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【内田彩仍さん連載:明日もいい日になりますように】 「第25回 新しい年を迎えて」 【内田彩仍さん連載:明日もいい日になりますように】 「第25回 新しい年を迎えて」

内田 彩仍
連載 #明日もいい日になりますように

丁寧な暮らしぶりやセンス溢れる素敵な着こなしで人気を集める内田彩仍さん。日々のなかで内田さんが見つけた小さな幸せや、暮らしの工夫をお届けします。2025年最初の更新では、年末年始をどのように過ごされていたのか教えていただきました。「明日もいい日になりそう」と、皆さまが穏やかに前を向けますように。そして今年も素敵な一年になりますように!

内田彩仍さん Profile

内田彩仍さん
福岡県在住。夫と愛猫そらと暮らす。雑誌などで紹介される丁寧でセンスのある暮らしぶりが人気。 『内田彩仍さんと作った 白のキャンバストートバッグBOOK』(宝島社)、『変えること変わらないこと』(主婦と生活社)など著書多数。 新刊『衣食住、暮らしに寄り添うもの選び』(集英社)が発売中。

寒中お見舞い申し上げます。
新しい年になって、もう一か月が経ちました。
一年で一番寒い大寒の候、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私が住む福岡では、朝晩はまだとても冷え込むのですが、昼間はちょっと暖かい日も増えて、だんだんと日も長くなりました。春が待ち遠しい季節になりましたね。
今年初めてのブログ更新。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

中古住宅を購入しここに越してきてから、5年が経ちました。
例年、年末年始は夫とふたり大掃除三昧が習慣に。
庭やテラス屋根、FIX窓などの外回りの掃除から、換気扇フィルターなど普段はあまりやらない場所の掃除まで、あれやこれやと(笑)。
お互い長い休みは一年でこの時期しかないので、きれいにしておきたいと思うとつい頑張ってしまって、毎年いつまで経っても終われない状況でした。

それがこの年末年始は、ちょっと様子が違って。
昨年末に外壁塗装をしたこともあり、庭木の剪定や外回りの掃除はすでに終えていたので、ちょっと気楽になったのか「どうせ毎日掃除するんだから、今回は室内の普段はやらない場所の掃除だけにして、年始はゆったり過ごそう!」ということになりました。

もっとかかると思っていた掃除も12月30日の昼には終わり、ほっと一息。
掃除したばかりの部屋を見渡すと、一年分のすすを払えた気がして気持ちも整い、とても清々しく感じました。
この気持ちのまま新年の準備を始めようと、生花店でしめ飾りの材料やお正月用の花を買ってきて、まずはしめ飾りを作ることにしました。

昨年のお正月は既製品を買い求めたしめ飾りでしたが、時間と心に余裕ができたこともあり、また手作りすることに。
縄を丸めて紙垂を折って、松をあしらって‥‥‥。水引で松と稲穂としめ縄を結びつけたら、指先に木工用ボンドをつけて水引の束をスッと撫でてまとめます。
出来上がって玄関先に飾ってみたら、今はこのくらいのしつらえが頑張り過ぎず穏やかに新年を迎えられそうで、飾りながら「好きだなあ」と感じました。

毎年玄関に年神さまをお迎えするようお供えする十二支餅の隣には、ピンクの菊を何本かあしらって白い磁器の花器に生けました。
このところ、お互いの家族の病気などで気持ちが落ち着かないことも多いから、新しい年の始まりには、見るたびに優しい気持ちになれるよう、柔らかな色合いのグラデーションでまとめて玄関先にしつらえました。

新年を迎える支度をして無事に迎えた年始には、毎年恒例の朝食用に作ったおせちを食べて、夜には取り寄せていたイタリアンのおせちもいただきました。
ゆったり過ごそうと決めていたので、心地よい冬晴れの日には夫と庭へ出てお茶をすることに。
柔らかな日差しが暖かくて気持ちよくて、お茶をしながら外壁塗装をし終えたばかりの我が家を眺め「きれいになったねー」と話したり「庭の木々が大きくなったね」と小さな庭を散策したり。
ちょうど5年前の1月に越してきたので、当時のことも思い出しながら会話しつつ、のんびりお茶をすることができました。

とても青い空の下、くつろいでいたら「こんなふうに過ごすお正月は初めてだな」と気づきました。
私は、本当に休むのが下手でつい何かしてしまうから、自分で休むと決めて何もせずにただ過ごすのもいいものだなあと。だから「積極的に休む」ことも今年の目標にしようと決めました。

暖かい日が続いたと思ったら、大雪の日も。
かごにうっすらと積もった感じが可愛いなと夕方に撮影をしたら、翌朝には庭のテーブルにふかふかの布団を敷いたように積もっていてびっくり。我が家は高台にあるため家の前の道路にも6~7センチほど積もっていて、その日出かける予定があったのですが、車を出すこともできず、予定が中止になりました。

時間ができたので庭へ出てみると、庭一面にふわふわの雪が積もっていて、その自然の造形がとても印象的で、このまま解かしてしまってはもったいないと思い、雪だるまを作ろうと作り始めたのですが、あまりの寒さに我慢できずに諦めました(笑)。

愛猫そらも見慣れない白い景色に興味津々で。私が庭に出て雪をまとめていると、その姿が面白かったのか、ちょっと呆れ顔で庭を眺めていました。

静かに過ごしていると、気持ちが和らぐのか、心に余白ができるのか、小さな幸せにたくさん気づくことができました。
窓に映る木々の影がきれいとか、冬の木漏れ日も素敵だなとか。
日々あたふたと過ごしていると、そんなちょっとしたことに気づく余裕が全くなくて、あっという間に一日が過ぎてしまいます。でも、意識してぼーっと過ごす時間を作ってみると、毎日あくせくするばかりでは、これからの人生もったいないなあと改めて感じました。

随分前から使っているキャンドルホルダー。形が好きで家族写真と共に長年飾っていて、たまには灯してみようと久しぶりにリビングに持ってくることに。ティーライトキャンドルを中に入れて灯すと揺らぐ炎がきれいで、手に取ったときの気持ちを思い出しました。
キャンドルをぼーっと眺めたくなる日は、心にわだかまりがある日が多い気がします。それでも、今は幸せな記憶しかないから、今年も幸せに暮らそう!と思いました。

新しい年も、いろいろなことがあると思いますが、
皆さまにも私にも、小さな幸せがたくさん訪れますように。
そして、明日もいい日になりますように。

ほかの記事も見る>>>内田彩仍さん連載:明日もいい日になりますように



photograph: Kyoko Omori text: Ayano Uchida
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください

エッセイスト・スタイリスト

福岡県在住。夫と愛猫そらと暮らす。雑誌などで紹介される丁寧でセンスのある暮らしぶりが人気。 『内田彩仍さんと作った 白のキャンバストートバッグBOOK』(宝島社)、『幸せな心持ち』(主婦と生活社)など著書多数。 新刊『衣食住、暮らしに寄り添うもの選び』(集英社)が発売中。
リンネル.jpでは、日々の中で見つけた小さな幸せを綴る「明日もいい日になりますように」を連載中。

連載 明日もいい日になりますように

内田 彩仍

連載 #明日もいい日になりますように

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