HEALTH
:眠れない夜はどうするべき? 寝付けない原因とその対処法とは
HEALTH
:眠いのになかなか夜に眠れない、疲れているはずなのに寝付けない……と睡眠不足に悩んではいませんか? 体だけではなく脳や心のリカバリーのためにも、質のよい睡眠をとることは大切です。寝つきが悪い、眠りが浅い、夜中に目が覚めてしまうといったタイプ別の原因と対処法、睡眠の質を上げるおすすめの快眠グッズなどを、スリープトレーナーとして活躍するヒラノマリさんに教えていただきました。
眠れない夜はどうするべき? 寝付けない原因とその対処法とは
睡眠について教えていただいたのは…スリープトレーナー ヒラノマリさん
夜に眠れない原因とタイプ別の対処法
眠れないことには大きく分けて3つのタイプが。 それぞれの要因とスリープトレーニングをレクチャー!
TYPE 01
眠りが浅いタイプ
自律神経のオーバーワークが深い眠りを妨げる
「要因はいろいろと考えられるのですが、初秋に眠りが浅いなと感じる人は寒暖差で自律神経がオーバーワーク気味になっている可能性があります。バロメーターとしてチェックしたいのは、首・肩のコリや頭皮の硬さ。自律神経のスクランブル交差点といわれる首〜背骨にかけての筋肉が硬いと、自律神経の働きが悪くなりがち。就寝前に副交感神経が集まっているところを温めたり、マッサージすることで寒暖差に負けない睡眠を手に入れましょう」
【こんな人は要注意!】
○ 一日中同じ姿勢で過ごす
○ 首・肩が凝りやすい
○ 頭皮が硬い
耳のマッサージ
【HOW TO MASSAGE】
1 耳を上中下に3分割して考える。
2 耳の上の部分を縦に2回、横に2回引っ張り、最後に円を描くようにぐるっと優しくまわす。
3 中間、下の部分も同じようにマッサージをする。
TYPE 02
夜中に目が覚めてしまう
快適な睡眠には外的アプローチも大切!
「夜中や明け方に目覚めてしまう人は、寝室環境が適していない可能性があります。特に春秋など寒暖差が激しい季節に陥りがちな現象です。快適な睡眠には寝床内を約33℃、湿度約50%を保つことが適しており、寝室温度16〜19℃(秋冬)、湿度50%ほどがよいとされています。寝室の衣替えをないがしろにせず、環境を整えることも大切です」
【こんな人は要注意!】
○ 季節によって寝具をあまり変えない
○ 寝室の基準がわからない
寝室環境のミエル化
TYPE 03
寝つきが悪いタイプ
ドキドキモヤモヤで
心拍数が上がっている状態
「このタイプはお仕事が忙しい人がなりやすいのではないかと感じます。ベッドで横になっていても不安やプレッシャーで心拍数が速く、内臓の温度が上がっている状態。人は内臓の温度が下がらないと入眠できないシステムになっているので、まずはこれがしっかり下がるよう心がけ、副交感神経を優位にしてあげることが重要になってきます」
【こんな人は要注意!】
○ 仕事などでストレスを抱えている
○ プレッシャーを感じやすい
冷却シートで脳を強制シャットダウン
知っておきたい、質のよい睡眠のためのメカニズム
上手な睡眠でのリカバリーが
人生の質をアップさせる
日ごろ、アスリートの睡眠を指導するヒラノさん。その重要性はスポーツ選手に限らないと言います。
「睡眠はビルを支える土台に例えることができます。不安定な土地に建築できないのと同じように、どんなに食事や運動を心がけても土台となる睡眠が不安定だと健康は成り立ちません。睡眠を軽視せずにしっかり回復させることは一般の方にとってもとても重要です」
睡眠を整えることは、リカバリー以上の効果が期待できるそう。
「最近、睡眠の良しあしがコミュニケーション能力にもかかわってくるという研究結果が発表されました。睡眠時間が6時間以下のご夫婦は喧嘩をしやすいといわれています。さらに、よい睡眠は集中力や判断力の向上、“若返りホルモン”とも呼ばれる成長ホルモンの分泌を促し、アンチエイジング効果も期待できます。つまり良質な睡眠は心身の健康だけでなく、人生の質も高めてくれるといえます」
まさに〝人の要〞といえる睡眠! しかし疲れていても眠れない日があるのはなぜでしょう?
「さまざまな要因がありますが、まず年齢を重ねると睡眠ホルモンともいわれるメラトニンの分泌量が減り、体内時計の働きや副交感神経のスイッチングが弱まってしまうことが考えられます。他にも女性ホルモンの影響、働き盛りの世代は自律神経の乱れ、PCやスマホによるブルーライト刺激など、現代人は睡眠が取りづらい環境の中で過ごしていると思います」
とはいえ、涼しいこれからの季節なら寝つきがよくなるはず!
「昼夜や1週間を通して寒暖差が激しく、体温調節のために何度も交感神経と副交感神経が切り替わる秋も油断できない季節です。自律神経がオーバーワーク気味になり、睡眠も乱れやすくなるんです。だからこそ、自分の睡眠に対する弱点を見つけて改善していくためのスリープトレーニング=スリトレが大切になってくるんです」
質のよい睡眠って?
睡眠はレム睡眠(脳が起きており、体は眠っている状態)とノンレム睡眠(脳も体も眠っている状態)の繰り返し。最初のノンレム睡眠で深く眠ることが睡眠の質を上げるカギ。
参考文献:『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版/西野精治著)
夜に眠れない、起きられない……眠りのお悩みQ&A
眠り方もそれぞれなら、お悩みだって千差万別。より具体的な疑問にお答えいただきます。
Q1 台風が近づくと寝つきが悪くなります。
気圧の変化には耳のケアを!
「台風がもたらす急激な気圧の変化は、自律神経にもストレスをかけ、疲労や睡眠の質低下につながります。気圧を司るセンサーがある耳を、ご紹介した耳のマッサージなどでケアすることを心がけましょう」
Q2 寒い季節は眠れない上に起きられません……。 対策はありますか?
Q3 寝る前のスマホ&タブレットが唯一の自分時間。ダメだとわかっていてもやめられません。
Q4 子どもの睡眠時間が短いことが心配です。
1週間単位でマネジメントしてみましょう。
「いきなり早く寝ろ!というのは負担になる可能性が高いので、まずはお子さんの睡眠傾向を把握し、1週間単位で15分ずつ就寝時間を早めてみましょう。翌週はさらに15分早く……と無理のない範囲で積み重ね、ジュニア世代の大切な睡眠時間を確保しましょう」
Q5 資格の勉強をしています。記憶力と睡眠は関係していますか?
記憶は寝るときに定着します。
「情報は睡眠を経て初めて長期的な記憶として残るとされています。なかでも学習の記憶は前半のノンレム睡眠時に向上するといわれているため、これを利用した暗記力アップのスリトレを考案。ぜひ試してみてください」
ヒラノさんが実践する暗記力アップのスリトレ
1 午前中に問題を解き、できなかったところを付箋に書いてノートに貼る。
2 ブルーライトカットのメガネを着用し、就寝前に付箋部分を見直す。
3 そのまま就寝。
Q6 なにをしても眠れないときの必殺技を教えてください!
Q7 うつ伏せ寝、横向きが落ち着きます。やはりダメでしょうか?
Q8 寝る時間が決まっていないので、いざ布団に入ってもスムーズに寝つけません。
Q9 家族のいびき、歯ぎしりがうるさくて眠れません。
知っていると便利! 質のよい睡眠をサポートする快眠グッズ
睡眠の質を上げるためには体の内側・外側、両面からのアプローチが必要。 ここでは、外から快眠へと誘うグッズを紹介!
「質のよい睡眠には体の内側と外側からのアプローチが必要で、片方だけを整えていても意味をなしません。なので寝具やリラックスグッズなど寝室環境を整えることはとても大切です。ここを怠るのは、厚底スニーカーでフルマラソンをしようとしているような無謀さです。さらにより自分に合ったものを選ぶことも重要です。体質や寝姿勢、好みはそれぞれなので、ファッションでコーディネートをするように、寝室も自分に最適なもので作り上げてみてください」
睡眠には体の内外部、両面からのアプローチが必要!
〈体の内部〉
例えば……
○ 自律神経
○ 体内時計
○ 深部体温
○ 運動習慣
○ 朝、夜の過ごし方
〈体の外部〉
例えば……
○ 照明の使い方
○ ベッドの配置、レイアウト
○ マットレス、まくらの機能や肌触り
○ パジャマ
○ 寝室の温度・湿度
ITEM #001 まくら
ITEM #002 まくらカバー
ITEM #003 掛け布団
ITEM #004 マットレス
ITEM #005 パジャマ
ITEM #006 リラックスグッズ
ITEM #007 リラックスグッズ
ITEM #008 リラックスグッズ
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illustration: Naomi Mori edit & text: Hiroko Ishiwata
リンネル2023年12月号より
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