最近は何かと思うようにいかなかったり、不安などからモヤモヤすることが多く、イライラの種が増えているように感じます。マイナスの感情に振り回されず、自分らしく健やかな気持ちで過ごすためのヒントを教えてもらいました。
教えてくれたのは……
水島広子先生
Profile
精神科医。対人関係療法専門クリニック院長。衆議院議員として、児童虐待防止法改正などにも取り組む。『「つい感情的になってしまう」あなたへ』(河出書房新社)ほか、著書多数。
誰もがイライラを抱えがちな状況
考えグセを変えるだけで楽になる
先の予定が不透明になったり、家族との間で摩擦が起きたり、悪いニュースを見聞きしたり……。普段は落ち着いて過ごしている人でも、イライラする状況が起こりがちなこのごろ。「人は衝撃を受けると不安になり、それがイライラにつながります。今のように世の中が不安定だと、不明瞭な悪い情報を深追いしがちですが、それではイライラが増えるだけ。少し距離をおいて自分を守りましょう」と、水島先生。経済的な不安や家庭内の問題も、“こんな世の中が悪い”と考えても解決策が見つからず、気づかないうちにイライラを抱えることに。慢性的なイライラは、体調にも悪影響を及ぼします。「解決できないイライラも、自分の考えグセに気づくことで気分を変えることはできます。どうにもならないことは、『みんなも困っているんだね』と、誰かと不安を共有するだけで楽になることも。今こそ、イライラ気分に賢く対処する方法を考えましょう」
イライラを健やかに鎮めるために、
心がけたい 4 つのこと
イライラが長引いてしまうのは、多くは自分の考えグセが原因です。 よくない考え方に陥っていないか、セルフチェックする習慣を持ちましょう。
自分が“困っている状態”であることを自覚する
「なんとなくイライラする」ではなく、「今、 自分はこういう理由で“困っている”んだ」 と分析し、自覚しましょう。たとえば「週末家族で出かけようとしていたのに、夫が用事を入れてしまった!」。これは、“予定が狂い困っている”ということ。もしかすると「相手が間違っているからイライラする」 と思うことも、実は“自分が正しいと思うことが通らず困っている”という状況かも。
自虐的な思考を断ち切る
ささいなことでも、イライラし始めると頭から離れない人は、自虐思考に陥っていないか考えましょう。たとえば買い物に行って、エコバッグを忘れた場合。「うっかりしちゃった。買った袋は活用すればいいや」と 思える人と、「バカな私。いつもこうして損をして……」と自虐思考が入る人では、イライラの長引き方が違います。イライラを呼ぶ自虐思考は、すぐにストップをかけて。
こうある“べき”には個人差があることを理解する
こうある“べき”というのが強い人は、他人のちょっとしたルール違反に必要以上にイライラしたり、自分と違うやり方に敵意を燃やしがち。夫と自分で洗濯物の干し方が違っても、あなたのやり方がすべて正しいとは限らないし、それを人に押しつけることはできません。「これでOK」という内容には個人差があることを理解して、相手のやり方を認められるよう心がけましょう。
要求ではなく依頼をする
家族や恋人などごく親しい人であれば、あなたの気持ちを説明して相手の行動を変えることもできます。そのときに、「〜してちょうだい」という要求ではなく、「自分はこう感じているから、〜してくれるとうれしい」と、お願い目線で頼んでみること。相手はあなたのイライラの原因にまったく気づいておらず、そのとき初めて気づいて行動を変えてくれるかもしれません。
illustration:Yuko Saeki text:Ema Tanaka web edit:Liniere.jp
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