CULTURE

市川染五郎さん10代最後の挑戦に満ちた夏 【歌舞伎座8月・9月公演】 インタビュー 市川染五郎さん10代最後の挑戦に満ちた夏 【歌舞伎座8月・9月公演】 インタビュー

日々の息抜きは車を運転しているひととき

市川染五郎さん

近年は舞台のみならず、映像にも活躍の場は広がっています。大人気シリーズ『鬼平犯科帳』では、父・幸四郎さんが演じる長谷川平蔵の青年時代、“若き日の鬼平”こと長谷川銕三郎(てつさぶろう)という大役を担いました。今年公開された映画『鬼平犯科帳 血闘』のオープニング、やんちゃな青春を送る“銕”が大勢を相手に大立ち回りをする場面。キレのある動き、鮮やかな裾さばき、スッと見せた背中が、大人になった平蔵の後ろ姿に重なっていく場面は実に感動的でした。

「脚本の時点ですでに演出が書いてあって、試写で見るのがすごく楽しみな場面でした。時代劇の殺陣(たて)は歌舞伎の立廻りに比べると動きもく、また勝手が違います。いい経験をさせていただき、とても嬉しかったです」

『鬼平犯科帳』は大叔父にあたる中村吉右衛門さんの代表作の一つでもあります。過去、吉右衛門さんが若き銕三郎を演じた映像は少ししか残っていません。でも染五郎さんにとっては、そのわずかな映像が役を考えるうえで大事だったと語ります。

「“鬼平”は京都の撮影所で撮影していたので、自分の場面がある日に京都に行って、また東京に戻って……という感じで参加していたんです。行きの新幹線の中はもちろん、出番を待つ間など、隙間があればずっとおじ様の映像を繰り返し見ていました。何かを感じ取りたい、何かのパワーをいただきたかったんだと思います」

長いまつ毛が陰影をつくる美しい横顔と、静かな語り口から、クールで冷静沈着なイメージを抱いている方も多いはず。でも時々、喋っていると言葉が熱を帯びてくる様子からは、歌舞伎への愛と、先人へのリスペクト、努力家の顔がのぞきます。日々の息抜きは、「舞台が終わって車を運転しているとき」だとか。なにせまだ19歳――体験すること全てが新鮮で、新しい挑戦に満ちた10代最後の夏。完全燃焼の青春が、舞台に刻みつけられます。

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