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:港町・神戸に息づく記憶を訪ねて。「神戸建築祭2026」で出会った、時を紡ぐ美しい建物たち
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こんにちは。神戸を拠点に活動しているライターで、リンネル暮らし部エディターのいなだみほです。
新緑の青葉がまぶしく、心地よい風が街を吹き抜ける季節になりました。
先日、ずっと楽しみにしていた「神戸建築祭2026」へ出かけてきました。 実はわたし、長い年月を重ねてきたノスタルジックな建物や、そこに宿る職人さんの手仕事の気配が大好きなんです。
「神戸モダン建築祭」として親しまれていたこのイベントですが、2025年から「神戸建築祭」と名前を変えて、さらにパワーアップ。これまでのモダン建築だけでなく、港町・神戸の歴史を伝える建物や、六甲山の豊かな自然と海をつなぐ土木の歩み、そして新しい時代を象徴する現代建築まで、街の記憶をまるごと愛おしむような、素敵なイベントへと進化していました。
今回は、特別なパスポートを片手に、心惹かれた神戸の建築を巡ってきました。
懐かしい校舎の面影を残す、
北野の新しいスポット


今回の建築巡りでまず最初に足を運んだのは、トアロードを上がった北野エリアにある「神戸北野ノスタ」です。
こちらは、地域の人々に長く愛され、のちに「北野工房のまち」としても親しまれた旧北野小学校の校舎をリノベーションした食の複合施設。一歩敷地に入ると、どこか懐かしい小学校の面影を残すアール・デコ風のモダンな外観や、当時の息遣いが聞こえてきそうな階段のディテールに、思わず胸がきゅんとときめいてしまいます。 歴史ある学び舎のよさをそのまま活かしながら、今の暮らしに寄り添う新しいカタチへと再生させる、そんな神戸らしいおもてなしの空気感に包まれながら、心地よい旅のスタートを切りました。


建物の雰囲気を楽しみながら、さらに感動を呼んだのが、3階の講堂で開催されていた「神戸建築祭ワンダーマーケット」です。VR体験で産業遺産探訪ができるコーナーやレゴで作られた神戸の街並み作品コーナー、竹ひごで作るポートタワーのワークショップコーナーなど、建築に一歩踏み込んだお楽しみが満載でした!
光と祈りに包まれる、山の上のチャペル

次に向かったのは、六甲の豊かな緑に抱かれた神戸松蔭大学の「マグダレンチャペル」です。
一歩足を踏み入れると、そこは日常の喧騒から切り離された、静かで厳かな空間。天井を見上げると、まるで大きな船の底をひっくり返したような木組みの美しさに目を奪われます。
窓から差し込む柔らかな光が木肌をやさしく照らし、ただそこに座っているだけで心がすーっと落ち着いていくのを感じました。見上げると、まるでステンドグラスのプラネタリウムのよう。職人さんたちの丁寧な手仕事が今も息づいている、すばしい空間でした。
パイプオルガンの音楽会なども定期的に開催されているようなので、一度行ってみたいな。


地下に眠る、大正の職人技に触れる

続いては、少し趣向を変えて「湊川隧道(みなとがわずいどう)」へ。 こちらは明治34年に造られた、日本初の近代河川トンネルなのだそう。
薄暗い地下へと下っていくと、ひんやりとした空気とともに、見事なレンガ造りの空間が現れました。気が遠くなるほどの数のレンガが、職人たちの手によって一つひとつ、美しく積み上げられています。専門知識がなくても、その圧倒的な手仕事の迫力には息をのむばかり。神戸の暮らしを足元から支えてきた、歴史の重みと土木のロマンが肌で伝わってきました。


歴史ある港町の建物&
子どもたちの未来をつなぐ場所


ここからは、神戸の海の玄関口、旧居留地や港のエリアへ。
「神戸税関」の重厚な佇まいには、いつ訪れてもハッとさせられます。大理石の階段や、かつて異国からの旅人を迎え入れた気品あるロビー。港町・神戸の黄金期をそのまま形にしたような、クラシカルな美しさが今も大切に守られています。



そこからフラワーロードを少し歩くと、安藤忠雄氏の設計による「こども本の森 神戸」が見えてきます。
コンクリートのスタイリッシュな佇まいでありながら、一歩中に入ると、天井まで届く本棚に色とりどりの絵本がずらり。ところどころに配された椅子や階段などに、子どもたちが座って夢中でページをめくる姿が、建築の一部のように溶け込んでいて、新しい時代の温かさを感じる空間。
そして、子どもだけでなく、大人も十分に楽しめる場所です。






暮らしに溶け込む、ノスタルジック建築

旅のしめくくりは、海岸通に佇む「海岸ビルヂング」へ。
大正時代に建てられたこのビルは、もともとはオーストラリアから運ばれてきた羊毛の輸入などを手がけていた商社の本社ビルとして建てられたものなのだそう。
そんな話を聞くだけで、当時の港の活気や、海を渡ってきた異国の文化の薫りが、目の前の景色に重なって見えてくるから不思議です。
今も現役でショップやオフィスが入る、神戸のノスタルジック建築の代表格です。細部にあしらわれた美しい装飾や、少し歪みのある古いガラス窓を眺めていると、この街の人々がどれほど建物を大切に使い続けてきたかが伝わってきます。

古いものを壊さず、手入れをしながら次の世代へと繋いでいく建築物は、私たちが日々の暮らしのなかで、お気に入りの道具を繕いながら大切に使うことと、どこか似ているような気がします。
パスポートをめくりながら歩いた街の景色は、いつもより少し深みを持って、愛おしく目に映りました。 神戸には、まだまだ素敵なレトロ建築がたくさん! ゆっくり、じっくり。これからもこの街に息づく物語を、愛おしみながら巡っていきたいなと思います。
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