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折れない心を作る“SISU”とは? フィンランド流・幸せの秘訣 折れない心を作る“SISU”とは? フィンランド流・幸せの秘訣

SISU,シス,フィンランド
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コロナや社会情勢の変化、年々増える災害など、私たちを取り巻く環境が大きく動いているのを感じる昨今。そんななかで注目を集めているのが、フィンランドの人々が持つ強くしなやかな心“SISU(シス)”です。北欧文化研究家で翻訳家・ライターの柳澤はるかさんに、“SISU”から学ぶ心を健やかに保つヒントを教えていただきました。

目次
折れない心を作る“SISU”とは? フィンランド流・幸せの秘訣
  1. フィンランド人特有の折れない心の秘密を探る
  2. SISUとは……
  3. SISUを守るための5つのヒント
  4. お話を伺ったのは……柳澤はるかさん

フィンランド人特有の折れない心の秘密を探る

世界22か国で翻訳され、コロナ禍でさらに読者を増やしている書籍『フィンランドの幸せメソッドSISU』(カトヤ・パンツァル著、方丈社)。カナダ人ジャーナリストの著者が仕事の行き詰まりや心身の不調をきっかけに、両親のルーツであるフィンランドに移住。そこで、フィンランド人の生活に根付いているSISUという“あきらめずにやり抜く心”と出合い、再生していく過程が描かれています。

ちょうど本の出版後、フィンランドは2018年〜2022年の世界幸福度リポートで世界一幸せな国に選ばれたこともあり、その秘訣はSISUにあるのではないかと、世界中から注目が集まっています。この書籍の翻訳を行ったのが、柳澤はるかさん。
「私自身も激務で体調を崩して転職し、将来のビジョンが描けない時期に北欧を訪れました。美しい自然と、寡黙だけれど、穏やかに心にゆとりを持って暮らしているフィンランド人と出会い、すっかり北欧の魔法にかかってしまったのです」

書籍の中で著者はSISUが単なる精神論や、フィンランド人に元から備わっているものというわけではなく、アイススイミングやサウナ、野外活動などフィンランド特有の生活習慣や食生活、教育を通して育まれていることに着目。多くの医師、専門家にも取材し、これらの習慣が心身に影響し、折れない心を作っていることを解き明かしています。
「SISUを育むために著者が提案していることは、お金がかかることでも、複雑な手続きが必要なことでもありません。少し工夫すれば日本でもできることなので、元気が出ないときや、ものごとがうまくいかないときにぜひ取り入れてみてほしいですね」(柳澤さん)

折れない心、SISUを育む具体的な方法を早速見ていきましょう。


SISUとは……

SISUとは、フィンランド人独特の「意志の強さ」であり、決してあきらめず安易な道に逃げない「強い心」のこと。我慢強さや根性論的なものと混同されがちですが、誰かに押し付けられて耐えるのではなく、自らの意志で貫こうとする力のことを指します。
SISUは心と体の関係性の上に成り立っていると考えられ、単に心のありようだけではなく、肉体的にも健康でたくましいことがSISUを持つうえで大きな役割を果たしています。フィンランドはもともと自然環境が厳しく、大国ロシアと接し歴史的にも多くの危機に直面してきました。そんななか、逆境から立ち直る独自のたくましさを身につけてきたといわれています。

SISUを守るための5つのヒント

SISUが消えかかって心が弱くなっている……そう感じたときに実践したいのが次の5つの方法。困難なことに直面しても、自分の弱さを受け入れつつ、あきらめずに一歩ずつ前に進むための道しるべになるはず。さらに習慣化することで、SISUを鍛えていくことができます。

【Tip 1】
他者に対するように自分にも共感し、尊重する

他人を思いやることは、異なる視点から世界を見て、自分の見方や経験が当たり前という思い込みを手放すこと。それが自分の長所や短所を受け入れることにつながります。また、自分への思いやりを持つことも重要。私たちはしばしば友人には決して言わないような言葉で自分を非難したり軽蔑したりしています。自分を尊重し、休ませ、何かうまくいかないことがあっても最善を尽くしたのだからそれでいいと考えるよう心がけましょう。

【Tip 2】
断ることを覚え、睡眠や食事など自分をいたわる時間を持つ

ネットにつながりっぱなしの日常で、食事や休憩などのセルフケアを怠っていませんか? 十分な休息とは気休めの休憩時間のことではなく、PCやスマホを片づけて、適切な睡眠時間を確保すること。一晩ぐっすり眠るだけではなく、継続してよい睡眠をとれる環境を作りましょう。また、にぎやかに人と過ごすことで元気になる人もいれば、一人で静かに過ごす時間が欠かせない人もいます。時には誘いを断ることを覚えて、自分をいたわる時間を持ちましょう。

【Tip 3】
状況を予測し、計画的に行動することでメンタルとエネルギーを守る

現実を予測して、計画的に行動することが心の強さをもたらします。
たとえば、おなかがすくと元気がなくなる人は、バッグに常に水とおやつを入れて持ち歩く。こうした行動が、あなたのメンタルとエネルギーを守ってくれます。また、攻撃的な人、簡単なことを面倒な話にしてしまうタイプの人は、あなたのSISUを奪っていきます。距離を置いて、他人に手を差し伸べることができる人、まわりを明るくする人と付き合いましょう。

【Tip 4】
状況に飲まれそうになったら一旦立ち止まって考える

大変な状況で精神的にまいってきたら、そこからいったん距離を置いてみましょう。「よく考えてからお返事します」と対応すれば、ほとんどの場合問題ないはず。その場の勢いで引き受けてしまうのではなく、まず考えをまとめたり、どうすればいいのか調べたりしてみること。深呼吸をして、可能ならば外を少し散歩し、整理する時間をつくりましょう。ことの大小を問わず、こういった内省の時間が、あなたの大きな力になるはずです。

【Tip 5】
自分の感情を無視せず、友人、ときには専門家に頼る

感情の行き場がなく悩む場面は誰でもありますが、深く苦しんでしまうタイプの人もいます。そんな場合に思いをため込んだり、無視したりしていると思いがけない形でふきだしてしまう場合が。専門家でも信頼できる友だちでもいいので、誰かの心のうちを話すようにしましょう。感情的な問題に向き合うのは、自分のためだけではなく、それを他人に不用意にぶつけないためでもあります。そうすることで自己認識も高まって、SISUもより強くなるはずです。

お話を伺ったのは……柳澤はるかさん

PROFILE
ライター、翻訳家。東京大学文学部卒業。人材育成会社に所属していた際、偶然訪れた北欧の国々にシンパシーを感じ、北欧文化の研究を開始。訳書に『マッティは今日も憂鬱―フィンランド人の不思議』(方丈社)など。
EVERYDAY SISU
フィンランドの幸せ習慣
カトヤ・パンツァル 著 
柳澤はるか 訳
¥1,760/方丈社

フィンランド人が持つ不屈の精神を表す言葉・SISU。フィンランドに移住した著者が、前著『フィンランドの幸せメソッドSISU』を出版後、離婚やうつ病、コロナ禍などの危機を再び乗り越え、より大きな視点でSISUをとらえた第2弾。

illustration:Kayo Yamaguchi text:Ema Tanaka web edit:Mina Ota
リンネル2022年12月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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