不眠や生理痛など、不調があるときにこそ、お風呂に入って血液をうながすことが大事。そこで、温泉療法専門医の早坂信哉先生に、体調別のお風呂の入り方を教えていただきました。体調によって、入る温度や時間を変えることで、セルフケア効果もアップします。
教えてくれたのは……温泉療法専門医 早坂信哉先生
【体調別のお風呂の入り方 #01】
不眠症
お風呂に入ると、体温は上がります。人間は体温が下がっていくときに眠くなるようにできているので、眠る1〜2時間前にお風呂に入っていったん体を温めると、そのあとよいタイミングで体温が下がって、すんなり眠りにつくことができます。
また、悩みごとがあって寝つけないときは、お風呂でゆっくりひとりでお湯につかって気持ちを整理するのも有効です。特に、ぬるめのお湯にゆっくり入り、リラックスのための副交感神経を優位にすることが、よい寝つきをもたらすでしょう。
【体調別のお風呂の入り方 #02】
低血圧
低血圧の原因は自律神経の不調が多く、めまいや頭痛、倦怠感などの原因になりがち。不快な症状を軽減するためには、40〜41℃のお風呂に3分ほどつかって、そのあと23〜26℃の水を手足に10秒ほどかけます。これを5〜6回くり返すことで、血管が拡張と収縮をくりかえし、自律神経の機能が高まるのです。
また、低血圧で朝が苦手な人には朝風呂もおすすめ。42℃くらいの少し熱めのお湯に5分ほど入るか、42℃のシャワーを2〜3分浴びるのもいいでしょう。交感神経が刺激されて、頭がシャキッとします。
【体調別のお風呂の入り方 #03】
便秘
便秘の原因のひとつが、緊張やストレスです。リラックスできる副交感神経を刺激するために、38〜40℃のぬるめのお湯にゆっくりつかりましょう。毎日入浴するだけでも、胃や腸の血流がよくなって、便秘を改善する効果があります。消化活動も活発になって、腸の調子がよくなります。
さらに、湯船につかり水圧がかかった状態で、おへそのまわりを「の」の字を描くようにマッサージするのもいいでしょう。反対に下痢や食あたりのときは、無理に入浴しないほうがいいでしょう。
【体調別のお風呂の入り方 #04】
生理痛
生理痛やPMSも、入浴で血流をうながしたり、副交感神経を刺激することで、痛みや不調が和らぎます。生理のときは入浴を避ける人も多いですが、湯船の中には水圧があるので、経血が流れる心配はありません。
初日は、40℃程度のシャワーに足湯を併用し、2日目以降は40℃のお湯につかったあと、出る前に追いだきで42℃まで温度を上げて体を温めるといいでしょう。
お風呂はやっぱり夜の時間が体にいい!?
夜は、疲れていてお風呂に入るのが面倒だから、朝に入ろうかな……という人もいるかもしれません。けれど、基本的には、朝風呂はあまりおすすめではないのだとか。
「朝は、交感神経と副交感神経が入れ替わる時間帯で、通常でも、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いのです。そんなときに、熱いお風呂にいきなり入ると、血圧が上がって脳出血などを起こすリスクが増えてしまうのです。特に、気持ちいいからと長湯するのは禁物です」(早坂先生)
お風呂で亡くなる人は、高齢者を中心に年間1万9000人ほどいるとのこと。若い人でも気をつけるのにこしたことはなさそう。また、ぬるめのお湯にゆっくり入れば、血圧上昇のリスクは少なくなりますが、副交感神経優位のリラックスモードになって、なんとなく体がだるくなるはず。一日のスタートにはあまり向きません。やはり、お風呂は疲れをとる意味でも、すみやかな睡眠のためにも、夜に入る習慣をつけましょう。
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photograph:Hiroshi Nakamura text:Ema Tanaka illustration:Kayo Yamaguchi web edit:Mina Ota
リンネル2018年7月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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