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【内田彩仍さん連載:明日もいい日になりますように】 「第15回 家時間と春の庭」 【内田彩仍さん連載:明日もいい日になりますように】 「第15回 家時間と春の庭」

内田 彩仍
連載 #明日もいい日になりますように

丁寧な暮らしぶりやセンス溢れる素敵な着こなしで人気を集める内田彩仍さん。日々のなかで内田さんが見つけた小さな幸せや、暮らしの工夫をお届けします。暖かい日が増えてきた3月。内田さんのご自宅のお庭では、春らしいお花が咲き始めています。「明日もいい日になりそう」と、皆さまが穏やかに前を向けますように。

内田彩仍さん Profile

内田彩仍さん
福岡県在住。夫と愛猫そらと暮らす。雑誌などで紹介される丁寧でセンスのある暮らしぶりが人気。 『内田彩仍さんと作った 白のキャンバストートバッグBOOK』(宝島社)、『幸せな心持ち』(主婦と生活社)など著書多数。 新刊『変えること変わらないこと: 人生後半を機嫌よく過ごせるよう見直した毎日の暮らし』(主婦と生活社)が発売中。

穏やかな春の日差しを感じる頃となりました。
朝起きて掃き出し窓のシャッターを開けると、寝室に春の柔らかな日差しが降り注ぎ、部屋全体がきらめいて幸せな気持ちになります。愛猫そらも、早朝から気持ちよさそうに窓の外を眺めるのが日課になりました。
やっと寒さが緩んできましたね。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

わが家の庭でもあちらこちらで春を感じるようになりました。庭の様子を見に外に出て足もとに目をやると、通り庭でも裏庭でもふきのとうを見かけたり、鉢植えのクリスマスローズも色とりどりに咲き始めたり。

真冬から庭に色を添えてくれている寄せ植えのビオラも、リース形のワイヤーからこぼれ落ちるほどたくさん花がついて、もはやリースだったとは思えないほど、花が重なり合って咲いています。
あまりに育ち過ぎたので、そろそろ虫がつく時期なのと病気予防のために、少し風通しよくしようと思い、咲き終えた花がら摘みと間引きを兼ねて、気づいたときに剪定するように。とても愛らしい花なので、間引いた花は庭のテーブルに置いた水盤に浮かべたり、ダイニングの窓辺や洗面所に飾ったりして、花のある暮らしを楽しんでいます。

ダイニングテーブルに置いたパソコンに向かって仕事をしながら、窓辺に生けたビオラにふと目をやると、このところ庭のビオラを飾るのが春の習慣になっているからか、「今年も春が来たんだな」と感じます。
少し前にお正月を迎えた気がするのに、本当に月日が経つのは早いですね。あっという間に1年過ぎてしまいそうです。

2月に足の指を骨折してから、1か月ほどが経ちました。3月初めまではあまり歩けなかったので、日々、家時間を満喫。暮らしに変化をつけようと、部屋の明かりを灯す位置を日によって変えたり、メインのライトはつけずに幾つかの間接照明だけで過ごしたり。いつもなら余裕なくバタバタと過ごす日常も、「今日はどこを灯そうか」と思う時間ができて、暮らしにゆとりが生まれました。

動きづらい分、本を読んで過ごすことが多くなりました。あれもこれもとできない分諦めがつくからか、その日の気分で読む場所を変えつつ、リラックスした心持ちで読書。本を読んでいると「今日も穏やかに過ごせている」と思うのか、気持ちが晴れやかになります。
何度も手に取ったのがこの2冊。自分でも訪れたことがある場所の話だからか、読み返しながら記憶を辿ったり、新たな気づきもあったりして、何度読んでも好きな本です。

3月半ば頃になると、ようやくフラットシューズならはけるようになり、チケットをとっていたミュージカルを無事観劇することができました。私が行ったのは博多座。福岡に住んでいるので博多座は通い慣れた劇場で、年に何度かチケットをとって出かけています。とても好きな劇場で、どの席でも見やすい気がします。
博多座に行くときのもうひとつの楽しみが、隣接しているリバレインモールに寄ること。暮らしにまつわるショップが多く、ケーキが美味しいカフェもあるので、のんびり見てまわるにはもってこいの場所です。
よく行くのは北欧ヴィンテージのインテリアショップ「NEST」、浮羽にある「ぶどうのたね」の博多店。きれいなガラスの器が好きな「Sghr スガハラショップ」。素敵な生活雑貨が揃う「トキネリ」。そしてわが家のリフォームでも、洗面台や収納棚などたくさん取り入れた「サンワカンパニー」のショールームなど、インテリアや暮らし好きにはたまらないショップがたくさんあるのです。

観劇のついでに寄った際にわが家に取り入れた物も多く、先日ホワイトデーと友人の就職祝いを兼ねてお茶をしたときにも、使ったテーブルウエアのほとんどがここで見つけたものでした。
手に取った時期やショップも違うのに、なんとなく雰囲気が似ていて使い勝手もよく、テーブルに置いてある佇まいも好きで。友人とのお茶の時間を思い出しながら、また伺いたくなりました。

今月、もうひとつやったことが動画作り。以前もパソコンに入っていたソフトで作ったことがあるのですが、今年は文字入れをしたくて、AdobeのPremiere Proでインスタ用の短い動画を作りました。
動画を作ろうと思った理由は、昨年発売した「変えること変わらないこと」が3刷になり、感謝の気持ちを込めて動画をと思い立ったからです。幾つになっても、やりたいことや学びたいことがあるのは、気持ちにハリが出ていいものです。次は長い動画にも挑戦してみようと思います。
動画は「暮らしとおしゃれの編集室」のインスタグラムで公開中です。短い動画ですがよろしければご覧くださいませ。
本を手に取ってくださった皆さま、本当にありがとうございます。

玄関に飾った黒軸のクリスマスローズ。白い可憐な花ですが大人っぽく飾れるので好きな花のひとつです。
大人といえば、今回の骨折で気づいたことがありました。これまでなら思うように動けない自分にイライラしたり、あれこれ家事ができないことに罪悪感を感じたりしていたと思います。でも今回は、何故だかすんなり諦めがついたというか、動けない自分に寛容になれました。歳を重ねてよかったことは、「しょうがない」と笑って自分を許せるようになったこと。まだまだ人生長いので、この先も日々機嫌よく暮らせたらと思います。
春の訪れにときめきながら、皆さまも私も明日もいい日になりますように。

ほかの記事も見る>>>内田彩仍さん連載:明日もいい日になりますように



photograph: Kyoko Omori, Ayano Uchida text: Ayano Uchida
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください

エッセイスト・スタイリスト

福岡県在住。夫と愛猫そらと暮らす。雑誌などで紹介される丁寧でセンスのある暮らしぶりが人気。 『内田彩仍さんと作った 白のキャンバストートバッグBOOK』(宝島社)、『幸せな心持ち』(主婦と生活社)など著書多数。 新刊『衣食住、暮らしに寄り添うもの選び』(集英社)が10月25日に発売。
リンネル.jpでは、日々の中で見つけた小さな幸せを綴る「明日もいい日になりますように」を連載中。

連載 明日もいい日になりますように

内田 彩仍

連載 #明日もいい日になりますように

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