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【ウイスキー入門】 基本や歴史、初心者におすすめのボトルを解説! 【ウイスキー入門】 基本や歴史、初心者におすすめのボトルを解説!

近年のハイボール人気から、ウイスキーブームが来ています! そこで、ウイスキー文化研究所代表を務める作家の土屋守さんに、スコッチウイスキーの魅力や初心者にもおすすめの入門ボトルを教えていただきました。

目次
【ウイスキー入門】 基本や歴史、初心者におすすめのボトルを解説!
  1. 文化や壮大な歴史が育んだ香味豊かなウイスキー
  2. ウイスキーの魅力がわかる! 基礎ヒストリー
  3. 入門におすすめのウイスキー
  4. お話を伺った 土屋 守さん profile

文化や壮大な歴史が育んだ香味豊かなウイスキー

スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズ。“5大ウイスキー”と呼ばれるなかでも一番歴史が浅いジャパニーズウイスキーですが、近年では国際コンペティションで入賞する銘柄が増え、世界でも人気が上昇中! しかし、20年ほど前は需要が低迷し、原酒の生産量を減らしていたことから、最近は品薄状態にあるそう。

「ウイスキーは熟成に少なくとも3年はかかります。ただし、3年ではまろやかさや香りは楽しめず、スタンダードは12年かかります」。

そこで、土屋さんがおすすめするのがスコッチのシングルモルト。もともとジャパニーズはスコッチをお手本に誕生したため、原点ともいえるお酒なのだそう。

「ウイスキーってアルコール度数が高くて飲みにくいというイメージがありますが、スウィートでフルーティな銘柄がたくさんあるんです。今からウイスキーを飲み始めるなら、スコッチのしっかり熟成されたものを試してほしいですね」

自宅で楽しむなら常温のウイスキーをチューリップグラスやワイングラスに注ぎ、ウイスキーの命ともいわれる香りを楽しんで。

「すするように口に含むとフルーティで、スウィートで、ラウンドで、あらゆるフレーバーが花開きます。特にシングルモルトは蒸留所によって味が驚くほど違うので、いろんな種類を飲み分けてみるといいですよ。好みのウイスキーと出合うまではバーでいろんな種類を試してみるという手も。ボトルを1本買うよりリーズナブルに楽しめると思います」


ウイスキーの魅力がわかる! 基礎ヒストリー

【12〜15世紀】ヨーロッパでモルトウイスキー誕生

ウイスキーの発祥には、1172年のアイルランド説と1494年のスコットランド説がある。ウイスキーが誕生してしばらくは樽詰めせずに無色透明なお酒だったけれど、18 世紀頃に樽熟成が始まった。モルトウイスキーはモルトのみを原料とし、“ポットスチル”と呼ばれる単式蒸留器で蒸留。一般的には二度の蒸留、木樽での熟成を経て瓶詰めされている。

【1831年】イーニアス・コフィーが連続式蒸留機を実用化

原料にモルトのほか、トウモロコシや小麦など、その時代で一番安価な穀物を使ったグレーンウイスキーが造られるように。大量生産が可能で、伝統的な造りのモルトウイスキーに対し、近代的な設備の連続式蒸留機で取り出す蒸留酒のアルコール度数は、原料の香りがわずかに残る95%近くまで上げることができ、フレーバーは少なめでクリーンな酒質。

【1860年】異なる蒸留所のウイスキーのブレンドが可能に

ヨーロッパでは紅茶などのブレンド文化が息づいており、1860年の酒税法改正によってブレンデッドウイスキーも自然な流れで誕生。もともとモルトウイスキーは個性が強く、ロンドンをはじめとする巨大市場には受け入れられなかったが、グレーンウイスキーを混ぜることで万人が好む味わいとなり、価格も抑えられるという効果も相まって人気が高まった。

【1980年後半】シングルモルトが普及

ブレンデッドが主流となると、ブレンダーはこぞって“飲みやすくてフルーティ”な味わいをめざし、経済成長とともに広告戦略で勝負するように。おのずと味わいの違いがなくなり、スコッチは大不況に見舞われる。しかし、単一蒸留所で造られた複数樽のモルトウイスキーを混ぜたシングルモルトの誕生が、ウイスキー人気が再燃するきっかけとなった。

入門におすすめのウイスキー

【初級】初心者だからこそスタンダードなものを!

ボウモア 12年
ドライなスモーキー感とフルーティ感の調和が見事。ソーダとの相性がよく、割るとボウモア特有の爽やかな潮の香りがいっそう際立つ。チョコレートのような温かみのあるコクが特徴。
ザ・マッカラン 12年
スパニッシュオークのシェリー樽を使用しており、濃厚なシェリー、ドライフルーツ以外にも杏子やナツメグ、干ししいたけなど複雑な香り。マッカランの代名詞ともいうべき逸品。
グレンモーレンジィ オリジナル 10年
ハチミツ、バニラの甘い香りに、柑橘の爽やかな香りが続く。味わいはスウィートでスムーズ。後口はキレがよく、すっきり。食前酒としてもおすすめの一本。

【中級】ウイスキーの多様性を知った後、もっと深く味わいたいなら……

ザ・グレンリベット 12年
柑橘系のアロマがあり、軽快で上品。加水するといちごタルトのような香りに。ハチミツのような甘みの奥にビターオレンジが潜み、芳醇でマイルドな飲み心地。スコッチの代表格。
アードベッグ 10年
麦芽を乾燥させるために使うピートの度合いは業界一。スモーキーでヨード香が漂い、加水で潮の香りが花開く。最初の口当たりはピリッとした刺激があり、スパイシー。
ハイランドパーク 12年 ヴァイキング・オナー
深みのある甘い香りとスモーキーさのバランスが絶妙。ビターチョコレート、オレンジピールのようなスムーズなコクを味わえ、魚介のマリネやチーズなどとも好相性。

お話を伺った 土屋 守さん profile

作家、ジャーナリスト、ウイスキー評論家、ウイスキー文化研究所代表。 NHK 連続テレビ小説『マッサン』ではウイスキー考証を担当。『ウイスキー完全バイブル』(ナツメ社)などを監修。

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text :Mai Takasaki illustration:Kayo Yamaguchi web edit:Riho Abe
リンネル2019年2月号より
※画像・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください

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