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井之脇海さん舞台インタビュー「自分でいられる時間を大切に」 井之脇海さん舞台インタビュー「自分でいられる時間を大切に」

井之脇海さん

9歳で俳優活動を始めて以来、多くの作品で存在感を発揮してきた井之脇海さん。6月に控える舞台『カモメよ、そこから銀座は見えるか?』への意気込みと、大切にしている暮らしのルーティンを伺いました。

目次
井之脇海さん舞台インタビュー「自分でいられる時間を大切に」
  1. 井之脇海さんインタビュー
  2. 井之脇海さんに日々の暮らしのこと聞いてみました!
  3. 舞台『カモメよ、そこから銀座は見えるか?』公演情報
  4. Profile

「わからない」も含めて楽しんでもらえる舞台に

井之脇海さん

井之脇海さんにとって、3作目の舞台となる『カモメよ、そこから銀座は見えるか?』。作・演出を手がける岩松了さんの作品を初めて観たのは、12歳のときだったそう。

「当時観たのは『恋する妊婦』だったのですが、まったくわからなくて。でも、そこに役者さんが存在して、生のパワーを感じられることがただただ楽しかった。大人になって岩松さんの作品を観ても、やはり難しいという印象は変わりませんでしたが、明確に答えを提示されないからこそ、想像の余地が残る。観終わった後に咀嚼する時間も含めて、岩松さんの作品なんだろうと感じます。今回もわからないことばかりだろうけど、そこも含めて楽しんでもらえるようにしたいですね」

作品のテーマは、「赦し」。井之脇さんが演じるのは、両親を早くに亡くし、妹とふたりで寄り添うように生きてきたアキオ。そんな彼が、かつて自分の家庭を崩壊させた父親の愛人と出会い、だんだんと惹かれていく……というストーリーです。

「誰しも生きてきて、人を傷つけたり、傷つけられたりしたことがあると思うんです。それを見ないようにして、モヤモヤを抱えて生きてきた人がこの作品を観ることで、考え直すきっかけになるかもしれない。昔のことが解決するわけではないけど、あらためて思い返すことで成長したり、人との向き合い方が変わったりすると思うので。ぜひそういう人に観て、考えていただきたいなと思います」

嘘のない、真実に近づけた芝居をしたい

公演で意識しているのは、「真実に近づけた芝居」をすること。

「舞台上の空間が虚像になりすぎると、観た人が日常に作品を持って帰りづらいので、なるべく嘘のない芝居をしたい。そのためには“その場でちゃんと会話をする”ことが大事だと思っています。声に出す会話だけじゃなく、心のやり取りを感じて、ちゃんと台詞を言う。当たり前のことですが、それが一番難しいので。舞台は何十回と公演を繰り返しますが、形だけになってしまわないよう、血の通った会話をしたいと思っています」

現在、ドラマ「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」の撮影中でもある井之脇さんですが、「自分でいられる時間」を意図的に作ることで、上手に切り替えているそう。

「プライベートを犠牲にしてでも役に没頭する方がいいと考えた時期もありましたが、僕の場合は息抜きがないと、結果的にパフォーマンスが落ちてしまうと気づいて。それも、長期の休みよりは、こまめにオフを作る方が自分には合っているんですよね。映画を観たり、山に登ったりすることでヒントをもらえることもあるし、『集中していいものを作ろう』と気持ちも切り替えられるんです」


井之脇海さんに日々の暮らしのこと聞いてみました!

井之脇海さん

ーーQ.1日の中で大切にしている時間は?

ベランダの半分に人工芝、もう半分にウッドデッキを敷いて、一人がけの椅子を置いています。朝はそこに座ってコーヒーを飲んだり、本や台本を読んだり、夜は登山用のランタンを出して空を眺めたり。意外と都心でも鳥が来たり、星が見えたりするんですよ。そうやって、気持ちをオフにする時間が、僕にとっては大切です。

ーーQ.大学でも映画を学び、今も週4〜5本は映画を観ているという井之脇さん。最近観て、刺激を受けた作品は?

沖田修一監督の『おーい!どんちゃん』です。沖田さんの実の娘さんや俳優仲間をハンディカムで撮った自主制作映画ですが、全員が瑞々しくて。僕たちは普段、編集や画に助けられることが多いけど、この作品では何にも頼らず、身一つでお芝居している。作品としても心温まるいい映画ですが、芝居についても「こういうことだよな」と刺激を受けました。

ーーQ.登山好きとしても知られる井之脇さんですが、特によく行く山は?

好きなのは地元の丹沢。10代の頃から定期的に登っているので、自分の変化や成長が分かる指標になっています。昔は気に留めなかった木に今は気づいたり、自然のありがたみを深く感じるようになったり…。最近は秩父の棒ノ折山も好きで、つい先週も行ってきたばかり。景色が変化に富んでいて、沢登りのような体験ができるのが楽しいんですよね。


井之脇海さん出演作
舞台『カモメよ、そこから銀座は見えるか?』公演情報

年の瀬の銀座を舞台に、肩を寄せ合って生きてきた兄妹が、かつて家庭を崩壊させた父の愛人と出会い、徐々に打ち解けてゆく“赦し”の物語。

作・演出/岩松了
出演/黒島結菜、井之脇海、青木柚、櫻井健人、岩松了、松雪泰子
東京公演/2023年6月3日(土)~2023年6月25日(日)本多劇場
富山公演/2023年6月28日(水)富山県民会館ホール
大阪公演/2023年7月1日(土)〜2日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
新潟公演/2023年7月9日(日)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場


Profile

井之脇海さん
井之脇海
いのわき・かい/1995年生まれ、神奈川県出身。9歳より子役として活動開始。2008年公開の映画『トウキョウソナタ』で第82回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、第23回高崎映画祭最優秀新人俳優賞を受賞。近年の主な出演作に、NHK大河ドラマ「いだてん」、連続テレビ小説「ちむどんどん」、配信ドラマ『今際の国のアリス シーズン2』、映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』 など。現在、ドラマ「ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と」(TBS系・金曜22時〜)に出演中。

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photograph:Miho Kakuta text::Hanae Kudo web edit:Liniere.jp
styling:Shinichi Sakagami(Shirayama Offic) hair & make-up:Toshihiko Shingu(VRAI) 

※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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