CULTURE
:tupera tupera初公開の初期作も! 展覧会『MIX WORKS』と3万通り楽しめる新感覚絵本『MIX MIX』の魅力をインタビュー
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『パンダ銭湯』や『しろくまのパンツ』などのユーモアあふれる絵本やイラストレーションをはじめ、TVや舞台など、さまざまな分野で幅広く活動する亀山達矢さんと中川敦子さんによるユニット、tupera tupera(ツペラ ツペラ)。
約25年にわたる全仕事を展示する展覧会「MIX WORKS—— tupera tuperaの仕事2002–2026」が武蔵野美術大学美術館で開催中です。
展覧会の魅力と、展示に合わせて刊行された、グラフィックデザイナーの大原大次郎さんとの共著『MIX MIX』について、亀山さんと中川さんにお話をたっぷり伺いました。
tupera tuperaと振り返る25年間

一点ものの布を使った雑貨からスタート。亀山さんの大学時代の版画作品も
武蔵野美術大学のなかにある美術館で、現在開催中の展覧会「MIX WORKS—— tupera tuperaの仕事2002–2026」。版画専攻からグラフィックアーツ専攻へと名前が変わり、そこで亀山さんが客員教授を勤めていることから本展が開催されることになったそう。
「会場が学生の学びである場というのが、いつもの展覧会とは違うところ。私たちが今のtupera tuperaになるまで、どのように仕事をしていけるようになったのか、あえて長々と(笑)エピローグ的に書いたプロフィールや、初期の作品、亀山の在学中の作品など、今回初めて公開しているものもたくさんあるんです」と中川さん。
展示は1つの展示室と吹き抜けのアトリウムを使って構成。全領域の仕事を500点近くの作品を通して振り返ります。
50冊の絵本がずらり

これまでもtupera tuperaの展覧会や絵本のデザインを手がけてきた、minnaがアートディレクションした空間。印象的なアーチをくぐると、一気にtupera tuperaの世界観に没入できるようになっています。
「今は絵本作家として知ってくださっている人が多いので、まず絵本のコーナーからスタート。最初の『木がずらり』から50冊の原画を展示しています。いつもより一冊ずつの紹介点数は少ないのですが、上までぎっしり展示しているので、いろいろな絵本を作っていることを体感してもらえたら」(中川さん)

2004年に限定1000部で制作されたジャバラ絵本『木がずらり』(私家版)

翻訳を手がけた海外の絵本も紹介
遊び心あふれるワークブックや工作

『パパパネル』を顔にはめたり、『蚊カルタ』で遊べるコーナーも
初期の代表作『かおノート』(コクヨ)など参加型の本や、工作の本など、遊びながら想像力をふくらませ、楽しく学ぶことができるのも、tupera tuperaならでは。
「工作ワークショップは、全都道府県で開催しました。自分たちが子育てをしながら作った工作も並べています」(亀山さん)

アートワークを手がけたEテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」の貴重なラフも展示
キャラクターや地域との仕事まで

舞台『ピン・ポン』など、演劇の仕事も
展示はここから、イラストレーションや装丁、演劇、音楽、地域とのお仕事と続きます。
「舞台『ピン・ポン』はこれまで150回以上も上演された、ロングラン作品。これをきっかけに演劇の仕事も増えていきました。演出家や演者、照明、音響、舞台、衣装、舞台監督など、集まったチームで垣根を越えて、僕らも演出に踏み込んだ部分まで言うことも。アイデアを出し合って作り上げる、現場のやりとりが面白い。まさにMIXですね」と亀山さん。

映画『未来のミライ』の駅員さんなど、キャラクターデザインも多数
展覧会も日本全国で多数開催してきたtupera tuperaの2人。本展のために年表を作り、25年で展覧会をしなかった年はたった2年だったと気がついたそう。
「2人目の子どもが生まれた年と、コロナ禍でできなかった2021年だけ。自分たちでも頑張ったなと思いました(笑)。展覧会もひとつの作品だと考えていて、特にPLAY! MUSEUMで開催した『かおてん.』など企画展では、みんなで体験できる場を作ってきました」(中川さん)
「僕は絵本ライブやワークショップを長年続けてきて、すべての都道府県を制覇したので、せっかくだから全部書いてみました。地域の仕事はその土地の人と仲良くなったり、特に思い入れのある仕事です」(亀山さん)

展覧会を作品として紹介するコーナー

北から南まで、地域の仕事が一覧できます

階段から見ると、2階の小屋から1階の展示台が「MIX」になっているところも必見
吹き抜けのアトリウムでは、「暮らし」をテーマに展示。お菓子のパッケージやランドセル、洋服など、私たちの暮らしのなかのtupera tuperaのアートワークが並びます。
「学生さんも含め、tupera tuperaのことを知らない人でも、生活のなかに溶けこんでいる私たちの仕事を見てもらって、“あ!これ知ってる。自分も使ってたな”というものに出合ってくれたらいいなと。自分たちでも、ここまでコラボ商品をずらっと並べたのは初めてで、改めてやりがいのある仕事だなと実感しました」(中川さん)

教科書のアートワークも手がけています

『PENDLETON』のブランケットやアパレルとのコラボレーションも展示
展覧会と同時に作られた
『MIX MIX』ができるまで

この7月に刊行されたアート絵本『MIX MIX』のコーナーも。tupera tuperaによる貼り絵と、大原大次郎さんの描き文字を合わせた一冊で、さまざまな職業が描かれたページを3分割してMIXすると、約3万通りのユニークな組み合わせの職業が生まれます。
「生き方はひとつじゃないし、人生さまざまな可能性があると思うんですよね。お医者さんでミュージシャンの人もいるし、職業をどんどん変える人もいる。僕らも一つの職種ではないし」(亀山さん)
「絵と文字が対になる本だから、大次郎くんならきっと面白いフォントを作ってくれるんじゃないかと思って頼みました。お互いの作風がMIXされて、想像以上に面白い本ができたと思っています」(中川さん)

こだわりの造本も必見!


頭、上半身、下半身を組み合わせて、想像もつかない職業が生まれ、口に出して読みたくなります
実はこの本は、武蔵野美術大学出版局の新しいレーベル「ムササビブックス」の第一弾の書籍。レーベルができたきっかけは亀山さんのひと言だったといい、ロゴマークもtupera tuperaが手がけています。
「調べてみると、ムササビは日本固有種。滑空すると本のような形になるので、武蔵美の卒業生が羽ばたいていくようなイメージで考えました。美大が作る絵本だからアート性が高く、子どもたちだけでなくもっと上の世代の人たちにも届くような絵本を作れたらと思いました」(亀山さん)
「美大の中のいろいろな分野の人が垣根を越えて、MIXして作ってみるのも楽しい。絵本作家だけでなく、彫刻家や画家、ファッションデザイナーなど、多方面で活躍している卒業生に声をかけて作るのも面白いですよね。絵本の可能性がどんどん広がっていくといいんじゃないかなと思いました」(中川さん)

大原大次郎さんの描き文字も展示

tupera tuperaが考えたムササビブックスのロゴマーク
学生との共同制作も展示

tupera tuperaの2人も『MIX MIX MONSTER』に参加。参加者の作業工程は動画で見られます
亀山さんが客員教授を務めるグラフィックアーツ専攻の学生たちと取り組んだ、大型絵本『MIX MIX MONSTER』プロジェクトの紹介は、この美術館ならでは。『MIX MIX』が職業だったのに対し、学生たちと取り組んだのはモンスター。その組み合わせは14万通りにのぼるそう。
「巨大版を作ろうと、52人の学生と教職員が参加しました。木版画、銅版画、リトグラフ、シルクスクリーンという異なる4判種のそれぞれの作品を一冊に綴じてMIXした、世界的にも珍しい本だと思います! 紙質も違う、それぞれの版画作品をボードに貼って、製本所のみなさんもどうしたらきれいに仕上げることができるか、製本を研究してくれました。いろいろな意味で、挑戦的な本づくりだったと思います」(亀山さん)

『MIX MIX MONSTER』を見るときは、係の人に声をかけて

一見すると怖いモンスターも、MIXすることでユーモアが生まれます
次世代へと繋ぎたい、
ものづくりへの思い

「人と人が掛け合わせることで、より面白いものが生まれる」ことを大切に、創作活動をしてきた亀山さんと中川さん。本展のタイトル「MIX WORKS」にも、その思いが込められているのだとか。
「展示を見るとわかっていただけると思いますが、2人プラスアルファでものづくりをしてきました。人との出会いを楽しみながらものづくりをすることによって、自分でも予測不能なものが生まれ、自分の新しい部分もどんどん生まれていくところが面白くて。
美大はいろいろな学科が一つの場所にあり、みんなが協力し合ってなにかを作れば、それぞれの思ってもみなかった面白いものができあがるはず。僕自身も別の学科の友人と今も一緒にものづくりを続けているので、この展覧会でそういうことを伝えられたらと思います」(亀山さん)
「初めての大規模展覧会『絵本の世界展』を開催させてもらったときに、ちょうど結成から16年目のタイミングで、絵本については振り返ることができました。そこから演劇の仕事が増えたり、新しい企画展も開催したり、今回はもっと全般的に仕事を振り返ることができたので、これからどうしようかな。新しいものづくりができるように、一度リセットしする時間もほしいですね(笑)。
今回の展覧会は、初期の作品で掘り出したものがたくさんあって、駆け出しの頃の記事など恥ずかしいものもありますが、昔の要素を今違う形でやってみたら面白いんじゃないかなという発見もありました。次世代に繋ぐというと大げさですが、自分たちがやってきたことを見せることはできる。昔の作品を見ていると、よくここまで来れたなって思うんです。あえて初期の作品をたくさん並べることで、学生やこれから何か作りたいと思っている人の励みにもなるといいなと思います」(中川さん)
開催情報

MIX WORKS —— tupera tuperaの仕事2002–2026
開催中〜10月25日(日)
会場:武蔵野美術大学美術館 展示室2 アトリウム1・2
10:00〜18:00(土・日曜・祝日は〜17:00)
10月4日(日)、10月18日(日)休館
入館料:無料
『MIX MIX』

tupera tupera ・大原大次郎 著/¥5,445(ムササビブックス)
tupera tuperaによる貼り絵と、大原大次郎の描き文字。様々な職業を特徴的に描き分けた、絵と文字をそれぞれ3分割してMIXすると、約3万通りものユニークな組み合わせが生まれる。たとえば、リョウ リ ニン・ピ エ ロ・バ レ リーナの、頭・上半身・下半身を組み合わせれば、「リョウ エ リーナ」!? が誕生。シャッフルする心地よさを体感できる、こだわりの造本も魅力のアートブック。
tupera tupera

亀山達矢と中川敦子によるユニット。絵本やイラストレーションをはじめ、TVや舞台、空間のアートディレクションなど、さまざまな分野で幅広く活動している。絵本に『しろくまのパンツ』(ブロンズ新社)『パンダ銭湯』(絵本館)『かおノート』(コクヨ)『やさいさん』(Gakken)など、著書多数。海外でも多くの国で翻訳出版されている。『わくせいキャベジ動物図鑑』(アリス館)で第23回日本絵本賞大賞。2019年に第1回やなせたかし文化賞大賞を受賞。
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photograph:Mari Yoshioka、Shunta Inaguchi(物撮り) text & edit:Mayumi Akagi
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