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「料理酒」の正しい使い方をおさらい:効果的にコクとうまみを効かせるワザ 「料理酒」の正しい使い方をおさらい:効果的にコクとうまみを効かせるワザ

料理酒の効果や使い方をおさらい

酒の持つふくよかなうまみと風味は、だしのように料理に深みを与えてくれます。また、加熱時にアルコール分が飛ぶのと一緒に、素材の臭みも抜ける効果も。酒の効果を最大限に引き出す正しい使い方を、料理家の松田美智子さんに教えていただきました。

目次
「料理酒」の正しい使い方をおさらい:効果的にコクとうまみを効かせるワザ
  1. 改めて知りたい「酒」のこと
  2. 酒の効果を活かした使い方のコツ
  3. 酒で料理のお悩み解決! こんなとき酒があれば
  4. さらに、「煮切り酒」があると便利!
  5. 教えていただいた 松田美智子さん profile

改めて知りたい「酒」のこと

<主原料(純米酒)>
米、米麹

<製法>
蒸した米に麹菌を混ぜて作った米麹に、酵母、水を加えてアルコール発酵させ、もろみを作って搾る。

<3つの種類>
清酒:原料に米、米麹、水、または米、米麹、水、清酒かすなどを使って発酵させ、こしたもの。
純米酒:清酒のうち、米、米麹、水だけを原料として作られたもの。
料理酒:酒として飲めないように、アルコールに塩分を添加して、低価格にしたもの。
参考/ 国税庁「酒税法における酒類の分類および定義」「清酒の製法品質表示基準」

<保存方法>
開封後すぐに使いきらない場合は、基本的に冷蔵保存を。

料理に使う酒の選び方

料理酒の中で塩分を含むものは、レシピ全体の塩分量を控えめに作る必要が。一方、料理用清酒は、塩を含みません。こちらのほうが、シンプルに酒の効果のみを取り込めます。


酒の効果を活かした使い方のコツ

・臭みを消して風味をつける
・まろやかなうまみを出す
・アルコールの効果でタンパク質をやわらかに

酒の持つふくよかなうまみと風味は、だしのように料理に深みを与えます。また、加熱時にアルコール分が飛ぶのと一緒に、素材の臭みも抜ける効果が。また酒のアルコールの力でタンパク質をやわらかくする働きも。

ポイント1:酒で蒸すと素材がふっくらとする

魚や肉に酒を少々振ってから蒸すと、身がふっくらと仕上がり、酒のうまみが素材のおいしさを引き立てます。同時に、素材の臭みも抜けます。

ポイント2:最初に入れて酒の効果を発揮させる

最初のころに入れれば、加熱しているうちにアルコールは飛びます。また、素材をふっくらやわらかくさせるので、あとの調味の味が入りやすくなります。酒の香りがほどよく残ると風味づけになりおいしく仕上がります。

酒の種類で変えられる和洋中の風味

各国を代表する酒の風味を活かせば、料理にその国らしいおいしさが生まれます。
日本酒を基本に、洋食には酸味のある白ワイン、中華にはコクのある紹興酒を使うだけでも、料理上手に。まずはあさりの酒蒸しでトライ!

酒で料理のお悩み解決! こんなとき酒があれば

【お悩み】冷しゃぶをおいしくしたい

水に酒をたっぷり加えてゆでる

夏にさっぱりと食べやすい、冷しゃぶ。ただ、冷えると豚肉の臭みや硬さが気になることも。おいしく食べるには、酒の出番です。水に半量の酒を加えて煮切ると、うまみの濃いだしのようになります。肉を1枚ずつくぐらせれば、臭みがとれ、やわらかくなり、脂も落ちておいしく仕上がります。

【お悩み】お米が古くておいしくない

酒を加えて炊く

昨年度のお米など、いわゆる「古米」を食べる場合、米を炊くときに少量の酒を加えてみましょう。米の甘みが増して、ふっくらとし、新米のようなおいしさが感じられます。加える量の目安は、米2カップに対して、大さじ2程度に。酒の風味が気になるなら減らして。

【お悩み】鶏むね肉がパサパサする

酒を加えて茹でて、余熱であたためる

人気の鶏むね肉は、ゆでると硬くなるのが悩みどころ。表面に塩を振り、1Lの水に酒1カップ以上を入れて煮立たせた中に、鶏むね肉1枚を入れて20分ほどゆでて火を止め、余熱でそのまま温め、冷めたらゆで汁に浸けたまま保存すると、ふっくら! ゆで汁には、鶏や酒のうまみが溶け込んでいるので、油分をこして、野菜などを加えてスープなどに使ってください。だし要らずでうまみが味わえます。

さらに、「煮切り酒」があると便利!

煮切り酒とは、鍋に入れた酒を温めて、蒸発したアルコール分に火をつけて燃やしたもの。アルコール臭がなくなるまで、煮立たせてもよい。

和え物など加熱しない調理のうまみづけに
アルコール分を飛ばし、うまみやコクだけを閉じ込めておけるので、加熱しない料理にも酒のうまみ出しの効果を発揮できます。たとえば、和え衣をのばすときなど、水のように味を薄めず、うまみづけになり、便利。浅漬けを作るとき、塩をした野菜に少量振っても。冷蔵し、1週間ほどで使い切ること。

教えていただいた
松田美智子さん profile

料理研究家。旬の食材の持ち味を大切にした、季節感あふれるレシピに定評がある。主な著書に『松田美智子調味料の効能と料理法』(誠文堂新光社)など。

<< 「酢」の正しい使い方も見てみる↗

<< 時短で美味しい【コウケンテツ】さんのレシピを作る↗

llustration:Kayo Yamaguchi text:Kaori Akiyama web edit:Riho Abe
リンネル2018年9月号より
※画像・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください

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