【防災】被災したときに役に立つ、10個の知恵 【防災】被災したときに役に立つ、10個の知恵

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大規模な災害時。普段からしっかり備えていても、いざ避難生活が始まると不自由なことがたくさんあります。でも、テクを知っておけば、解決できることも多いのです。今まで数々の被災地に入ったレスキューナース・辻 直美さんに、避難生活で使えるアイデアを教えていただきました。
不自由な避難生活を支えてくれる
知識やスキル
大規模な災害が起こると、断水や停電が起こります。2019年の台風では、千葉県の停電が復旧するのに、1か月以上がかかりました。トイレやお風呂が使えなくなったときに、どう過ごすのか、ここは知識やスキルが必要になります。
「給水車は被災してから10日~2週間ほどで到着します。その場合、容器は自分で用意する必要がありますが、ペットボトルでは全然足りません。ポリタンクがなくても、リュックにゴミ袋をセットすれば、15Lくらいの水がくめます」
また、被災時は感染症への注意が必要。風邪やインフルエンザはもちろん、トイレを我慢することで膀胱炎や腎盂炎になる人も少なくありません。健康を守るための知識も必要です。
「避難所は、冷暖房もなく、仕切りのないスペースに雑魚寝することになります。プライバシーがないうえに、シャワーも使えないのでにおいのトラブルも。そんなときのために気分を癒やす香りがあれば、前向きな気持ちを保つことができます」
被災したときの10の知恵
<知恵 1>
給水にはポリタンクよりリュック

リュックを大きく広げ、中に45Lのごみ袋を2重にセットし、リュックを覆うように広げる。リュックの半分~8分目まで水を入れて、きっちりひとつ結びにして運びます。
<知恵 2>
少しの水で喉をうるおす

ペットボトルのキャップに水を入れます。キャップには口をつけずに直接水を口に入れ、舌の裏に流し込んで10秒待つと唾液が分泌されます。45分ごとに行うと、感染症予防に。
<知恵 3>
水1Lで全身さっぱりさせる

<知恵 4>
災害用トイレのつくり方
トイレが流せないときに使えるのが「災害用トイレ」。ごみ袋とペットシーツ、ちぎった新聞紙でできて、後始末も簡単です。

※使用後は下のゴミ袋はつけたまま上のゴミ袋のみ交換



<知恵 5>
子どものシャワーや膀胱炎予防に
ペットボトルシャワー




<知恵 6>
災害避難時は
ビニール袋に服を包んで

災害時には低体温症に注意が必要。服が濡れたままの状態だと体温が奪われ、命の危険にさらされることもあります。悪天候の中避難したときは、素早く着替えて体を温めなければいけませんが、慌てて避難すると着替えが濡れてしまうことが。水害で服が汚水を吸った場合は、乾いてもにおいが取れず、避難所には洗濯機はありません。着替えは必ずジッパー付き袋などを使って小分けにパッキングをすること。着替えを入れるリュックには防水スプレーをかけておきましょう。
<知恵 7>
簡易ランタン

懐中電灯のライトが上を向くようにして、その上に水の入ったペットボトルを置きます。水で光が拡散されて、ランタンの代わりに。
<知恵 8>
「首」を温める

新聞紙はそのままかぶるよりも、もんでくしゃくしゃにすると保温性がアップします。もんでねじれば、肌触りもよくスカーフ代わりに。腹巻きのように巻いたり、血流の多い手首、足首に巻き付けると暖をとることができます。
<知恵 9>
心を癒やす香り
水害の汚水のにおいはもちろん、避難所生活では、においがきついのが現実です。女性は柑橘系のオイル、男性や子どもはバニラ系の甘い香りのオイルがあると心が癒やされます。
<知恵 10>
明るい心を持つこと

被災地ではどうしても暗くなりがち。そんなときこそ自分から笑顔になること。女性が笑えば、子どもも安心するし、男性も元気が出て、まわりに明るい空気が広がります。それが元の生活に戻るための近道になります。
教えてくれた
辻 直美さん profile

text:Ema Tanaka illustration:Yumi Miyashita web edit & text:Riho Abe
リンネル2021年10月号より
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