CULTURE
:石崎ひゅーいさん「自分のなかのヒーロー像を表現しました」/新曲「HERO」WEB限定スペシャル・インタビュー
CULTURE
:心にしみるバラードから、研ぎ澄まされたロックまで、多彩なサウンドにのせ、暮らしに寄り添う言葉を紡ぐ、石崎ひゅーいさん。
2025年最初の新曲「HERO」は、桐谷健太さん主演の話題ドラマの主題歌として書き下ろされたもの。疾走感のあるサウンドは、ドラマのスリリングな展開を盛り上げることはもちろん、大切な存在について思いを巡らせることができる、心に響くしあがりになっています。
必死に誰かを守ろうとする人をヒーローに
━━2024年は2年半ぶりのバンド編成によるワンマン・ツアーや初のカバーEPのリリースなど、お忙しい活動をされていた印象です。
石崎ひゅーいさん (以下敬称略) デビューして10年以上経ちますが、何かに凝り固まらずに、何にでも挑戦していこうと思いながら活動してますね。
━━特にカバーEPの発表は、これまでご自身で制作されてきた楽曲とは異なる音楽との向きあいかたができたのでは?
石崎 それはあったと思います。今後の楽曲制作に影響を与えていくのではないかと思いながら取り組んでいましたね。自分ではなく他の方が制作された楽曲を知って、それを歌わせていただくという体験をしたことでインプットされた感覚がたくさんあって。きっとどこかでその影響が僕のフィルターを通して表現できそうな手ごたえはとてもありました。やってよかったなって思ってますね。
━━そして2025年の初の作品となる楽曲「HERO」がリリースされました。こちらはドラマの主題歌として書き下ろされたものになりますね。
石崎 作品に寄り添った楽曲にしたいっていう思いがあったので、まずは脚本に目を通させていただき、主人公の生き方に触発されるように制作が始まりました。結果、ドラマのタイトルが『いつか、ヒーロー』ということもあり、ヒーローを題材にした楽曲にしようと。ただ、これまでたくさんのヒーローを扱った楽曲が発表されているので、僕にとっては大きな題材だなって感じていました。でも、先ほども言ったように何事にも挑戦したい気持ちがありますし、シンガー・ソングライターとして、いまがこの大きなテーマに向きあうべきタイミングなんだなと感じたので、自分なりのヒーロー像を表現しようと思って制作しました。
━━完全無敵ではなく、傷だらけになりながらも前に進んでいくヒーロー像が浮かんできました。
石崎 僕にとってのヒーローって、かっこいいものじゃないんですよね。ピンチのときにいつでも駆けつけて、かっこよく敵を倒して颯爽と去っていくとかじゃなくて。うじうじしていたり情けなかったりするんですけども、大切な人を守りたいという気持ちを強く持っている人というイメージ。自分の過去の栄光や勲章を誇りにするのではなく、自分のことは度外視してでも誰かのことを守ろうとする人をヒーローとして描きたかった。それに、スーパーマンみたいな漫画の登場人物とかではなくて、もっと人間くささのあるヒーローを表現したほうが、リスナーのみなさんにとってもより近い存在(楽曲)になるのかなと思いました。
━━確かに、身近にいる大切な人や存在に思いを巡らせることができる楽曲ですよね。また、アレンジもドラマティックな展開になっています。アレンジャーのKOHDさんとはどんなやり取りをして完成させたのですか?
石崎 最初は僕の弾き語りをベースに制作したのですが、しだいに細かく音を刻んだり、軽快にしてみたりとか試行錯誤をかさねながら、結果的にストレートというか、素直に心に突き刺さるようなサウンドにしたほうがいいという話になって、そこから完成まで一気に突き進んでいったという感覚でした。また、石崎ひゅーいの楽曲としては、新しいテイストも感じていただけるものになったのではないかと。たとえば、サビが終わってからAメロに戻るんじゃなくて、全く違うセクションが展開していくみたいな。ストレートでありながらも、楽しんでいただける要素もあるサウンドになったと思います。
━━また、ボーカルの部分でも芯に迫ってくるような声が響いていますね。
石崎 これは最近の自分の課題だったりするのですが、僕は歌いかたに癖があって。メロディの合間に何かを入れてしまったりとか。それは表現のひとつとして間違ってはいないと思うのですが、もっとストレートにシンプルに歌ったほうが届きやすいというか、リスナーのみなさんとの距離が縮まるのではないかと思うようになりました。特に今回の楽曲は、できるだけストレートに思いを伝えたい気持ちが大きかったので、そこは気をつけましたね。
━━ライブを重ねていくなかで、ストレートに思いを伝えたいという気持ちが強くなっていった部分
もあるのでしょうか。
石崎 ライブの影響はありますね。ボーカリストとしての自分の課題はそこにあると思います。
ドラマの伏線になるフレーズも?
━━また、今回はドラマの主題歌ということで、より多くのリスナーが耳にされることと思います。そういうことも意識して制作した部分はありますか?
石崎 楽曲を制作するにあたって、やはり作った音楽はできるだけたくさんの人に届けたいと思って取り組んでいます。だから、今回はドラマのテーマに寄り添いながらも自分を偽らずにヒーローという大きな題材と等身大で向きあおうと思いました。そうしたほうが、たくさんの人の胸を打つのかもしれないと考えた部分はありますね。
━━すでにドラマはスリリングな展開で話題になっています。楽曲が物語を効果的に盛り上げていますね。
石崎 (オンエアを観て)こんなに楽曲を使ってくれるんだって、びっくりしましたね。第一話とか、自分のミュージック・ビデオではないかと思ったくらい(笑)。制作されているスタッフのみなさんが、楽曲を愛してくださっている雰囲気が伝わってきたのがうれしかったです。また、純粋にストーリーが面白すぎて、伏線がたくさん隠されているような感じで。僕は、そういうドラマを観るのが大好きなので、その一部に関わることができたことも光栄でした。だから、現在は毎週日曜日の夜にドキドキできることが待ち遠しくなっています(笑)。
━━ちなみに、歌詞にはストーリーを左右するキーワード(伏線)みたいなものが隠されているのですか?
石崎 ある程度、脚本に目を通して制作させていただいているので、何かしらの要素はちりばめられています。ただ、最後の最後までは読んでいないので、どういう展開になるのか。みなさんと一緒に楽曲のなかに伏線があるかどうかを確かめたいですね。
━━最終話の答えあわせが楽しみです(笑)。
石崎 これまでもいくつかの主題歌を作らせていただきましたが、歌詞にタイトルを入れた楽曲ってあんまりなかった気がしていて。それだけ、作品に魅了されてできた楽曲。だから、ドラマと一緒に楽しんでいただけたら、ありがたいですね。
━━また7月には大阪と東京でのライブも決定。この楽曲がハイライトになりそうですね。
石崎 現在は、7月のステージに向けて活動している部分があって。石崎ひゅーいの現在の集大成を表現したいと思っています。だから「HERO」をきっかけに興味を持っていただいた方も気軽に楽しんでいただけるような、盛大なものにしたいと思っています。
━━新曲も用意されているということなのでしょうか?
石崎 そこも含めて、ぜひ楽しみにしてください。
━━また、ライブ後の2025年の活動は、どんなことを考えているのですか?
石崎 そこも含めて、いろいろ仕込んでおりますので、ご期待ください(笑)。
生活のリズムがアイデアをうむ
━━最後に、石崎さんの暮らしのこだわりなどがありましたら、教えていただけますか。
石崎 最近は料理にこだわっていまして、自分で言うのもなんですが、結構上手なんですよ(笑)。自分で食べるだけではなく、スタッフのみなさんなどにふるまうこともあるのですが、美味しいと言っていただけることがうれしくて。それは音楽を制作することと似た感覚なのかもしれませんね。
━━ミュージシャンの方でお料理が趣味の方は多く聞きますね。
石崎 料理をしている瞬間のほうが、机に向かって作業をするよりいいアイデアが浮かぶことが多くて。
━━包丁で刻むリズムに触発されたりとか?
石崎 冗談ではなく、本当にそういうことが多いですね(笑)。煮込んでいる音とか。だから、いったん火を止めて作業を始めるなんてこともよくあります。
━━すると、食材や調理グッズとかこだわりがあるのでは?
石崎 そういうこだわりはあんまりなくて。美味しければそれでいい、みたいな考え方ですね。
━━あまりレシピサイトなども参照することもなく?
石崎 美味しい食べ物屋さんに行くと、たいてい味付けがわかっちゃう。その記憶を頼りに家で再現するみたいな。
━━絶対音感的なものを食に関してもお持ちなのかもしれませんね。
石崎 母親が料理好きなので、その影響があるのかなと思います。
━━得意料理とかあるのですか?
石崎 最近は春巻きを作りましたね。五香粉を購入したので、それを使ったレシピを考案するのが好きですね。
━━五香粉とは、なかなかおしゃれなセレクトですね。
石崎 料理はおしゃれであるかどうかも大切ですから(笑)!
ABCテレビ系列ドラマ『いつか、ヒーロー』の主題歌「HERO」
ソニー・ミュージックレーベルズ
配信中
毎週日曜日22:15~23:05放送中の桐谷健太さん主演ABCテレビ系列ドラマ『いつか、ヒーロー』の主題歌。理想と現実の狭間でもがきながら、腐った大人たちに立ち向かっていく復讐劇「人生、死ぬまで敗者復活戦」というドラマのストーリーにあわせて書き下ろしたという楽曲。どんな状況におかれても前に進んでいく強い意思を得られる内容になっています。さらに、現在YouTubeにて「誰もが誰かにとってのヒーロー」というコンセプトに基づいた、様々な職業の方の後ろ姿にフォーカスを当てたショート動画シリーズ「Huwie Ishizaki ”Hero”-Back of HEROs」が公開中。
PROFILE
いしざき・ひゅーい/1984年生まれ、茨城県出身。2012年にメジャー・デビュー。自身の音楽活動だけでなく、菅田将暉さんを筆頭に数多くのミュージシャンに楽曲提供するソングライターとしても活躍。24年末にリリースした初のカバーEP『night milk』が話題を呼んだ。 7/5にCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、7/25にLINE CUBE SHIBUYA 渋谷公会堂にて、『石崎ひゅーい LIVE 2025 – Season2 –』を敢行。最新情報はオフィシャル・サイトをチェック。
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photograph:Miho Kakuta text:Takahisa Matsunaga
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