北欧
:西宮市大谷記念美術館「スウェーデン・テキスタイル展」で、日々の暮らしを愛おしむデザインに出合う
北欧
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こんにちは。神戸でライターをしている、リンネル暮らし部エディターのいなだみほです。 初夏の爽やかな風が吹き抜けるこの季節、私のお気に入りの場所でもある兵庫県の「西宮市大谷記念美術館」を訪ねました。
こちらで6月28日(日)まで開催されているのが、「スウェーデン・テキスタイル展 暮らしと自然に息づく北欧デザイン」です。新緑が美しくきらめく日本庭園を横目に、一歩館内へ足を踏み入れると、そこには色鮮やかでどこか温かみのある、北欧の物語の世界が広がっていました。
自然豊かなスウェーデンのデザインは
おおらかで大胆に感じます
スカンジナビア半島の東側に位置するスウェーデンは、国土の大半が森林に覆われ、約10万の湖と無数の島々が広がる自然豊かな国です。長く厳しい冬を心地よく過ごすために、室内を彩る美しいテキスタイルが発達してきました。そのデザインは、自然や伝統的なモチーフに着想を得ながらも、大胆でカラフル、そしてどこか抽象的なのが特徴です。
アルメダールス、ボラス・コットン、グスタフスベリ……、インテリアにそこまで詳しくなく「ただ好きなだけ」の私でも、耳にしたことのある名前もありました。





部屋を明るく、心を豊かに。
長い冬から生まれた北欧の知恵
日本でもすっかりおなじみとなった北欧デザインですが、今回の展覧会では、これまで国内で紹介される機会の少なかった1960〜70年代のヴィンテージクロスを中心に、約250点もの貴重な作品や資料が集められています。
展示を巡りながら特に深く心に残ったのは、スウェーデンの人々にとって、布がいかに日々の暮らしと密接に結びついているか、ということでした。
北欧の冬は太陽が出ている時間がとても短く、人々は一年の大半を家の中で過ごします。だからこそ、室内をパッと明るく彩り、家族が笑顔になれるようなインテリアの工夫が凝らされてきました。その主役を担ってきたのが、楽しげなモチーフのテキスタイルたちです。
会場に並ぶ布を見つめていると、なんだか心がほっと緩んでいくのを感じます。ただ美しいだけでなく、暮らしにグッと寄り添い、体温を一度上げてくれるようなやさしさに満ちています。





自然や日々の
ささやかな幸せをデザインに
デザインのインスピレーションの源は、そのほとんどが身近な自然や暮らしの風景です。森の木々、可憐に咲くアネモネ、羽ばたくガチョウ。
短い夏を惜しむように楽しむバカンスや、日常の幸せのひとコマである「フィーカ(お茶の時間)」の風景も描かれています。
(ちなみに「フィーカ」の語源を今回初めて知ったのですが、とってもウィットに富んでいてお茶目なんです!)





ほかにも『アダムとイヴ』や『ノアの箱舟』といった、絵本の1ページのような物語が描かれたクロスなど、デザイナーたちが一枚の布に込めたストーリーをひも解いていく時間は、まるで良質な小説をめくっているよう。ハッピームード溢れる色使いや瑞々しい表現が新鮮で、時間を忘れて見入ってしまいました。

アダム・オ・エーヴァ(アダムとイヴ)/アンナ=レナ・エムディエン 1970年 サラ・アクステイリウス氏蔵

ノーアクス・アルク(ノアの方舟)/ウッラ・エーソン・ボディーン 1977年 サラ・アクステイリウス氏蔵
![ゴーセン(ガチョウ)[児童文学『ニルスのふしぎな旅』のモルテン]ウッラ・エーソン・ボディーン 1979年 サラ・アクステイリウス氏蔵](https://liniere.jp/wp/wp-content/uploads/2026/05/f51569c53b8efd73f6c99ce1324bdcb5-scaled.jpg)
ゴーセン(ガチョウ)[児童文学『ニルスのふしぎな旅』のモルテン]ウッラ・エーソン・ボディーン 1979年 サラ・アクステイリウス氏蔵

もちろん、ミュージアムショップも「かわいい」の大渋滞。お気に入りのテキスタイルがデザインされた雑貨やポストカードを眺めているだけで、我が家のリビングをどう模様替えしようかとワクワク! ポストカード、トレイをわが家みやげに、ソックスを私みやげにしました。
お気に入りの布が一枚あるだけで、いつものお茶の時間が少し特別になり、部屋に差し込む光の表情まで変わる。そんな、スウェーデンの人々が大切にしてきた「暮らしを愛おしむ視点」を、たくさん分けてもらえる素敵な展覧会でした。
手入れの行き届いた庭もお忘れなく
展示を堪能したあとに、 美術館が誇る美しい日本庭園をゆっくりと歩いてみました。池の周りを巡り、青もみじの隙間から差し込む光を浴びていると、さっきまで眺めていたテキスタイルに描かれていた「自然へと親しむことの生活の身近さ」が、じわじわと胸に蘇ってきます。
そして何より、この目の前に広がる日本庭園の、美意識の高さに改めて感動してしまうのです。


(写真1枚目クレジット)「ソンマルロヴ(夏休み)」アンナ=レナ・エムディエン 制作年不詳 サラ・アクステイリウス氏蔵
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