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穂志もえかのバンクーバー通信「colorful days」【連載・第6回】ハリウッドの撮影システム 穂志もえかのバンクーバー通信「colorful days」【連載・第6回】ハリウッドの撮影システム

連載 #穂志もえかのバンクーバー通信 colorful days

ハリウッドドラマ FX「将軍 SHOGUN」の撮影のため、昨年9月からカナダのバンクーバーに滞在している女優・穂志もえかさん。初めての海外生活で感じているさまざまなことを、リンネル.jpの連載で綴っていただきます。第6回目の今回のお話は、ハリウッド方式の撮影について。撮影現場の詳しい描写から、現地で過ごす穂志さんの様子が目に浮かんできそうです。

目次
穂志もえかのバンクーバー通信「colorful days」【連載・第6回】ハリウッドの撮影システム
  1. 穂志もえかのバンクーバー通信「colorful days」第6回
  2. 穂志もえかさんプロフィール

穂志もえかのバンクーバー通信「colorful days」第6回

皆様こんにちは、
お元気ですか?

バンクーバーのあるBC州ではコロナ規制の緩和が進んでいます。
今までは飲食店、美術館、映画館、イベントなど、
至る所でワクチンパスポートと顔写真付きのIDの提示が義務付けられていましたが、
それも必要じゃなくなるようです。
私はこっちに来てからずっと提示していたのでなんだか不思議な感じ。
加えて、少しずつキャストの方たちが日本に帰りだしたりして、寂しいなあ、と、
端々に時間の流れを感じる日々です。

日本とは異なる、「トレーラー」を活用したハリウッドの撮影システム

今日は、ハリウッドの撮影のシステム、というか、
私が気づいた範囲の、日本と違うなと思うところ、
また撮影の日の1日の流れについて
お話ししていきたいと思います。

大体、撮影の前日に、
明日のあなたのピックアップタイムは何時です、という連絡が来ます。
その時間に、ドライバーさんが役者の住んでいる場所まで車で迎えに来てくれます。
現地のドライバーさんなので、おすすめのお店や場所を教えてくれたり、
ときには、一緒に行こうよ!、なんて話しながら向かいます。
仲良くなったドライバーさんもいて、彼女には物凄く救われているのですが、
長くなってしまうので、また近々お話ししたいと思います!

ドライバーさんの車窓から見た空

まず私たちが到着するのは、「サーカス」と呼ばれる場所です。
サーカスとは、たくさんのトレーラーが立ち並ぶ場所のことです。
トレーラーって、そうです、あのコンテナみたいな、大きい箱!

役者は、撮影までトレーラー内の自分専用の小部屋で待機

役者のトレーラーは、一つのトレーラーが2、3分割されていて、それぞれが部屋になっています。
中には、お手洗いやソファもあり、楽屋、控え室に相当する自分専用の小さなお部屋。
でも結構揺れるので、隣の役者さんにちょっと気を遣う……笑。
なぜこんな設備を与えられているのかというと、
私の予想ですが、理由の一つはスケジュールの組み方に起因しているのかなと。
待ち時間がかなり長くなるときもあり、
私は全ての準備を終えてから、最長7時間、トレーラーの中で待ったことがあります。
ときには、準備完了してだいぶ待っていたが、
「ごめん、今日のカットには君は映らなかった!」もしくは
「君のシーンは延期になった!」と、撮影せずに帰ることも稀にあります。

トレーラー群の横から見た朝焼け

日本ではスケジュールに大体何時から何時にこのシーンを撮る予定という時間が載っているのですが、
こっちではその時間の記載がないので、みんな押しているのか巻いているのかハッキリとはわからないんですね。
なので、前のシーンにいっぱい時間がかかると、最後に予定されていたシーンが撮れなくなって別日に、
ということになったりするのだと思います。
だから待ち時間のために、トレーラーの中を快適にしてくれているのかなあと!

トレーラーの中に届いていたドライバーさんからの差し入れ

トレーラーが並ぶ「サーカス」内で撮影準備を整えていく

役者のトレーラーの他にも、
ヘアメイクのトレーラー、コスチュームのトレーラー、
ADチームのトレーラーなども独立してあります。

このトレーラー方式、どんな撮影場所でも、
トレーラーを牽引して移動させれば、そこにサーカスができるので、
撮影場所の近くの建物に控室を何部屋か借りたり、もしくは、
車の中で待機、という日本の仕組みとは大きな違いだなと思います!

サーカスに着いたら、自分の名前が書いてあるトレーラーに入り、荷物を置き、
ヘアメイクのトレーラーに行き、
衣装さんに着替えを手伝ってもらって、準備を済ませます。

その後、セット(撮影場所)に移動します。
ロケ撮影では、サーカスとセットの距離が少しあるときも多いので、
またドライバーさんに車に乗せてもらってセットに向かいます。

セットに着くと、待機場所のテントがあるので、ADさんに呼ばれるまでそこで待ちます。
テントは一人のときと、他の俳優さんと一緒のときがあります。

そして呼ばれたら、ブロッキング(段取りに近い)、リハ、本番、と撮影が進んでいきます。

テント内にある自分の名前が書かれた椅子

分業制で一人ひとりが自分の役割に集中できる環境

あとはこちらの特徴として、分業制が徹底されていることも挙げられます。
ヘアはヘア! メイクはメイク!
例えば、メイクの方がちょっと髪の毛を触ることもあまり好ましくないらしいです。
他にも、日本だと、衣装さんがマイクをつけたりしてくれることも多いですが、
こっちではマイクの着脱は必ず録音部さんがやってくれます。(もしかしたら例外もあるかもしれないのですが)
自分の仕事にものすごく責任感を持ってやってくれているわけですね。

あとは、労働時間の決まりもありますし、
ハラスメントに対しても、ホットラインやメッセージフォームが設けられていて、
誰でも気になることがあれば匿名で、すぐに連絡することができます。
これは日本でもどんどん取り入れてほしいなと思うところです。
だから私は怒号とか聞いたことないし、誰かがこき使われているのも見たことがありません。
一人ひとりがハッピーに過ごせる、仕事に集中できる環境がかなり整っているように思います。
(もちろんときにはそうでないことも起こり、そのためのホットラインなのですが………)

撮影終了後もまたドライバーさんが家まで送り届けてくれます。

穂志もえか連載

いつもいつも、日本でもカナダでも思うことですが、
準備に関わる全てのスタッフさんたちは、私たちよりも早く現場に入り、遅く帰る。
ドライバーさんも私たちを送ってから帰宅なわけで。
本当にありがとうと、お疲れ様ですという気持ちでいっぱいです。
撮影終盤に差し掛かり、皆の疲れも溜まってくる頃。
どうにかして感謝の気持ちをもっと伝えていきたいなと思います!

今回も読んでくださりありがとうございました!
リアルに感じていることをお伝えできたのではないかと思います。

残りの撮影もがんばります。

また次回の更新で!
どうかお元気で。

PROFILE

穂志もえかさんプロフィール写真
穂志もえかさん
女優。1995年生まれ、千葉県出身。講談社主催「ミスiD2016」にてグランプリを受賞。2018年公開の映画『少女邂逅』で初主演を務めたほか、映画『愛がなんだ』、『街の上で』などでも注目を集める。連続ドラマCX「アンサング・シンデレラ」や、KTV/CX「大豆田とわ子と三人の元夫」など話題作に多数出演。現在は、ハリウッドドラマFX「将軍 SHOGUN」撮影のため、カナダのバンクーバーに滞在中。
Instagram:@moekappa823

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photograph:Jun Imajo[profile]
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