、他人と比較されたり評価を気にしたりして、『自分は創造性と無縁だ』と線を引いてしまう。でも、上手いか下手かは、締め切りが迫っている仕事の時以外はさほど重要ではないんです。間違いも含めてノイズがあったほうが、世界は絶対におもしろくなるはずですから」
では、目の前のタスクをこなすだけで精一杯な日常の中で、どうすれば「生きる」喜びとしての表現を取り戻せるのでしょうか。渡邉さんは「子育てをしている人は、実は一番ラッキーなのかもしれません」と言います。
「子どもって、常にあふれる好奇心と表現意欲を持っていますよね。叫ぶし、泣くけれど、その姿はとてもアーティスト的です。彼らからインスピレーションを得られるのは、子育てをしている人の特権だと思うんです」
たとえば、子どもに「車ってなんで走るの?」と聞かれた時。正しく説明することだけではなく、一緒に車の真似をして遊んでみる。そして子どもが持っている好奇心を自らに取り込む。実は、「先生」は、すぐそばにいてくれることに気づきます。
「子どもは何より、自分がやりたいからやる。他人と比べてやめたりしない。その愚直さを、大人も取り戻していいんです」
何も特別なことをしなくてもいい。日々の営みそのものがすでに「表現」であるとも、彼は言います。
「家族のために帰宅前にお湯を沸かしておく、LINE のスタンプを工夫して選ぶ。それらすべてが自分なりの思いやりの発露であり、表現なんです。たとえレシピ通りにカレーを作ろうとしても、冷蔵庫のあり合わせを入れたり、自分なりの切り方をしたりするうちに、どうしても隠しきれない“ズレ”が生まれます。その、自ずと滲み出してしまうものこそが個性。がんばって見つけるものではなく、ほっといても『自分になってしまう』ものを、自分自身で認めてあげることからだと思うんです」
上手くやろうとする手前に、まずは好奇心を持って体を動かしてみる。
「この本が、そのための小さな後押しになればうれしいです」
『生きるための表現手引き』

渡邉康太郎
¥1,980(NewsPicksパブリッシング)
怖がらなくていい、お金に換算しなくていい、下手でいい、つたなくていい。「生きのびる」ではなく「生きる」ために表現することの大切さ、そのさまざまな理由を、読み手の心をほどくようにていねいに、明快に綴った本書。「これも表現なのか!」と目の前がクリアになり、理解が深まる体験が得られることうけあい。
渡邉康太郎さん
photograph: Shinnosuke Soma text: BOOKLUCK
リンネル2026年4月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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