土岐麻子さん「年齢を理由に、臆病や億劫にならずにいたい」/ベスト・アルバム『Peppermint Time 〜20th Anniversary Best〜』インタビュー 土岐麻子さん「年齢を理由に、臆病や億劫にならずにいたい」/ベスト・アルバム『Peppermint Time 〜20th Anniversary Best〜』インタビュー
雨のシーズンを快適に暮らすためのエッセンス
━━本作には2019年にリリースされた「美しい顔」が、5人組バンドの礼賛のみなさんとともにセッションし、再構築されています。
ベスト盤に、新曲を作るのもありだとは思うのですが、これまでを総括したような1曲を作れと言われても、難しいですし、なかなか気が向かないので、リアレンジもしくはリミックスしたものを収録して、リスナーのみなさんへのギフトにしたいと思っていて。今回「美しい顔」を選んだのは、楽曲のメッセージがもっともっと伝わってほしいと思うものだったから、セレクトしました。これを再構築させるにはどうしたらいいのか?と考える過程のなかで、バンド・サウンドで表現したいと思うようになり、そのときに耳にした礼賛のラップの入った楽曲が、純粋にかっこいいなと思ったし。ラップを入れてもらうことによって、この楽曲の持つメッセージに新しい解釈が加わると思ったのでお願いしました。
━━ラップは、ラランドのサーヤさんことCLR(クレア)さんが、ご担当。
彼女の声が大好きで、ラップをされることを知って当初はびっくりしたんですけど。歌も素晴らしいです。
━━この楽曲からは、美しさの基準は千差万別。それゆえに、自分が信じる美しさを追求していく意識が伝わってきました。
自分の美しさを信じるという意識改革の部分もあるのですが、それより周囲の美しいと思う価値観に流されない、またそれを誰かに強要してはいけない。自分自身の美の基準で、誰かを評価することが間違いであることを伝えたいのです。そこは、自分自身も気をつけなくてはならない部分なので、楽曲を作ったのですが。だから、例えば整形して、自分の納得のいく姿に変えてもいいと思うし、ありのままの自分で生きることも正しい。その人それぞれに美の基準があるんだから、そこに口出しするのはやめたいね、というメッセージなのです。
━━確かに、そこは気をつけないといけない部分なのですが、最近土岐さんが暮らしのなかで<美しい>と感じる時間や風景はありますか?
最近は、雨の風景が美しいと思うようになって。昨年、韓国に行ったんですけど、ちょうど梅雨の時期で、連日土砂降りに。でも、私はそこに美しさを感じて。オフィス街で、突然雨が降ってきて、頭を隠しながら走っていくスーツの人の姿とか、カラフルな傘が並んで交差点を通っていく風景。 ビルの上が煙って、空が見えない状況とか。そういうものに、情緒みたいなものを感じるようになりました。スッキリと晴れた空も好きなので、今ではあらゆる天気も楽しめるようになった気がします。
━━これから雨のシーズンがスタートします。憂鬱な気分になる人もいるかもしれないので、それを快適に乗り越えるグッズなどありますか?
最近はたたむと濡れていない内側が表になる構造の傘が出ているじゃないですか。ちょっと重いのですが、いいですよ。こういう便利な傘があると、ちょっとしたストレスから解放されて、出かけてもいいかなという気分になれる。
━━今後はどんな活動をされていきたいですか?
何かにとらわれることなく、 常に自分がワクワクできることにチャレンジしていきたい。暮らしにおいても、先日まで自動車教習所に通っていたのですが、日常のパターンを変えることも積極的に取り入れたいなと。今後は留学もしたいし。この年になったからもう遅いかなって思わずに、いろんなことにワクワクしたい。何かを始めることに、臆病や億劫にならずにいたいなって。もちろん、できない自分に失望することもありますよ。なんでこんなこともできないんだとか、覚えられないとか(苦笑)。でも、それを乗り越えたときは、本当にうれしいので。
━━これからも新しいことに、しなやかに取り組んでいく土岐さんに注目していきたいです。注目といえば、ソロデビュー20周年記念のビルボードライブ3都市ツアーの開催が間もなくですね。
ベスト・アルバムのリリース後ということもありますし、そこからの選曲で、これまでを振り返るようなライブを、バンド編成でやりたいと思ってます。ぜひ楽しみにしてください。
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