現在パリで2匹の猫と暮らす、ミュージシャンで文筆家の猫沢エミさん。特に愛猫イオちゃんから多くのことを学んだといいます。イオちゃんとの日々を描いた最新刊の『イオビエ 〜イオがくれた幸せへの切符』の一部をご紹介。2回目の今回は、毎日のようにSNSに投稿されていた猫沢さんの日記をご紹介します。
猫沢エミさんプロフィール
ミュージシャン、文筆家、映画解説者、生活料理人。2002〜2006年、一度目のパリ在住。2007年より10年間、フランス文化誌『Bonzour Japon』の編集長を務める。超実践型フランス語教室《にゃんフラ》主宰。著書に『ねこしき』(TAC出版)、『猫と生きる。』『パリ季記』(ともに扶桑社)など多数。2022年2月より愛猫を引き連れ、二度目のパリ在住。
2回目はイオちゃんの闘病当時、猫沢さんがSNSに綴った日記から。さらにイオちゃんとの思い出とともにある、猫沢飯のレシピをご紹介します。
イオちゃんの病がわかって1ヵ月
あの日も同じ気持ちで、一日にできうることを最大限探して片っ端から挑んでいた。それでも突破できないこともあると知ったのは、それから5日後だったけれど。たくさんのサプリメントや、医学的根拠のない、まことしやかな情報が流れ込んできて混乱した。手立てがない。時間もない。それでも、それなりに情報を精査する必要があった。嵐のような1ヵ月を終えてみて、どうして飼い主さんが藁をもつかむ気持ちで、不確かなものに頼るのか、今なら痛いほどわかる。
サプリメントは、どちらかといえば飼い主さんの心の薬だ。それもまた、手立てのない子を支えるには必要な時もあるということも。「自分は何かしてあげられている…決して、ただ黙って見ているだけじゃないのだ」っていう。それでもいいのだ。泣いてふさぎ込む飼い主さんが傍にいるよりも、動物たちは少しでも笑っている飼い主さんでいて欲しいから。彼らは優しく、私たち人間が思うより、ずっと賢い。
ところで親きょうだいが死ぬよりも、一緒に暮らした動物に死なれる方がずっと辛いのはなぜだろうね。それは理想の子どもだから。永遠に大人にならないゆえ、最愛の存在として定義される者たちだから。私たちは彼らに魂の一部を預けて共に暮らす。それを持ったまま旅立ってしまうから心にぽっかり穴が空く。ただ、その穴には時を経てこんこんと水が湧き出す。はじめは滲み出るように、それから泉となって、最後には海のように満々と水をたたえる。その水は愛でできていて、彼らが去ったあとの飼い主たちの人生を、絶えることなくうるおしていく。見送る運命を引き受けて、動物と暮らすことを決め、それをまっとうした人にだけ与えられる芳醇の海。なんて豊かなことだろう。
猫たちも興味津々、ÇA VA(サヴァ)味噌サンド
いつ頃からか、常備している魚缶がツナから鯖に変わりました。世界的なマグロ不足を配慮したのと、青魚がいつでも気軽にとれる優れものだから。 特に市販の鯖味噌缶は、私の舌にはかなり甘めなので、ごはんよりもパンに合わせた方が美味しく感じて、我が家のサンドウィッチの定番ソースになりました。マヨネーズと1対1でヨーグルトを入れると、軽やかな仕上がりに。 大葉だけでも美味しいのだけど、ここに実山椒の佃煮を入れると、さらに美味しい。うちの猫たちは、人のごはんに手を出さないのですが、これを作ると 、さすがにざわめきます(笑)。 イオがちっちゃな白い手を私の膝に乗せて「ママ、美味しい?」って見上げてくれた思い出つき。
【材料】 2人分
食パン8枚切り … 4枚
鯖味噌缶 … 1 缶
玉ねぎみじん切り … 大さじ 1
セロリみじん切り … 大さじ 1
大葉 … 4 枚
マヨネーズ … 大さじ 1
ヨーグルト … 大さじ 1
醤油、黒胡椒、塩 … 各少々
【作り方】
1.みじん切りにした玉ねぎを塩でもんで 5 分ほど放置したら、水にさらしてから絞っておく。
2.ボウルに鯖味噌缶を汁ごとあけて (なかに生姜が一緒に入っていたら、 それもみじん切りにして入れるといい)、1 の玉ねぎとセロリ、マヨネーズ、ヨーグルトを入れてよく混ぜる。
3.大葉は千切りにして、2 に加え、 味をみて甘いようなら醤油を少したし、黒胡椒をふる。
4.3を食パン2枚で挟み、半分に切っていただく。
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photograph:Megumi Seki(main) edit:Mayumi Akagi
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
※本記事は『イオビエ 〜イオがくれた幸せへの切符』(TAC出版刊)からの抜粋です。
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