春の陽だまりのような心を温かくする声やサウンドで人気を博している、秦 基博さん。「泣き笑いのエピソード」など、ヒット曲が多数収録された3年3か月ぶりとなるオリジナル・アルバム『Paint Like a Child』が完成しました。子どものような純粋さで制作されたというアルバム。その内容や、普段の暮らしぶりなど、本誌に入りきらなかったエピソードをここに紹介します。
その瞬間に作りたいと思ったものを大切に、楽曲制作ができている
ーー3年3か月ぶりのオリジナル・アルバム『Paint Like a Child』が完成しました。新型コロナの影響もあったと思うのですが、秦さんにとってこの期間はどんな時間でしたか?
秦 基博さん(以下秦さん) もちろんその影響はありました。さまざまな制限がかけられたなかで、やれることを工夫しながらも活動できたと思います。
ーーなかでもNHK連続テレビ小説 『おちょやん』 の主題歌に起用された「泣き笑いのエピソード」は、日本に元気と感動を与えたと思います。
秦さん みなさんの朝というよりも、自分が目覚めに聴いて心地いい音楽はどういうものかを考えて制作した楽曲です。結果、壮絶な出来事が起こりながらも前を向いてきた主人公の姿に重なるものになったのかなと思います。ドラマに関われたことは、本当にうれしかったですね。
ーー大きな反響によって、音楽制作に影響はありましたか?
秦さん 特にそういうものはなくて、その瞬間に作りたいと思ったものを大切に楽曲制作ができていると思います。
今後の活動に大きな意味を持つアルバムに
ーーアルバムは、確かに何かの枠にとらわれず、タイトル通り「子ども」のような純粋さで音楽と向きあう様子が伝わる仕上がりですね。
秦さん 子どもが描く絵のように、とにかく自分の作りたいと思った音楽と自由に向きあいたいと思って制作した作品になりますね。
ーーアルバムの冒頭を飾るタイトル曲である「Paint Like a Child」は、まさに壮大なキャンバスで自由に音楽を描く秦さんの姿が伝わってきました。
秦さん 今回のアルバムで作りたい音楽の方向性を示すものを冒頭に収録したかった。とても躍動感のある仕上がりになり、アルバムのオープニングを飾るにもぴったりだと思ったし、タイトルにしてもふさわしいと考えました。
ーーまた、先行配信された「イカロス」は、楽曲にインスピレーションを受け制作された映画『イカロス 片羽の街』が、U-NEXTにて独占配信されています。
秦さん この楽曲は、アルバム制作の初期段階に完成したもの。メロディやアレンジから情景が浮かぶ仕上がりになったので、これを元に物語を作ってみたら面白いのでは?というアイデアが出て、実現したプロジェクトです。自分でも予想できなかった3つの物語ですので、ぜひ観ていただきたいですね。
ーーまた、そのほかの収録曲も、秦さんのさまざまな表情がうかがえるものばかり。
秦さん 本作は、生きている毎日、暮らしている時間を歌にしたかったという気持ちが強かった。それをすべてこのアルバムで表現できたことは、今後の活動に大きな意味を持つものになったのかなと思いますね。
ーー4月29日から「HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2023 ―Paint Like a Child―」がスタートします。
秦さん これからたくさんの人々と出会い、アルバムを共有することで、芽生える気持ちがたくさんあると思うので、とても楽しみにしています。内容に関しては、現在考えているところなので、みなさんもぜひ楽しみにしていてください。
手持ち無沙汰の時間を作ることの有意義さを感じる
ーーツアーなどで全国をまわる日々が続く秦さん。暮らしのなかで気をつけていることはありますか?
秦さん 歌うためには、体のコンディションが大切になってきます。年齢を重ねると、さらにそこが重要になってきまして、最近はストレッチなどをして、いろんな部位を柔らかくするようにしていますね。特に楽曲制作などデスクワークも多いので、首まわりのケアは大切。筋膜リリースとか、念入りにおこないます。
ーー音楽活動以外では、普段どんな暮らしをされているのですか?
秦さん 漫画を読んだりとか、映画を観たりすることが多いですね。また、最近は何もしない時間を作るようにしています。スマホにも触れずに、手持ち無沙汰の時間を作ることの有意義さを感じるようになりました。そのことによって周囲の景色のよさだったりとか、日常の発見が多いですし、また自分がこれからやるべきことが明確になってきます。
NEW ALBUM『Paint Like a Child』
秦 基博/¥3,300 (通常盤)
Augusta Records 3.22 on sale
お話を伺った秦 基博さんProfile
はた・もとひろ/1980年生まれ。2006年にデビュー。4月29日から「HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2023 ―Paint Like a Child―」がスタート。7月22日には、東京国際フォーラムホールAにて公演。
(衣装クレジット)シャツ¥21,000(NOLNO / THE PR : 03-6803-8313) 、パンツ¥38,500(SAYATOMO)
photograph: Shinichiro Oroku styling: Tsuyoshi Takahashi (Decoration) hair & make-up: Honoka Fuse text: Takahisa Matsunaga web edit: Liniere.jp
Related Article おすすめ記事
-
小林聡美さんが向き合う、傑作昭和ドラマの舞台化。「平凡な人の奥底にある激しさを伝えられたら」前編 小林聡美さんが向き合う、傑作昭和ドラマの舞台化。「平凡な人の奥底にある激しさを伝えられたら」前編
-
小林聡美さん「大人として自由に生きるためには〝手放す〟ことも必要」後編 小林聡美さん「大人として自由に生きるためには〝手放す〟ことも必要」後編
-
年齢を3で割ると、人生の時間がわかる!? 【OVER THE SUN 公式互助会本より vol.1】 年齢を3で割ると、人生の時間がわかる!? 【OVER THE SUN 公式互助会本より vol.1】
-
家入レオさん「音楽と暮らしを心地よく両立できる、柔らかい生き方をしたい」 家入レオさん「音楽と暮らしを心地よく両立できる、柔らかい生き方をしたい」
-
【ニットデザイナー三國万里子さん】 『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』書籍インタビュー 【ニットデザイナー三國万里子さん】 『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』書籍インタビュー
-
アーティスト LiSAさん「これまでのキャリアが導いた、喝采できる音楽」『LANDER』インタビュー アーティスト LiSAさん「これまでのキャリアが導いた、喝采できる音楽」『LANDER』インタビュー
-
北欧のおすすめ音楽を北欧好き5人が推薦!【私が好きな北欧音楽】 北欧のおすすめ音楽を北欧好き5人が推薦!【私が好きな北欧音楽】
-
ドレスコーズ 志磨遼平さん「憧れるものに対してあきらめずにいたい」新作アルバムインタビュー ドレスコーズ 志磨遼平さん「憧れるものに対してあきらめずにいたい」新作アルバムインタビュー
-
桜井莞子さん「自分で楽しいほうに持っていくこと。誰かに強要されるんじゃなくてね」 書籍インタビュー 桜井莞子さん「自分で楽しいほうに持っていくこと。誰かに強要されるんじゃなくてね」 書籍インタビュー
Latest News
CULTURE
-
【映画『コール・ミー・ダンサー』インタビュー】 親子でぜひ観たい、インド人ダンサー、マニーシュ・チャウハンさんが夢を追いかけ続ける姿 【映画『コール・ミー・ダンサー』インタビュー】 親子でぜひ観たい、インド人ダンサー、マニーシュ・チャウハンさんが夢を追いかけ続ける姿
-
秦 基博さん「さまざまな軽やかさ・奥深さに触れられた1年でした」/アルバム『HATA EXPO -The Collaboration Album-』インタビュー 秦 基博さん「さまざまな軽やかさ・奥深さに触れられた1年でした」/アルバム『HATA EXPO -The Collaboration Album-』インタビュー
-
【モネ 睡蓮のとき 開催中!】 展覧会アンバサダーの石田ゆり子さんが語る、モネの魅力 【モネ 睡蓮のとき 開催中!】 展覧会アンバサダーの石田ゆり子さんが語る、モネの魅力
リンネル最新号&付録
2025年1月号
暮らしの道具大賞2024
- 付録
- marble SUD[マーブルシュッド]
ボアバッグ&
リング付きちょうちょ柄丸ポーチ
特別価格:1,520円(税込) / 表紙:上白石萌音 /
2024年11月20日(水)発売 ※一部の地域では発売日が異なります