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災害時の備えは万全? シーン別危機管理マニュアル 災害時の備えは万全? シーン別危機管理マニュアル

防災,避難,災害,救命,応急処置
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地球規模で気候が変わり始めている昨今、さまざまな自然災害が頻発しています。いつ起きるかわからない非常事態に備えるべく、災害危機管理アドバイザーの和田隆正さんと防災士の小川光一さんに、防災の基本ともいえる、住んでいる地域の土地情報の把握方法や、災害時の救命・避難方法、ケガをしたときの応急処置の仕方を教えていただきました。

目次
災害時の備えは万全? シーン別危機管理マニュアル
  1. 住んでいる地域の“土地情報”を集めることが最優先!
  2. そのときどうすれば!? 災害別、避難&救命マニュアル
  3. これだけは知っておこう! 大切な人と自分を守る応急処置
  4. 基本の防災グッズ3種がそろっているかもしっかりチェック!
  5. 教えてくれたのは…小川光一さんと和田隆昌さん

住んでいる地域の“土地情報”を集めることが最優先!

地震、津波、土砂崩れや地滑りなどの風水害。毎年のように災害にみまわれる日本ですが、「もはや天災、異常気象とはいえず、雨や雪が降るように起こってしまう“気候変動”のひとつと捉え、準備をするのが賢明です」と話すのは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さん。
前もって天気予報を確認し、雨具を用意するのと同じ感覚で、防災の準備に必要なのは、持ち出し袋や備蓄品よりも先に、ハザードマップや防災アプリで「情報」を手に入れておくことです。

① “ハザードマップ”は市町村と国土交通省の2種類をチェック!

自分が暮らす市町村のハザードマップ(洪水、火災、津波など可能性が高いもの)のほか、河川の氾濫は国土交通省のハザードマップを確認。
「津波の可能性があるところは津波ハザードマップなど市町村によってさまざまな種類があります。ご自分の住んでいる地域のハザードマップを見て危険な場所を頭に入れておきましょう。また、どの地域でも地震、水害には特に注意が必要。日本列島ではどこでも起こる可能性が高いですから」

② “災害用アプリ”をダウンロード! 必要なニュースと情報を通知

何が起きているのか、どうすればいいのかの理解、判断を手助けしてくれるのが防災アプリ。そのうち、ではなく、今すぐにダウンロードしましょう。
必要な場所を登録しておくと、その付近に関する速報や情報を通知してくれるほか、避難所情報やニュースと連動した映像が見られるなど、知りたい情報が即座に手に入ります。
「いざというときに使えるよう、ある程度アプリに慣れておきましょう」

\ぜひ! すぐ! ダウンロードしてほしい 災害用アプリ3選/

NHKニュース・防災
NHK公式アプリ。速報や情報をプッシュ通知で。
Yahoo! 防災速報
自宅など国内の最大3地点と現在地の情報を通知。
防災情報 全国避難所ガイド
今いる場所から近い避難所へのルート案内が可能。

そのときどうすれば!? 災害別、避難&救命マニュアル

いざというとき、パニックを避けるためにどうすればいいの?
災害の現場へ幾度となく足を運んだ小川さんと和田さんに、「地震」「津波」「火災」「風水害」それぞれの災害時における避難&救命マニュアルを教わります。

【地震】

グラッと大きな地震が! いろいろな状況が考えられますが、とっさにすべき基本的なことを覚えておきましょう。

 

\基本はこのSTEP/

 

STEP 1:頭部を守る

どんな場所にいても頭部を絶対に守ってください。腕や脚をケガしてもなんとかなりますが、頭だけは命を落としかねません。屋外にいたとしたら、鞄を頭にかざす、スーパーで買い物中なら買い物かごで覆うなど、どにかく頭部を守る、と覚えてください。

STEP 2:ものがない場所へ小移動する

頭部を守るのと同じくらい重要なのが、ものがないところへ移動すること。大きな家具が倒れてくる、落ちてくる、飛んでくるなど、ものが近くにあるといろんな危険が起こります。遠くへの移動ではなく小移動でいいのですが、そこで頭部を守りましょう。

【津波】

大丈夫だろうと思わずに、可能性が少しでもあればすぐに避難するべき、が津波です。

 

避難POINT 1:車は使わない

原則として車は使わずに避難しましょう。車で道路が渋滞してしまい動きが取れず、車ごと津波に巻き込まれてしまうケースが考えられます。車の運転中に大きな地震が来たら、緊急車両の邪魔にならないよう道路から外れたところに駐車し、走って逃げましょう。律儀に縦列駐車してしまうと、後続車がそれを渋滞だと勘違いするので、明らかに道路外に置くのが無難です。

避難POINT 2:「遠く」よりも「高く」

遠くではなく高く、が津波避難の基本。海から数キロ先まで平地が続く場所や高台がない場所もあるからです。できるだけ沿岸から離れた、鉄筋コンクリート造りの建物の5階以上に避難するのが望ましいといわれています。緊急避難施設として、“津波避難ビル”というものが選定されている町もあります。自分が住む町や旅先ではどこに避難するのがいいか、確認しましょう。

避難POINT 3:「津波注意報」でも海から離れる!

1m以上の波が来るときに発令されるのが津波警報。20cm1mが津波注意報です。注意報だからといって甘く考えずに、すぐに海から離れましょう。小さな津波でも海水浴場を襲えば、子どもは簡単にのみ込まれてしまいます。大人でも危険な場合がありますから、警報でも注意報でも避難することが命を守ります。

\知っておきたい津波の基礎知識/

 

津波は何回も来る

津波は第1波、第2波、第3波、と何度も襲ってきます。ほっとしたころにまたやってくる、ということもあるので、避難したら、避難解除されるまで低地に戻らないことです。

 

初めに波が引くとは限らない

予兆として大きく波が引くと思われがちですが、そうではありません。引き波がない状態でいきなり津波が来ることもあるので、様子を見てから避難しようという考えは危険です。

 

津波は川をさかのぼる

津波は川沿いのものを壊しながら何十kmも川をさかのぼります。内陸部にいるからといって安心はできません。津波警報が出ている場合は、河川には絶対に近づかないように。

 

津波火災が起こりうる

昔から、津波が去ったあとに火事が起きる、津波火災という被害があります。倒壊家屋・プロパンガスボンベ・自動車など多くの可燃物が燃えて、大規模な火災につながります。

【火災】

地震のときだけでなく、日常的にも起こりうる火災。火が出てしまったときには的確な対処を。

 

\基本はこのSTEP/

 

STEP 1:知らせる

一番大切なのが「火事だ!」と周囲に知らせること。恥ずかしい、ぼやだから自分で消せるなどと思わずに、逃げてもらうため、援護してもらうため、通報してもらうためなどさまざまな対応のためにも、まずは周囲に知らせること。燃え広がってしまったら取り返しがつきません。

STEP 2:初期消火

次に大切なのが、初期消火。火が横に広がっているうちは、まだ消火が可能です。消火器や水のほか、クッションや毛布でたたいて火を消すこともできます。

 

STEP 3:早く逃げる

火が縦に燃え、天井まで広がってしまったら、もう消火はできないと思って逃げましょう。濡らしたタオルやハンカチ、ネクタイ、衣類などで口を押さえ、煙、一酸化炭素などを吸わないように注意。煙が充満している場合は、空気が残っていることが多い地面をはうように体を低くして移動を。

【風水害】

崖崩れ
……予兆は……
■ 小石がバラバラ落ちてくる
■ 斜面に亀裂や変形が見られる
■ 斜面にふくらみが見られる
地滑り
……予兆は……
■ 樹木や電柱が傾く
■ 木の根が切れるような音がする
■ 崖や斜面から水が噴き出す
土石流
……予兆は……
■ 川の水が濁り流木が交じっている
■ 岩の流れる音がする
■ 雨が降り続いているのに、川の水位が下がる

これだけは知っておこう! 大切な人と自分を守る応急処置

応急処置を覚えることで互いに助け合えると強調する防災士の小川さんに、処置の方法を教えていただきました。

ケガをしたときの基礎的な対処の知識を

これまで数々の被災地を訪れ、その様子のドキュメンタリー映画も製作している小川さん。災害前は「死んでしまうか」「無傷で生き残るか」のどちらかしか想像していない人が多いそう。

「止血や骨折の応急処置なんて怖くてできない、と思うかもしれません。ですが、自分が多量の出血をしていたとして、家族が止血方法を知らなければ命を落とすことになります。家族が骨折したとして、骨折の固定法を知らなければその家族は置き去りにして避難しなければなりません。実際に阪神・淡路大震災でも、家族や近隣の人がすぐに応急処置をした例が多く、生き延びた人が何万人といます。お互いに助け合って生き残るためにも止血、骨折の処置の方法は知っておいてほしいのです」

【止血方法】

大量出血は命とりに。まずは、止血方法から。

直接圧迫止血法
どんな大出血でもほとんどこの方法で止血できます。まず、感染予防のため、ビニール袋などで手を覆って、血に触れないように。傷口を覆えるくらいのガーゼ、タオルをあて、その上から強く押さえます。傷口を心臓より高い位置に上げることで出血量が抑えられます。
関節圧迫止血法
直接圧迫止血法のガーゼなどが準備ができる前や使えない場合は、関節圧迫止血法を。出血箇所から心臓に近い動脈(止血点)を指でしっかり押さえます。直接圧迫止血法を始めたら、関節圧迫止血法は中止します。

【骨折したときの応急処置】

骨折は副木をして固定が基本。副木がなければ、傘など長い棒状のもので代用を。

肘を骨折した場合
3か所ほど副木と腕をガーゼなどで結んで固定します。ショックや痛みによる顔面蒼白や震え、冷や汗が見られたら毛布などで温めましょう。
下肢を骨折した場合
膝まわり、足首まわりにやわらかいタオル、ガーゼなどをあて、木や傘を足に添え、包帯などで太もも、膝まわり、足首まわりを固定します。痛がる場所は避けて固定を。
手首、前腕を骨折した場合
上腕を骨折した場合

骨折の基本ですが、傷口から骨が見えるか、突き出ているかを確認します。見える場合は、まず傷口にガーゼなどをあて、その上から包帯でぐるぐる巻きに。骨が突き出ていたら、そのまわりにガーゼなどを積み重ね、骨を圧迫しないようにします。ケガをした場所に副木をあててガーゼや包帯などで固定します。適当な木がなければ、段ボール、雑誌、傘などで代用を。


基本の防災グッズ3種がそろっているかもしっかりチェック!

「もしも」にそなえて自宅の防災グッズを見直すのも大切です。3つの基軸による、防災グッズのそろえ方を確認しましょう。

 

① [避難用] 非常時の“一時持ち出し”セット

一時持ち出し袋は、あくまで避難所に移動するまでに必要なもの。安全にたどり着くため、避難所で配給が始まるまでの短い時間を過ごすために使うものを防災リュックにまとめましょう。想像以上に過酷な状況にも備え、背負って走れることを考えて一人ひとつ5kg以下にまとめるのがポイント。

 

② [普段用] “毎日持ち歩くもの”セット

どんなときに地震が起こっても対応できるように、毎日持ち歩くものをそろえましょう。優先度の高い、必要最低限のものをまとめたプチ防災セットを作り、常に鞄の中に入れておくと安心です。

 

③ [自宅避難用] 1週間分の“備蓄品”

自宅で避難する場合、電気・ガスなどが使えない状況で必要になるものが「備蓄用品」。1週間程度を過ごせることを目安に量をそろえます。建物には被害がなくても水や電気、ガスなどインフラが停まりやすい集合住宅の上層階の方は、簡易トイレ、水と食料、調理用の簡易コンロとガスボンベはあったほうが安心。

■ 具体的なアイテムをまとめた防災グッズリストはこちらから↗


教えてくれたのは…小川光一さんと和田隆昌さん

小川光一さん
作家・映画監督。防災士。著書『いつ大災害が起きても家族で生き延びる』(ワニブックス)など。防災啓発ドキュメンタリー映画『いつか君の花明かりには』を全国で上映、防災講演を行う。
和田隆昌さん
災害危機管理アドバイザー。30か所以上の被災地を訪れ、緊急時のサバイバル術も得意。講演会や監修も行う。著書に『まさか我が家が!? 命と財産を守るサバイバル・マニュアル21』(潮出版社)など。

<< 災害時に本当に役立つ「非常用持ち出し袋」の中身を公開!

<< 震度6でも倒れない! 物が散乱しない! 部屋作りのメソッドを知っておこう!


illustration:Kayo Yamaguchi text:Tomoko Yanagisawa web edit:Mina Ota
リンネル2019年4月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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