松下洸平さん 「作品を完成させて、いつか花が咲くように水をあげ続けるしかない」ニューアルバムインタビュー 松下洸平さん 「作品を完成させて、いつか花が咲くように水をあげ続けるしかない」ニューアルバムインタビュー
花にまつわるお仕事が多かった 2023 年の後半
━━そして、ラストに収録されたご自身で作詞・作曲を手がけられた「たんぽぽ」は、ピアノとボーカルだけで構成され、松下さんのボーカリストとしての魅力、息づかいを堪能できる仕上がりに。
アルバムのラストにピアノだけの曲を収録することを、自分のなかでなんとなく決めていて。特に今回は、ビートが印象的な楽曲が多いので、裸の自分というか、今の自分をそのまま閉じ込めておきたかったんです。だから、ボーカルに関しても、通常はブロックごとに分けて録音することが多いんですけど、これはできるだけ一続きで歌うようにしました。
━━この楽曲からは、現在の松下さんの等身大の思いが伝わってきました。
この楽曲は、エッセイというか、感じたことを曲にしただけなので日記のようなものに近いかもしれません。また、23 年の後半は<花>にまつわるお仕事が多かったんですけど、そのなかで、自分も花を題材にした楽曲を作りたいと思うようになり、完成したものになります。
━━確かに、俳優としての松下さんは<花>というイメージが強いですね。そうすると、日々の暮らしも花に囲まれたものになるのでしょうか?
以前から、花屋に行って、好きなものを2、3本買って部屋に飾るみたいなことはしていました。ドラマなどで、花に関わる役柄をいただいたことによって、暮らしに生きているものがあることの大切さをより実感するようになりましたね。ひとりじゃないと感じられるというか。 それは、お花じゃなくてもいいと思うんですけど、水をあげて枯れないように愛でる時間が、心を満たしてくれるんです。
━━素敵な暮らしぶりがアルバムからも伝わってきました。何か、お部屋にこだわりはありますか?
外が明るいうちに、光を入れるように心がけてます。部屋が暗いと心もちょっと落ち込んでしまうので、 なるべくカーテンを閉めずに、光を部屋じゅうに入れるようにしていて。だから部屋はなるべく光を遮らないレイアウトにしていますね。また、寒くても空気の入れ替えはするようにしています。部屋に溜まっている空気を循環させたいので。
━━今後の音楽活動では、どんな循環をさせていきたいと思っていますか?
あんまり、先々のことを計画的に考えるタイプではないので、今できることを精一杯やるしかなくて。ただ、いろんなアーティストとコラボしたり、フェス出演なんかも実現できたらいいですね。
━━なるほど。
僕がやらせていただいている仕事は、特にすぐに結果が出るものではないと思っていて。人との巡り合わせ、自分が持ってる運など、タイミングが必要。 だから、自分は作品を完成させて、それに水をあげていくしかない。いつ芽が出るかはわかりませんが、ひたすら畑を耕して、枯れないように、いつか花を咲かせてくれるといいなっていう。
━━最後に、リンネル読者にアルバムの聴きどころを教えてください。
普段ソウルや R&B などを聴かない方でも、身近に感じていただける楽曲を作ったつもりなので、心地いい時間を感じていただけたらうれしいです。
NEW ALBUM『R&ME』
ビクターエンタテインメント
now on sale
2023年末にリリースされた2作めのオリジナル・アルバム。夏にリリースされた「ノンフィクション」など、多彩な作家陣と制作した楽曲のほか、松下さんがソングライティングを手がけたものも収録された全10曲。楽曲ごとに表情を変化させていく松下さんのボーカル力に圧倒される内容。現在の充実ぶりが伝わってきます。
Profile
まつした・こうへい/1987年生まれ。08年にシンガー・ソングライターとしてデビュー、その後俳優業に専念。21年より音楽活動を再始動。2024年1月20日より全国ツアー『KOUHEI MATSUSHITA LIVE TOUR 2024 〜R&ME〜』を敢行。ファイナル・東京公演は3月13・14 日に東京ガーデンシアターにて。
こちらもチェック!
photograph:Miho Kakuta styling:Taiji Goto hair & make-up:Yuki Akagi interview & text:Takahisa Matsunaga
リンネル2024年3月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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2024年11月20日(水)発売 ※一部の地域では発売日が異なります