「買いすぎる」「食材を使いきれない」「生ゴミが多い」……など、思い当たる人は多いはず。今回はその解決法を紹介。食品のムダを減らすコツを身につけて、おいしく、地球にやさしい食卓をめざしましょう!
食品ロス問題ジャーナリスト 井出留美さん
日本ケロッグ広報室長などを経て、独立。食品ロスの問題に取り組み、日本初の「食品ロス削減推進法」成立にも協力。著書に『あるものでまかなう生活』(日本経済新聞出版)など。
ムダをなくして、暮らしも心も豊かに
「食品ロスを考えるうえで理解したいのが、『賞味期限』の意味。消費期限は食べられる期限であるのに対し、賞味期限はメーカー側のリスクを基に算出されたおいしさの目安。保存方法を守れば賞味期限日以降も食べられることを知らずに、「期限切れで捨てては買う」をくり返す人も多いでしょう。食品を使いきる習慣をつければ、食費も気持ちもすっきりしますよ」(井出さん)
まずは食品ロスについて考えてみましょう
日本の食品ロスの総量の半分弱は、私たちの家庭で捨てられた食品であることを知っていますか?
食品ロスの“今”を知ると、ひとりひとりのムダを減らすことがいかに大切なのかがわかります。
そもそも食品ロスとは?
まだ食べられる食品が大量に廃棄される現実
食品ロスとは、本当は食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。その量は、世界では総生産量の1/3に、日本では東京都民が1年間食べる量に匹敵。一方で地球上には、飢餓に苦しむ多くの人たちが。環境や経済などにも負荷が重く、世界中で削減に取り組まなければいけません。
2019年には日本でも食品ロス削減推進法が施行。
家庭でも食品ロスが起きています! 買い物や保存、調理のムダが大きな損失に
年間61万トンにも及ぶ、国内の食品ロス(2017年推計値)の46%が、家庭から出たもの。買いすぎたものや保存方法が悪く腐らせたものなど、私たちが毎日捨てているものの積み重ねです。野菜などは、調理のときに食べられる部分も捨てているケースが多くあります。個人レベルでの見直しが、食品ロス改善の第一歩に。
小さな習慣で食品ロスを削減できる! 今日から取り入れたい新習慣
冷蔵庫に入れる食べ物の量を70%程度に
冷蔵庫の中身の見直しは、食品ロスの削減に効果的。入れすぎると奥まで見えず、消費期限が切れたり傷んだ状態までうっかり放置しがち。庫内の容量の7割ぐらいに抑えると、見渡しやすく在庫管理がスムーズに。
家にある食べ物を確認し必要なものをメモする
足りないものだけを買うようにすれば、自然とムダがなくなるはず。買い物前に、家にあるものを必ずチェックする習慣づけをしてみて。何日分か献立を立ててから、買い物リストを書き出して持参するのもおすすめ。
お腹がすいた状態で買い物に行かない
あるアメリカ人研究者の調査によると、空腹の人はそうでない人に比べ、最大で64%も買い物で使う額が増えたそう。買い物前に、何か口にして小腹を満たすことで、誘惑に負けず、ムダな買い物を防ぐ効果があります。
疲れた日は、非常用のレトルト食品を食べる日に
災害の備えとして用意した缶詰やレトルト食品などは、食べて買い足すサイクルを。月に1度、忙しい日に食べるなどと決めておけば、気負いなく続けられます。
また、もしものときも食べ慣れたものでホッと安心できます。
ロスが起きやすい野菜は冷凍食品に頼るのも手
野菜は余らせたり、ムダにしたりすることが多い食材。使う量だけ買うクセを。一人暮らしの場合など、使いきれないなら冷凍野菜も上手に使って。入れると日持ちが長くなる、野菜保存袋を使うのも賢い方法。
外食では少なめの品数で頼んでおき、その後追加
飲食店での食べ残し問題も深刻。外食では、最初からたくさん頼まず“ 足りるかな? ”という程度で抑えましょう。意外とお腹が満たされるものです。もし追加するなら、満腹感を覚える15分以上経ってからがベスト。
無理せずストレスなく、食品ロスについて考えていけるのが理想ですよね。まずはできることから少しずつ始めて、地球にやさしい食生活を続けていきましょう。
Illustration:harupei text:Kaori Akiyama web edit:Liniere.jp
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