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:「卒母します!」と家族に宣言し、実践したことをまとめた一冊/田中 千絵さん新刊『卒母のためにやってみた50のこと』インタビュー
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              言葉にできない想いを心地よく言語化してくれるエッセイスト塩谷舞さんの著書『小さな声の向こうに』は、塩谷さんが生きるなかで出合った“小さな声”に耳を傾けた言葉が綴られています。心の穏やかさを取り戻し新たな美意識の世界へと導かれる一冊です。
よかったのは、私が見ているお母さんの世界だけじゃなくて、俯瞰で見られたこと
タトルの「卒母」という言葉にハッとさせられました。その意味は「過剰な『母』という役割を終わらせて、家族みんなの自立・自律をめざすこと」
2023 年1月に思い立ち「卒母します!」と家族に宣言、実践したのが『卒母のためにやってみた50のこと』著者の田中千絵さん。グラフィックデザイナーであり、思春期にさしかかるふたりの子どもを持つ彼女の、まさに一大決心でした。
「お母さんってわりとがんばっちゃうから、過剰適応でいろいろクオリティ上げちゃうんだけど、本当はみんな得手不得手があるはずで。手芸ができない人もいれば、ケーキが焼けない人も当然いる。私もお母さんになるまでハンバーグをきれいに作れなかったんですけど、日本のお弁当文化がすごいから、いろんな意味で苦しめられて」。
もちろん、子どもが5歳の頃に急に「母親辞めます!」というのはナンセンス。放棄したり、なまけたりしたいわけじゃない。「だけど子どもの思春期と母親の中年期が重なると、ずれが生じてくるんですよね。食の好みもいろいろだし、子どもの思っていたことと違うことをしてしまったときなど罪悪感でいっぱいになっちゃって」。さらに気力や体力も衰え、できないことも増えてくるなか、無理が出てくる時期でもあります。「本当は自然にできればよかったんですけど、私の場合スイッチが必要だと思ったんですよね」
そんななか、よき後ろ盾となってくれたのが心理学でした。コロナ禍の家ごもり生活のなか、臨床心理士の資格に興味を持ち学び始めると、感じていたことと照らし合わせられる部分が数多あったといいます。
「自分がずっと考えてることの焦点が既に当たってるから、そこに学問が流れてくると『今これ! そうそう!』となって、ザブンザブン! と潮止めができていく感覚でした」
本書は心理学的なエビデンスをもとにしながら、実践したことがドキュメントで展開。
「私が見ている世界だけじゃなくて、国ごとにお母さんのとらえ方も全然違うし、地球上の人それぞれみんながんばってるなと思ったら勇気をもらえましたね。よかったのはそんなふうに俯瞰で見られたこと」。さらに「自分ができているわけではない」という姿勢も。
「この本を出したのは、仲間が欲しいんですよ。ママ友はいても、問題の根源は共有できない。なので見栄ではなくみんな泣き言で繋がっていこうよ! って感じです」
新著『卒母のためにやってみた50のこと』
お話を伺ったのは……田中 千絵さん
たなか・ちえ/デザイナー。「子育ての当たり前を変えていく」NPO法人『Chou・chou』理事・東京支部ディレクター。武蔵野美術大学卒業。グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、書籍の装丁など幅広く活動中。2023年よりインスタグラムで卒母投稿を開始。ポッドキャスト「母ラジオ」も更新中。 著書に『紙と日々、つながりを手作りする楽しみ』(キノブックス)など
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photograph:Shinosuke Soma   text:BOOKLUCK
リンネル2024年9月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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