CULTURE
:京都から巡回する展覧会「マリメッコ展 模様のちから Marimekko: Art of Printmaking -Beauty, Dream, Love」の見どころをチェック!
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フィンランドのデザインハウス「マリメッコ」の世界を体験できる展覧会「マリメッコ展 模様のちから Marimekko: Art of Printmaking -Beauty, Dream, Love」が、7月に京都を皮切りに各地を巡回します。
マリメッコの魅力について、先日、駐日フィンランド大使館で開催された記者発表会の様子を通して、展覧会の見どころをお伝えします。
マリメッコの魅力をひもとく展覧会

Fun in Finland(1964年) Photo:Tony Vaccaro/Tony Vaccaro Archives
1951年、戦後フィンランドで誕生したマリメッコ。鮮やかな色彩と大胆なプリントデザインは、ファッションやグラフィック以外にも、インテリアや建築などライフスタイルに広がり、人々の暮らしを彩ってきました。本展は、そんなマリメッコの創造の美学と、プリントメイキングの技に迫り、「模様のちから」を伝える展覧会です。

創業者のアルミ・ラティア(1912-1979)
展覧会は大きく4つの見どころに分けて構成。
創業者のアルミ・ラティアの思想を起点に、創業から現在までのマリメッコの軌跡や哲学を紹介するパート、次にマリメッコのカラフルな色や形、パターンの秘密に迫る「マリメッコの美学」、マリメッコのアイコニックな模様が誕生するまでの創造のプロセスをひも解く「マリメッコの創造力」、そして最後にデザイナー・皆川 明さんとの新たなクリエイティブ・ダイアローグを紹介します。


キービジュアルについて説明するグラフィックデザイナーの田部井さん(左)。隣はデザイナーの皆川さん
本展の展覧会キービジュアルのほか、オリジナルグッズなどのデザインを手がけたのは、グラフィックデザイナーの田部井美奈さん。
「マリメッコの60年代に作られたデザインが今も色褪せず、今の高校生にまで届いているのはすごいこと。色や形、そして構成の仕方が強く、インパクトがあるものに見えるのが、グラフィックでいいものを見たと思うときとすごく近いんです。その図柄の一つひとつのパーツ同士が対等に、色も形も合わさるような形で画面のなかに収まっているのも、グラフィック的に感じる要素の一つだと思います。
今回のキービジュアルは、実は全く違う時代のデザイナーさんによって作られたもの。この3つを構成したときにギャップがなく、自然に融合していくのが面白いと思ったし、一つひとつの図柄もとても強いですが、3つ重なることによって色が変わったり、3つが連なって新しいものが生まれる面白さがありました。マリメッコのパターンを構成する要素にそれぞれ力があることを、改めて実感しました」と田部井さん。
マリメッコの舞台裏とファクトリーの力

ヘルシンキにあるマリメッコのプリント工場(1965年)Photo: Tony Vaccaro /Tony Vaccaro Archives
マリメッコを象徴する模様は、どのようにして生まれるのか、その舞台裏に焦点を当てているところが、本展の大きな見どころのひとつ。
70年以上にわたって、約3500種類以上に及ぶプリントデザインを生み出してきたマリメッコ。その背景には、デザイナーたちの自由な発想と、プリント・ファクトリーの職人たちによる手仕事があります。

図案:脇阪克二《カタラ》/ドレス:リーサ・スヴァント《リエユ》1970年©Marimekko Oyj Suomi-Finland Katsuji Wakisaka/Liisa Suvanto 1970

図案・ドレス:アンニカ・リマラ《ケイダス》/《モンレポス》1967年 ©
Marimekko Oyj Suomi-Finland Annika Rimala 1967
1960年代から近年のコレクションまで、約70点のコレクションが一堂に会する本展。
日常の風景を丁寧に観察してペン画で描いた、マイヤ・ロウエカリによる「Siirtolapuutarha (シイルトラプータルハ、市民菜園) 」や、即興的に色画用紙でハサミを動かしながら形を作ったアンッティ・ケッキによる「Seppel(セッペル、花輪)」など、フリーハンドによる手の跡や、プリントの過程で生じるわずかな色の重なりは「完全なる不完全さ」といわれています。斬新なデザインの背景には、人の手による温もりと、フィンランドの自然や機能主義、文化が根強く反映されているそう。

《シイルトラプータルハ》マイヤ・ロウエカリ 2009年 © Marimekko Oyj Suomi-Finland Maija Louekari 2009

《セッペル》アンッティ・ケッキ 2022年 © Marimekko Oyj Suomi-Finland Antti Kekki 2022

アンッティ・ケッキのアトリエ
Photo : Takuya Nagata

《ウニッコ》 マイヤ・イソラ 1964年 © Marimekko Oyj Suomi-Finland Maija Isola 1964
そんなデザイナーたちのビジョンを具体的な形にするのが、マリメッコ本社に隣接するヘルシンキのプリント・ファクトリー。年間1000キロメートルのプリントを生産する、マリメッコのデザインの根幹でもあるこのプリント・ファクトリーを展示として取り上げるのは、初めての試みだそう。

plaplaxによる展示空間イメージ ※画像はイメージです。開催会場により内容は異なる可能性があります

plaplax
Photo : Yuki Ogawa
この展示を担当するのは、アートユニット・plaplax(プラプラックス)の近森基さんと小原藍さん。今年3月に初めて、マリメッコのプリント・ファクトリーを訪れたそう。
「工場というより巨大な版画工場という感じがしました。体の大きな人たちがすごく繊細な作業をしていて、メモ書きが随所に貼ってある。すごく温かみを感じる場所でした」と近森さん。
実際に使用されている大型のフラットスクリーンや道具類、プリントの過程を記録した実写映像、マリメッコのパターンが動き出すような映像プロジェクションなど、多角的な視点で紹介される予定です。
皆川 明さんとの
新たなクリエイティブ・ダイアローグ

皆川 明さん(左)とマリメッコのデザイン・ディレクターミンナ・ケメル・クトゥボネンさん(右) マリメッコ社のファクトリーにて Photo : Yuki Ogawa
展覧会の最後には、マリメッコとは異なる文化や視覚的要素を持ちながらも、ものづくりの精神においてマリメッコと繋がりを持つデザイナーとして、皆川 明さんとのコラボレーションを展示。マリメッコとのダイアローグを重ねて制作された、新作インスタレーションが公開されます。
「マリメッコのデザイン・ディレクターのミンナから、マリメッコの未来について考えてほしいと言われました。マリメッコは一度発表されたデザインが時代に合わせて、少しずつ色やサイズを変えながら、長年作り続けられることが特徴だと思ったので、話を聞いているうちに誕生日飾りのようにいろいろなテキスタイルを輪にして繋ぐようなイメージが、ふわっと浮かびました」と皆川さん。

マリメッコ社にてプリントのカラーを選定する様子 Photo : Yuki Ogawa
新作テキスタイルは、皆川さんがデザインするだけでなく、ヘルシンキのプリント・ファクトリーで制作するのだそう。
「新作のテキスタイルは、フィンランド語で“風が吹く”を意味する『TUULLA』。鉛筆の下描きの後に絵の具で描きおこすという、シンプルな手法で、何度も習作を重ねて出来上がりました。マリメッコの自由さと、デザインに対しての確かな信念のようなものが、社会の中で自由に舞っているような表情にできたらと思ってデザインしました。
マリメッコのクリエイティブチームと一緒に配色を決めたのですが、1986年に初めてヘルシンキのお店を訪ねた頃の僕に、40年後に一緒に仕事をしているよと伝えたいですが、波長が合うという感覚がありました。特にミンナと色を決めているときは、お互いに反発する感覚がなく、意識が重なっているような不思議な感覚がありました」(皆川さん)
発表会ではフィンランドにいるミンナさんと繋ぎ、直接メッセージも。
「マリメッコの哲学にもありますが、日常の中にある色と形から喜びをもたらすことができるように願っています。展覧会では特に、未来に対して信じることを伝えたいです。大切なのは喜びであって、いい未来があるよねという楽観的な態度、そして信じられるもの、それが私たちの信念であり、皆さんにお伝えしたいことです」とミンナさん。

「Oiva」シリーズ:サミ・ルオッツァライネン 図案:マイヤ・ロウエカリ《ラシィマット》2009年 ©Marimekko Oyj Suomi-Finland Sami Ruotsalainen /Maija Louekari 2009

マリタロ(マリハウス)
展覧会のタイトルになっている「Beauty, Dream, Love」は、アルミ・ラティアが14歳のときに日記に記した言葉に由来。美しさというのは日常生活のなかに溶け込み、体に寄り添い、ありふれたものの一部であるべきだというアルミの理念は、今日に至るまでマリメッコの精神として生き続けているといいます。そんなマリメッコの、タイムレスな魅力を改めて知ることができる展覧会は必見です。
開催情報

マリメッコ展 模様のちから
Marimekko: Art of Printmaking -Beauty, Dream, Love
2026年7月4日(土)〜9月6日(日)
会場:京都文化博物館4・3F展示室
10:00〜18:00(ただし金曜は19:30まで。入場は閉場30分前まで)
月曜休館(ただし、7月20日は開館)
入場料:一般2,000円、大学・高校生1,600円、中小学生700円
※巡回スケジュール
東京都庭園美術館(東京):2026年10月3日(土)~12月20日(日)
ひろしま美術館(広島):2027年1月30日(土)~3月28日(日)
※北九州、富山、名古屋、長崎、ほか巡回予定
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text & edit:Mayumi Akagi
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